シュタイナー教育の世界

東京シューレの公開研修プログラムで、横浜シュタイナー学園の佐藤雅史先生のお話を聞くことができました。

シュタイナー教育では、主に先生の話を通して授業が構成されるという。

「子どもたちが先生の語りに夢中になっているとき、目は先生に向けられているけれど、子どもたちはそれぞれ自分がつくった映像を見ている。想像力こそが学びの原点」

佐藤先生のその言葉のとおり、佐藤先生の語りから私の頭の中にはシュタイナーの教育の世界が、あの柔らかな色合いで描かれ、すっかり夢中になってしまったのでした。

佐藤先生が聞かせてくださったシュタイナー教育のエッセンスだけ、私の学びの原点として、新鮮なうちに書き残しておきたいと思います。

私が魅了されたシュタイナーの世界

①ノートは色鉛筆でかく

色は性格を持っている。ノートを色鉛筆でかくことにより、学びが、そのときの感情や体験と一緒に刻まれていく。

②ゆっくり学ぶ

例えば漢字。低学年では漢字の”日”を一週間かけて学ぶ。

漢字の成り立ちや、自分に役立つものだという納得感、面白さの発見が、その後の学びを促進する。学びの準備性が十分に耕されると、学年が上がるにつれて学びの自主性が高まり学びも加速していく。

③通知表は詩

テストや数字で評価する通知表がシュタイナー学校には、ない。

その代わりに、日常の姿や伸びたところ、残る課題などを担任の先生が文章で記載したものと、その子をうたった詩(先生オリジナル!)が子どもに渡される。

その詩を子どもたちは毎週自分が生まれた曜日に読み、自分に染み込ませていくのだとか。

シュタイナー教育誕生の背景

シュタイナー教育は、第一次世界大戦後、”これからこの社会をどうしていくのか?”という問いから生まれた。

シュタイナー(思想家・ゲーテ研究家)は、

☆社会の健全さ=子どもの教育であり、この両者に寄与するのが「人間の自由」である

☆自由な人間こそが調和を築いていける

このように考え、自由な自己を引き出していくのが教育だと考えた。

社会有機体の三分節構造

社会は以下の3つの要素で構成されている

①文化(精神生活)…個人が自由で自律性を持ち、独立していること

②法(国家)…すべての人が持つ同じ権利を保障すること

③経済…人間がお互いに富ましあうこと(互恵性)、博愛、友愛、思いやり

法(国家)からも経済からも一定の距離を置き、自由な自己を引き出し、”個”を育てていくことを重視して、自由waldarf学校が誕生した。

自由とは?

佐藤先生は”自由”を様々な言葉で説明してくださった。

 ☆自分の行いと内面が一致していること

 ☆自分が本当にそうありたい自分でいること

 ☆内発的に喜んで何かをやっているとき

 ☆やらされ感がないこと


おわりに

以上が佐藤先生のお話で印象的だったエッセンス。

私がもっとも衝撃を受けたのが、通知表の代わりが詩というところ。

シュタイナーの教育の学びのスタート地点に立っただけだけれど、一人の人を詩に描こうとする先生のそんな眼差しの中で貴重な子ども時代を過ごせることは幸せなことだと感じたのでした。

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