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ピアノ購入のヒントPart.3

「ピアノを買おうかな」とお考えの皆さんに向けて発信しております。(全3回)
Part.1とPart.2を読んで下さった方は、販売側それぞれの立場と購入側の自分の考え方についてある程度の分類が出来たことと思います。そこで得られた答えは「自分自身が良いと思ったピアノこそがベストアンサー」という当たり前の内容でした。最終回は「自分にとって《良いピアノ》を考えよう」がテーマです。

Part.1とPart.2をまだ読まれてない方は下記のリンクからどうぞ。

さて今回も一筆。

※この記事は独断と偏見によって書かれています

ここが実際と違う、それは間違いだ、言い過ぎだ、等のご意見は一切受け付けないので悪しからず。全てフィクションだと思っていただいても構いません。それでは本題に入りましょう。

《悪いピアノ》を知る

良いピアノを選びたいのであれば必然的に悪いピアノとはどんなものかを知る必要があります。まずは代表的なものを2つ。

1.ダメージを受けたピアノ

塩害(水没)や鼠害(ネズミの被害)に遭ったピアノです。莫大な費用をかければ修復不可能ではないものの、記念碑的な価値を持つピアノ以外は完全修復のコストに見合わないため廃棄される運命です。但し知人から譲ってもらったとか個人売買で入手したという場合はこの限りではありません。お店や専門家経由でない場合は、本人もダメージに気が付かずに譲渡している可能性もあります。画像のピアノのように外から見て壊れているとわかる場合は別ですが、ピアノは重要なパーツのほとんどがケースの中に隠れています。練習用に使いたい場合は、中古本体価格を遥かに超える作り直しに近い作業が必要となる場合があり、この場合は新品を買った方が安上がりです。

2.未調整の古いピアノ

ピアノの寿命は100年以上と言われることもありますが、これは当然ながら消耗部品を交換し然るべきメンテナンスを行いながら延命している場合に限られます。設置環境も影響しますが、製造から30年以上経過したピアノを調律のみで正常に使用するのは無理があります。ここで問題なのは正常でなくとも「とりあえず音は出る」ということです。音が出る=正常という考えは、エアコンから風が出る=正常と言うくらい横暴です。機能を正常に近づける作業を「整調」と言いますが、放置された期間が長い場合はパーツ交換を含め整調作業に10万円程度の予算を覚悟しておいた方が良いでしょう。オーバーホールが必要だと判断された場合、修復に30万円程度はかかります。それでも響板の状態が悪かったり駒の状態が悪かったりすると、そもそもピアノとして寿命が尽きたと考えることが出来ます。作り直しに近い作業が必要となり、新品を買った方が安いからです。

《良いピアノ》一般論

さて悪いピアノがどんなものかが分かったら次は、所謂《良いピアノ》の話です。ストレートに言うと予算の話はおいといてという前置きが必要になります。所謂良いピアノは高額だからです。メーカー/ブランドを挙げると、まずは世界三大メーカーであるスタインウェイ(アメリカ),ベーゼンドルファー(オーストリア),ベヒシュタイン(ドイツ)の3社です。それ以外にドイツのシュタイングレーバーやブリュートナーといったメーカーも世界最高峰に名を連ねます。これらのピアノは甲乙つけがたい独特の個性を持ち、世界中で高い評価をされています。どのメーカー/ブランドにも言えることですが、例えばスタインウェイの最高スペックはD274というフルコンサートピアノであり、それ以外のサイズはある種の「妥協」によって作られていると言われます。もちろん日本のヤマハやカワイの最高スペック品であるCFXやSK-EXも世界最高のピアノの一角であることは間違いありません。ただ、フルコンはスタインウェイで税別2,438万円、ヤマハやカワイも税別1,900万円程度。コンサートホール用のグランドピアノなので設置スペースの問題もさることながら、一般的な経済力で簡単に購入出来る金額ではありません。フルコン以外のサイズにしても、スタインウェイやシュタイングレーバーといった世界最高峰のグランドピアノは1,000万円~1,500万円します。アップライトピアノの最高峰はベヒシュタインのConcert8という機種ですが、こちらも税別550万円~600万円します。これに比べて海外メーカーのセカンドブランド(ボストンやホフマン)は100万円程度から、国産のヤマハやカワイのアップライトピアノは70万円前後から幅広くラインナップされております。

