勝谷誠彦

憧れのラーターであり、私の師匠の師匠格でもある勝谷誠彦さんが亡くなられた。57歳だった。

勝谷さんといえば「綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件」や月刊Hanadaの名物コラム「アッパレ築地踊り」で有名だったように聖域なきジャーナリズム、反人権、反野党として世間では知られていたように思う。

ただし、私の認識は少し異なる。「綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件」の記事を今読み返すと明らかなのだがあの記事では未成年犯罪者の”実名”が明かされているだけでそれ以上のことを勝谷氏はしていない。あの記事を読んだ人権派弁護士が如何にも確答記事及び勝谷氏が問題人物であるかのようにあの事件のWikipediaを見ると書かれているが実は勝谷氏はさほど反人権的な行動をあの記事を通じてとってはいなかったのだ。むしろ、週刊文春が未成年犯罪者の実名を公表したのをいいことに犯人の親をテレビカメラを持って追いかけ回し、白昼堂々ワイドショーでその顔を全国放送したテレビ局のほうが反人権的だったのではないかと私は思う。事件後も酒鬼薔薇事件や少年犯罪が起きるたびに勝谷氏は日本で初めて少年犯罪者を実名で報じた人間としてカメラの前で犯罪者や人権派に苦言を呈していたがそれは実は誰よりも彼らの更生を勝谷氏が祈っていたからではないだろうか。本来であれば「綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件」の記事を通じて勝谷氏は犯人の顔写真を掲載することも出来たはずである。それをしなかったのは勝谷氏が誰よりも”人権派”だった証拠なのではないだろうか。

いま日本の言論界は岐路に立たされている。安物のコメンテーターが当たり障りのない発言に終止し、大マスコミによるダブルスタンダードも散見される。言論の自由の範囲内であっても反差別派からは自分たちの意見と食い違えばネット上では罵倒され、清廉潔白、品行方正が求められる。勝谷氏のような言論人には生き難い世の中だ。

「綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件」で少年犯罪人の実名報道がなされた後、同誌の編集長であった花田紀凱を呼び出し、編集委員と対談させるという形で間接的に重要少年犯罪人の実名報道を肯定した新聞社が1社だけあった。自分たちの手を汚すことなく美味しいところだけ掠め取ろうという魂胆が丸見えであった。その新聞社は朝日新聞である。

ありがとう、勝谷さん。あなたは私のスパースターでした。そして、僕はあなたの弟子の一人に導かれてあなたと同じ週刊誌記者のキャリアを歩み始めます。

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