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木と棋プロジェクトはじめます

日本の美しい木々で、ボードゲームのコンポーネント(棋具)を作ることに挑戦します。プロジェクト名は「木と棋」で、第一弾として10/18(金)〜20(日)に行われる「山の資源と暮らし展in 大磯うつわの日」に参加します。

ずっとボードゲームの世界で暮らしていた私が、なぜ偉大な先輩たちが跳梁跋扈する木工の世界に足を突っ込もうとしているのか。ただただ単純に「ワクワクするから!」という理由なのですが、他にもいくつかの理由が絡み合っていて、その一つを長々とお話したいと思います。

長いので、面倒でしたら「ワクワクしとるんだなー」と思ってここで閉じてください(笑)。

だましだましのモノづくり

日本は世界でも有数の森林国で、1200種類もの樹種が生息しています。広葉樹という美しい木々も多いです。でもホームセンターに並んでいる取り扱いのしやすい、安い木材の多くはわざわざ外国から輸入しているものです。日本に木が多くても、それらを製材して一律の取り扱いのしやすい商品にするには大変な手間とコストがかかるためか、その仕組みを作るのがなんらかの理由で困難なのでしょう。

私と北尾まどかさんでどうぶつしょうぎを初めて作ったとき、最初の100セットは自分たちの手で加工も頑張って、その後は就労支援施設などに木の加工をお願いしていました。おもちゃとしての売価を維持するために安く作業していただけたのはとてもありがたいことでした。その後大量生産化される際は中国の木材で中国の方が加工することになりました。自分の手では絶対にできないところまで大きく広げてくださることにはただただ感謝です。

けれども、なんで自分の国で遊ぶおもちゃを作るのにも、外国の労働力に頼らなければならないんだろう?という疑問はずっと残っていました。今は身の回りの衣食住に関わるありとあらゆるものを外国のお世話になり、自分の国の労働力にはコストを払うことができず、豊かな資源があっても活用できない。なんだか、だましだまし暮らしているような気がしていました。

そんな中で、木材の高騰や中国の方の人件費高騰があり、先日おおきな森のどうぶつしょうぎは大きく値上げすることになりました。そして次はこの木の駒の形態ではもう作ることができなくなるかもと言われました。私はいつかこうなることを予感していたので驚きはしませんでしたし、もし仮にもっと人件費の安い国や木材が見つかって今の生産を維持できたとしても、同じことの繰り返しで、自分たちの手でなんとかすることができないといううっすらした絶望感は変わることはありません。

終の棲家という言葉がありますが、50代を迎えて終の事業、終の挑戦というものを探していた私は、家で自分の手でやすりをかけたり、自分の好きな材を探してきて、これを何に仕立てようかなと考えている時間がとにかく楽しく、社会に届けるにはあまりにも非力で小さいけれども少なくとも会ったこともない人や社会に頼らなければ何もできないという絶望感からは無縁でいられます。小さくて取るに足らないことでも、最初から最後まで自分の目で見届けたものづくりができる、それはとてもワクワクすることで、終の事業があるならば、このようなことに挑戦したいと思うようになりました。


ダイスカップも珠笥も最初は外国製のものを買いましたが(日本製の棋具というのはとにかく少ない!)これからは自分で作ったものをワクワクしながら使いたいなーと思っています。そしてまだまだ商品化できるクオリティではありませんが、いつか少しでも周りの人に届けられたら。

ブランドというにはあまりにも技術が足りないし、いつその日がくるかわからないし、残り時間の短い私は、完成品を待ってられないので、挑戦する過程そのものをプロジェクトと名を打って発信していこうかと思いました。発信は主にInstagramになると思いますので、よかったらフォローしてみてください。

長くなったけれども、単純に広葉樹が美しくてずっと作業していたい、が一番の理由です(笑)。


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