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投資詐欺の実態。何故犯人は捕まらないのか。


オレオレ詐欺は捕まえやすい


ニュースで見ない日はないと言っても過言ではないくらい、目にするこの「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」などの特殊詐欺。認知されている被害総額だけでも年間300億円以上とも言われており。大きな社会問題となっています。

最近は10代や20代の逮捕者が多く、先輩や友人などの身近な人から「稼げる仕事がある」などと言われ、バイト感覚で犯罪に手を染めてしまっています。

こういった詐欺の主犯格は、当たり前の話ですがはじめから騙すつもりで高齢者などを狙って電話をかけたり、市役所や銀行、警察官などと偽って訪問したりする。そしてキャッシュカードや現金などをだまし取る。これは誰がどうみても犯罪だし、逮捕されれば、起訴されて大半のケースで実刑判決を受けます。

ちなみに詐欺罪は執行猶予がないケースも多く、罰金刑がなく懲役刑のみの重い犯罪なのです。より悪質なものなら初犯でもいきなり懲役10年というものあり得なくはありません。

では、詐欺で捕まるというのは法律的にどういうことなのか見ていきましょう。以下は詐欺罪の構成要件です。

詐欺罪の構成要件
1欺罔行為:錯誤を引き起こさせる行為
2相手方の錯誤:錯誤に陥る行為
3財物の処分行為:金品を渡す
4財物・利益の移転:欺罔・錯誤・処分により財物が移転
5財産的損害:財物の移転により損害の発生

詐欺罪として立件されるには、上記5つのすべてを満たす必要があります。逆に言うと、すべて満たさなければ詐欺罪にはなりません。このことは非常に重要なので必ず覚えていおてください。

オレオレ詐欺の場合
詐欺師「もしもしおばあちゃん....オレだけど、会社のお金を使って株で損しちゃったから今すぐ100万必要」→欺罔行為
おばあちゃん「それは大変。今すぐ用意しないと。」→相手方の錯誤
「現金を渡す」→財物の処分行為
孫が会社のお金を使ってしまったと思い込み、お金を渡す→財物・利益の移転
お金を渡してしまったことで100万円の損害→財産的損害

逮捕する側の警察にとっても、要件を満たしている事がわかりやすい「オレオレ詐欺」は、捜査がしやすい。110番したら、警察はすぐに動いてくれることでしょう。

では、投資詐欺はどうでしょうか。例えば、あなたがお金を預けて配当を得ていた運用先が突然飛んで、連絡が取れなくなりました。やっぱり詐欺だったのかも知れないと、警察に駆け込みました。さて、警察はすぐに動いてくれると思いますか?

警察には民事不介入の原則というものがある。


先程の答えはNOです。投資で騙されたと言った時点で、「証拠はあるの?」「民事は動かないから弁護士に相談してください」などと言われ、取り合ってくれないことでしょう。これが現実です。忙しくなければ、話くらいは聞いてもらえますがすぐに捜査をしてくれることは、ほぼありません。

これは民事不介入の原則と言って、民事紛争には介入しないということなのです。つまり、投資というのは個人間や企業間などでお金を出資した、貸借した。という関係の中でのトラブルなので、民事になります。

「友達に1000円貸して、期日までに返してこなかった。詐欺だ。」と言って、逮捕されたケース。みなさん聞いたことありますか?ありませんよね。投資でのトラブルも本質的にこれと同様程度でしかないのです。もちろん、やりすぎると寸借詐欺になるので、これはこれで罪ですが、投資詐欺とはまた性質が異なります。


投資詐欺は詐欺罪の構成要件5つの立証が困難


投資詐欺の主犯格は語弊があるかも知れませんが「頭がいいです」それは何故か。詐欺罪として立件されにくいことを知っているからです。

皆さんは気づいていたでしょうか。投資詐欺の逮捕者のニュースをよく見ると、「詐欺罪で逮捕」でなはく、「詐欺などの疑いと出資法違反」で逮捕されているケースがほとんどであることを。あくまで詐欺などの疑いなんですよ。あくまで疑いであるから、確信はない。つまり証拠がないのです。理由は簡単で、投資詐欺は詐欺罪の構成要件5つを立証することが非常に困難だからです

「最初は本当に利益を出せると思って事業や運用を行っていた。しかし思ったとおりにいかなくて、失敗した。」
「騙すつもりはまったくなかった。全部指示されてやっていたことだった。」

被害総額460億円、テキシアジャパンホールディングスの社長をはじめ幹部ら9人が逮捕されました。そして幹部らには判決がでました。詐欺罪ではなく出資法違反罪で懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円です。これだけ多くの被害者を出しながら、たった懲役2年でしかも執行猶予まであります。

つまり、誰もが見ても運用実態のない明らかな詐欺にもかかわらず、罪名は出資法違反です。あくまで元本保証を謳っていたのを罰せられたということにすぎず、詐欺ではないのです。世間で言う「詐欺」と法的な「詐欺罪」というのは、実は大きな隔たりがあることがおわかりかと思います。

そうなるとやはり、一番難しいのは構成要件の1つ目である欺罔行為の証明です。テキシアジャパンがはじめから故意に投資家を騙すつもりで嘘をついていたことを証明しなければなりません。簡単そうに思えますが、はじめから故意に騙そうという気持ちを様々な証拠から証明しなければなりません。

テキシアジャパンのように、巨額の被害額であれば、警察が動くこともありますが、数千万〜数億円程度では捜査に踏み切らないケースが大半でしょう。

結果的に、「騙される方が悪い」とされる世の中


仮に詐欺師が逮捕されても、お金が返ってくるわけではありません。国が被害額の弁済などをしているわけではありません。もちろん、財産などがあれば債権者に分配されるかと思いますが微々たるものです。期待はしていけません。

このことを忘れないでください。もちろん真の意味で悪いのは詐欺師です。しかし己の欲望につけこまれてあり得もしない話に乗ってしまう方も悪いのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。ちょっと法律の専門用語などもでてきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。大事なの自分の身を守る知識と教養です。

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