形而上学的な『正義と善』と政治的な『正義と善』

サンデルの仕事
それまでアメリカの中心的政治主義であったリベラリズムを批判
コミュニタリアニズム(共同体主義)や共和主義の重要性を主張

【これからの「正義」の話をしよう】
『正義と善』に関わる思想を大きく6つ提示

・功利主義(ベンサムなど)・リバタリアニズム(ロスバードなど)
・リベラリズム(ロールズなど)・コミュニタリアニズム(サンデルなど)

そこに追加してカントの道徳論アリストテレスの目的因に言及

1884年夏
4人のイギリス人船乗りが、陸から1800キロ離れた沖合で遭難
彼らは沈没した船から救命ボートで脱出
その後何日も漂流していた
持っている食料は缶詰2個だけ、飲み水なし
船長のダドリー、一等航海士のスティーブンズ
甲板員のブルック、雑用係のパーカー

漂流して12日目
パーカー、忠告を聞き入れずに海水を飲んでしまった
もう死にかけているようにも見えた

19日目
船長のダドリーはくじ引きで誰か死ぬべき者を決めようと提案
目的は食料
ブルックの反対の結果行われず

翌日
ダドリー船長はパーカーの頸動脈を折りたたみナイフで刺し、殺害
仲間を食料にすることに断固反対していたブルックも
このおぞましい恵みの分け前にあずかる

漂流24日目
【三人】は一隻の船に救助された
その後三人の裁判で謀殺罪が適応、死刑宣告
世論からは無罪との意見が多くあがったため
ヴィクトリア女王から特赦が与えられ
禁固6ヶ月に減刑

【ミニョネット号事件】においての正義とはなんだったのか

弁護士はそのままでは全員死んでしまう可能性が高かったとし
三人を救うためには一人を殺すことが必要だったと主張
死ぬに違いなかったパーカーを殺すことは
全体の利益のために合理的な判断だったとする

仮にそうだったとしても道徳的に人殺しが許されるのか

おそらくこの議論に答えはない
しかし、政治や司法では答えがないものにも決定を求められる
この暫定的な答えが『正義と善』に関するそれぞれの思想

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