見た目が好きなピアノ

部屋の雰囲気にマッチするピアノは部屋全体を輝かせ、それがあるだけで生活を彩り豊かにしてくれます。音さえ良ければ汚くても良いという方も居られますが、多くの人はピアノに美しさを求めますし、楽器に対するその感覚は国や民族を問わず古くから変わらないものだと思います。お部屋によっては黒くて大きいピアノが似合わない場合も多く、木目家具調のコンソールピアノは日本でも根強い人気があります。音の良し悪しやタッチの良し悪しは違いがあんまり分からないし然程こだわりがないけど、見た目に関しては強いこだわりがある、という方もたくさんいます。ここを妥協しないことが良いピアノ選びでかなり重要だと私は思っています。

自分の予算に合ったピアノ

自分にとって良いピアノが自分の予算に合わないのであれば本末転倒です。コツとしては「ちょっとだけ背伸びした価格」を選ぶことです。毎日の生活の充実感はお金に代えがたいもの。無理して予算から大幅に外れたものを選ぶことは良くない選択ですが少しの予算オーバーを気にして「本当はこっちが欲しいけど諦めよう」と妥協した人がずっと後悔している様を見ることは珍しくありません。そういった方は後で必ず「思い切ってこっちにしておけば良かった」と言います。逃がした魚は大きく見えるのかも知れませんね。また、特に日本で売られているピアノはほとんどの場合スペックと価格が相応です。低いスペックのものが不当に高かったり、高いスペックのものが何故か安かったりというケースはほとんどありません。高スペック品が不自然に安かったら何か理由があるはずです。

好きな音がすること

ご予算の範囲を中心にいろんなピアノを触ってみてください。ピアノに触れた経験の少ない方はどれも同じ音に聞こえてしまうかも知れません。最初はそれでも良いですから高音・中音・低音を強く、弱く、それぞれ弾いてみてください。だんだんとピアノの個性が分かるようになるはずです。いや、分かった気になるだけでも構いません。どんなにピアノを極めたプロフェッショナルでも感じ方は人それぞれですから。そんな中で嫌いな音や好きな音がきっとみつかるはずです。お子さんが使われる場合ならお子さんに弾かせてあげてください。好きか嫌いか、単純な質問をしてあげると良いでしょう。「わかんない」と答えたなら、きっとそれは好きな音ではないということです。

それがあなたにとって良いピアノ

ご予算の範囲内で、見た目が好きで、気に入った音のピアノ。それがあなたにとって良いピアノです。世代を超えて長い期間使いたい方や、最低5年~10年は使いたい方、それぞれピアノに求めるものがあるかと思います。前述のとおりピアノの寿命はメンテナンスやパーツ交換に大きく影響を受けますので、相応の期間を求めるのであれば新品もしくは内部検査や消耗パーツの交換が済んでいる中古を選ぶと良いでしょう。こちらもいずれ記事にしていきたいと思います。

ピアノ購入のヒント

いかがでしたでしょうか?ピアノ購入は大きな買い物です。なかなか買い替えも難しいものですから間違った買い方をしたくないという気持ちから慎重にならざるを得ません。ですからご自身の中に「基準」を作ることで心がすっきりし不安や迷いが晴れていくものだと思います。今後も皆さんの不安や迷いが少しでも解消出来るようなピアノに纏わる記事を投稿していけたらと思います。長文をご覧いただき誠にありがとうございました。

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