ヴァイシェーシカ学派

紀元前2世紀ごろ成立
カナーダ【ヴァイシェーシカ・スートラ】が経典
ヴェーダを実在論、多元論の立場から解釈

一説には古代ギリシア哲学との交流があったとされる
元素に関する考え方などは双方において影響しあった?

ヴァイシェーシカ学派は【六派哲学】の一つ
六派哲学とは、当時多様に存在していた哲学学派の中で
現在も有用とされる6つの哲学

時代ごとにその選定基準は変わり
現在の形に落ち着いたのは1800年代
アーリアン学説で有名なマックス・ミュラーなどが選定したもの

ヴァイシェーシカ学派は世界を【6パダールタ】に分類
実体・属性・運動・普遍・特殊・内属

パダールタは英語ではCategory
ただしアリストテレス的なカテゴリーとは違う

アリストテレス的なカテゴリーには『概念』の性質が含まれる
著書『範疇論(カテゴリー論)』
実体とその他の様相(性質や関係)を分ける

ヴァイシェーシカ学派のパダールタにおける様々な事象は
より広い範囲を言語に対応した実在

【実体】…全九種類

四元素 地・水・火・風
4つの実体によって自然界の全てが形作られる

虚空
古代ギリシアの元素説においては、エーテルとされたものと近い
四元素が移動するための空間
虚空は音の属性だとも言われる

時間・方角…位置関係や時間関係に関わる要素
アートマン…自己
マナス…思考器官、心

これらの実体が他のパダールタと影響し合うことで世界が構成されている

ヴァイシェーシカ学派においては
身体も原子もまた別の実体
身体と頭、耳、口なども別の実在

『原子は目に見えないのに、なぜ原子が集まった身体は見えるのか?』
という疑問に対し
「原子と身体は別の実体だから」
という回答が可能に

ヴァイシェーシカ学派においての解脱は6パダールタの理解にある
→無知消滅、万物への執着消滅
→欲望・憎しみの消滅
そこから生じる善悪の行為、それに伴う結果も消滅

最終的に過去に積み重ねられた行為の結果(業)が消滅
輪廻から解脱に至る

ヴァイシェーシカ学派は言語と実体は完全に対応していると考える

他の学派はこのような実在論的姿勢を厳しく批判
『ヴァイシェーシカ学派の世界は
実世界よりも広い言葉の世界である』

ヴァイシェーシカ学派においては経験(知覚)と合理(推論)は矛盾しないと考える
経験はありありと知覚することができる
合理でたどり着ける推論の世界、例えば原子の世界などは
ヨーガや瞑想によって知覚できる

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