「読まなければいけない」という立場 市村弘正「読むことと経験すること」84頁

 たとえば中野重治が石井桃子さんの『子どもの図書館』から引用しています。「私は、この本を書くにあたって、『これからの子どもは、今までの子どもにくらべて、本を読まなくてもいいのか』という点では『読まなければいけない』という立場をとりました。」
 中野重治はこの文章に続けて「私は賛成する。事がらとして賛成するが、それとともに、あるいはそれ以上に、石井のこの書き方、そのいさぎいい書きざま、その美しさに賛成する。そこが楽しい」と書いています。ぼくもそういう立場をとりたいですね。
 かれらにならって言うなら、本は読まなければいけない。そうしないと、世界とつながれないし、解放されないし、楽しくないから。

市村弘正「読むことと経験すること」『季刊 本とコンピュータ 2004春号』84頁)

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