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おじさんがバセドウ病になりました



こんにちは、ヒーライと申します。
2020年5月、私はバセドウ病になりました。

【不摂生極まりなかった過去の私】


バセドウ病を経験するまでの私は、かなり不摂生な生活を営んでいました。

休日は家でゴロゴロ、運動なんて
ほとんどしません。
食事のお供はマヨネーズ
お米はいつでも腹いっぱい
夜は毎日、ビールに焼酎。
寝起きの一服、食後の一服、
タバコはきっちり20本。

そんな私は、ある意味、規則正しい生活をしっかり送っていました。

不摂生この上ない生活を続けていれば、身体の変調をきたすのは当然です。   


私は睡眠時無呼吸症候群、脂質異常症という病名を、若くしてお医者様から授かりました。

驚かれるかと思いますが、なんと、それが35歳のときなんです。


じつは、私は病院で働く臨床検査技師です。

「病院職員の分際で、なんだこの体たらくは」と、お思いになりますよね。でも現在は改心して健康的な生活をしています。どうかお許しください。


【身体の異変は歯周病から始まった】


睡眠時無呼吸症候群とは夜、寝ているときに息が止まってしまうこと。

脂質異常症とは心筋梗塞や脳梗塞を引きおこす病気です。

そんな恐ろしい病気なのに、なんの治療もしないまま50歳をむかえ、なんとなく体の衰えを感じ始めた、そんなとき

あっ 歯が抜けた

なんの兆候もなく、前歯がポロッと抜け落ちました。

歯かっけは、見た目によろしくないので、急ぎ歯医者さんに行ったのですが、そこで先生は、私の歯をみて衝撃的な一言をおっしゃいました。

「重度の歯周病です」

歯には歯石がびっしりこびり付き、歯ぐきはブヨブヨ真っ赤に腫れて、くさーい膿も出ている状態でした。

重度な歯周病の原因は
・定期的に歯医者さんに行かなかったこと
・睡眠時無呼吸症候群であること
その2つが、私の場合は考えられました。

虫歯になったら歯医者さんに行けばいいや、という感覚だったので、虫歯のなかった私は、10年以上歯科には行かず、歯石とりもしていませんでした。

そして睡眠時無呼吸症候群の人は、口呼吸をして寝るので、口の中が乾燥して、ばい菌が繁殖するため、歯周病になるそうです。

このまま歯周病を放置すれば口臭もひどくなり、歯が全部抜けてしまうそうです。

50代で総入れ歯は、正直恥ずかしいので、一念発起、治療に専念することを決めました

2018年 50歳の秋のことでした。

私がこれから経験する、苦しく、辛い出来事が、この時はまだ想像すら出来ていませんでした。


【苦しくて辛い3年間】


以下が苦しく、辛かった3年間の主な出来事です。

2018年11月 歯周病、
       睡眠時無呼吸症候群の
       治療開始 

2019年3月   脂質異常症の治療開始

2019年5月   筋トレを始める
                       体重80キロ

2019年8月   突然体重が落ち始める

2019年12月 左肩損傷
                    (肩が上がらなくなる)

2020年2月   不眠になる

2020年5月   バセドウ病と診断される
                       心不全になる 
          体重が59キロ
                       1年間で21キロ痩せる

2020年11月   右肩損傷
                    (肩が上がらなくなる)

2021年6月   バセドウ病の症状落ち着く

2021年11月 両肩症状改善

この期間は、様々な出来事がわが身に降りかかり、まさに悲惨そのものでありました。


【異常なまでのハイテンション】


歯周病、睡眠時無呼吸症候群、
2019年3月には脂質異常症の治療も始めました。

そして、お医者さんからのすすめで、トレーニングジムにも行き始めました。


その頃から、妙に気持ちが興奮し、本来怠け者である私が、毎日休むことなくジムに通うようになりました。

興奮した状態は、健康管理のためという枠を超え、異常なほど、ダンベルやバーベルの重量を重くしたり、息が上がるほど走ったりして、ハイテンションなトレーニングをひたすら続けていきました。

