アウグスティヌス
生涯
キリスト教徒の母と異教徒の父との子として
北アフリカのタガステに生まれる
若い頃から様々な学問を学び、その後はローマ、ミラノ、北アフリカのヒッポなど
様々な場所で活動
元々はマニ教の信者だったが、その後新プラトン主義に出会い、
それらを知るうちにマニ教に幻滅、キリスト教に回心
ミラノからアフリカに帰った折、
アウグスティヌスは息子や仲間と修道院で生活
その際に生活規範として定めた規則は『アウグスティヌスの戒則』と呼ばれ
後のキリスト教修道会規則の一つに
アウグスティヌスは教父という立場
これはキリスト教の正しさを説く役割で、
そのために宗教を論理的に分析し発信する必要
これが、宗教と哲学が融合し始める大きな要因に
照明説
アウグスティヌスは神は確かに存在する。ということを
Godと魂の関係性に見出そうとする
判断という営みは自分の中で明らかに実感できることだから
まず前提として自分自身は存在していると確かに言うことが出来る
何かを判断するとき、どのようにしているかというと
自分の中になんらかの『真理』が存在していて
それと比較することで判断することができている
自分の中にある真理は永遠に不変の存在
その真理はモノが光に照らされて初めて見えるように
Godの光に照らされて初めて認識することが出来る
つまり、人間はGodの光の照明によって真理を認識し、
その真理に照らし合わせることで物事を判断している
イデア論に類似
物事を認識するには物事自体という概念が必要
その概念はどこから出てきたのかというと
超越的な存在から出てくるとしか考えられない
よって超越的なものは存在する
ここからも、アウグスティヌスが新プラトン主義の
影響を受けていることが見て取れる
時間論
時間は過去・現在・未来の3つに分けることが出来る
しかし過去は過ぎ去っていて、未来はまだ来ていないので
実際にはどちらも存在しない
なぜ過去と未来を人間が認識できるのかというと
過去は記憶として、未来は期待として人間の意識の中にあるから
記憶と期待を持つのは間違いなく自分自身
時間は人間の外にあるものではなく
人間の意識の中にあるもの
人間はGodによって創造されたのだから、その人間の中にしか
存在しない時間も神によって創造されたと言える
自由意志
Godはなぜ人間に自由意志を与えたのか
人間に自由意志を与えなければ悪事を働くことなく
世の中はもっと平和だったはず
『悪の被害者になる』原因はGodの天罰だが、
『悪を働く』のは人間によるもの
人間は本来、理性によって欲望を支配しなければならないが
自由意志があるため、欲望に支配されてしまい、悪事を働く
自由意志は【中間の善】であり、悪事の原因にもなり得るが
正しい行いの原因にもなりうるもの
そして人間はキリスト教の教えによると原罪を背負っていて
自由意志を正しい行いに使用することができない
自由意志を正しい行いに使用するために必要なのが
Godの恩寵であり、恩寵があって初めて正しい行いができるようになる
アウグスティヌスの思想は、カトリック教会の教理の基本となるばかりか
中世の神学者トマス・アクィナスへ引き継がれ
ニーチェやショーペンハウアーにも大きな影響を与える
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