ハイテンションな行動は、バセドウ病の特徴でもあります。


しかしこの時点では、まさかこの行動が病気の兆候だとは、夢にも思いませんでした。



【体重減少】


体重80キロの私が、トレーニングをはじめて3か月くらい経過したころから、突然体重が落ち始めました。

逆に食欲は旺盛になり、毎日おなかを満腹にしても、月に1,2キロは着実にやせていきました。


「トレーニングをすると、腹いっぱい食べてもやせるんだ、なんと素晴らしいことでしょう。」


ひどい勘違いをしていましたが、そんな余裕はつかのま、突然、災いは降りかかりました。



【左肩損傷】


2019年12月、兆候は数週間前からありました。

今まで、軽々と持ち上げていたダンベルを重たく感じるようになり、ピリッとした肩の痛みもありました。

だけど繰り返し上げると痛みは消えるので、テンションが上がりっぱなしの私は、何のためらいもなくトレーニングを続けていました。

しかしある朝、左肩の激しい痛みで目が覚めました。


とてつもない痛みで、腕がまったく上がらない状態になってしまい、病院で50肩と診断されました


腕をちょっと動かすだけで激痛があるので顔を洗えない、服が着れない、
頭を洗えないなど、日常生活も困難をきわめました。

そして一番つらかったことは、夜間の痛みです。じっとしていてもシクシクした痛みが続き、眠れない状態が長く続きました。

バセドウ病の症状の1つに、「筋力の低下」があることを知ったのは、バセドウを発症したあとのことでした。

今まで当たり前に動かしていた肩が動かなくなると、この痛みは、いつなくなるのか、極度な不安におちいりました。

切ない気持ちと不安感が入りまじり、睡眠不足も合わさって急速に精神が衰弱していきました。


【メンタルの崩壊】


バセドウ病の特徴として、メンタルの崩壊があります。
私の場合は50肩が引き金でした。


そして、ここからが本格的な苦難の始まりです。

2020年2月、肩の痛みは少し楽になりました。

しかし、気分が優れない状態は、日ごとに増していきました。

意味もなく寂しい気持ちになり、息苦しさも出はじめました。

そして、何となくソワソワして、落ち着かない状態になり、体重もさらに 落ちていきました。

最終的にソワソワと落ち着かない状態は、エスカレートして、運転中に信号待ちも出来ないほどになってしまいました。

さらに、神経質になるのもこの病気の特徴らしく、私の場合は「鼻づまり」が気になってしまい、鼻が詰まって、窒息してしまうのではないかという恐怖が、四六時中、頭から離れなくなり、どうしようもない状態になってしまいました。

昼夜を問わずブリーズライトを鼻に貼り、異様に鼻だけに執着するこの行動は、家族を悩ませました。


【家庭崩壊の危機】


病状が緩やかに進行したのであれば、家族も心穏やかに助けてくれたことでしょう。

しかし私は、三か月間という短期間で一気にメンタルが崩壊してしまったため、家族は気味悪がり、困惑してしまいました。


体もガリガリにやせて、娘は何かに祟られたのかと思い、お守りを私の首に巻いたほどです。

私の症状末期の状態を下記に示します

ソワソワして意味もなく歩きまわる。
とにかく、じっとしていられない
全身がかゆい
とにかく疲れる
ゆううつで、やる気が出ない。
食欲旺盛
20キロ以上やせた
喉が渇く
家族団らんを避け、一人になりたがる
夕方になると不安になって涙が出る
イライラして、怒りっぽくなる
目つきがきつくなる
鼻づまりが気になって仕方がなくなる
急に過呼吸になって息苦しくなる
手がふるえて字が書けない
夜眠れない

想像してみてください
目つきの悪い食欲旺盛のおっさんがやせ細り、孫の手片手に、怒ったと思えば急に泣きだしてソワソワ家じゅうを歩きまわり、夜眠れなくても鼻にはブリーズライトをしっかりくっつけて、ゆううつそうに出勤する姿を・・・

こんな状態に困り果ててしまい、
私は嫁さんに伴われ精神科を受診しました。 
          
まさに家庭崩壊の危機でした。

精神科で頂いた精神安定剤は、よく効きました。しかし、薬が切れると元の状態に戻ってしまい、特に倦怠感は増すばかりでした。そのことを先生に相談すると、さらに強い薬を出され、これは違うと直感的に感じました。

男性更年期障害も疑って、男性ホルモンを調べに泌尿器科にも行きましたが、異常はありませんでした。

はっきりとした原因がわからなくて、
いよいよ絶望の淵に突き落とされる一歩手前の状態となりました。


【バセドウ病の発見】


2020年5月、バセドウ病はひょんなことから発見できました。

臨床検査技師の私は、超音波機器のコンディション確認のため、時々自分の体を使います。
その日は自分の甲状腺で確認したのですが、見てビックリ

なんと甲状腺が正常な人の3倍くらいあったのです。症状と甲状腺の大きさからしてバセドウ病と確信し、急ぎ先生に報告しました。

診断は実にあっけないものでした。


病院勤めなのに発見が遅れた理由は
・私が男性であったこと
・職場の先生方も精神的な病だと思い込んでいたこと

実際に私が診てもらっている先生にお聞きしても、バセドウ病は女性に多い病気であるし、男性が症状を訴えてもすぐにバセドウ病とは疑わないそうです。



【現在】


バセドウ病の発見が遅かったため、心不全にもなり、大変苦労しました。

そして、左肩に続き右肩も50肩となり、その後もしばらく波乱尽くめでした。

しかし、薬のおかげで辛い症状は次第になくなりました。

また2022年11月にはアイソトープも行って現在はすこぶる元気です。

心不全も治り、50肩もリハビリの効果で、大好きなゴルフが出来るまでに改善しました。

バセドウ病は私の精神を狂わせて、破滅に向かわせようとした仇敵ではあります。

半面そのおかげで、食習慣の改善を行い、タバコを止め、お酒もたしなむ程度となり、不摂生な生活は過去の出来事となりました。

これを読んでいる方は、今まさにバセドウ病と診断され、不安でいっぱいな方がほとんどではないでしょうか

私の体験が皆様に一助となれば幸いです。


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