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ピアノ購入のヒントPart.1

今回はピアノを買おうかなとお考えの皆さん、その中でも数多の「ピアノ購入ガイド」のようなウェブサイトに目を通された方に向けて発信したいと思います。(全3回を予定)
これを読んだ方が、ピアノ販売の裏側はこんな感じなのか、というのがイメージ出来たなら幸いです。その前に誤解を招きたくないので一言だけ!

※この記事は独断と偏見によって書かれています

ここが実際と違う、それは間違いだ、言い過ぎだ、等のご意見は一切受け付けませんので悪しからず。全てフィクションだと思っていただいても構いません。それでは本題に入りましょう。

セールストークはポジショントーク

至極当たり前のことですが、モノを売る側のセールストークというのはほとんどの場合がポジショントークと言えます。それは不動産でも保険でも同じこと。彼らが何を言わんとしているかを深く理解するには「どのポジションの人か」も併せて考える必要があります。とりあえずポジションごとに店を分類してみました。

1.中古ピアノ販売店

中古買取に力を入れ、買い取った中古品を修復して販売する業者です。新品の取り扱いはしていないorごく僅か。買い取ったもの全てを小売に回せる訳ではないので、ほとんどの場合は中古輸出と兼業しています。むしろ輸出がメインで小売を兼業しているという言い方がしっくりきます。店の成り立ちを見ると、廃業したピアノメーカーの元職人だったりピアノ修理業者だったりします。このポジションのセールストークは「かつてのピアノは素材も作りも今より断然良い」というもの。30年~50年前の素材(主に木材)が全く劣化していない前提で新品と比べてしまう『トンデモ理論』の持ち主です。昔どおりの木材を今の新品に使うとなると高額になるのは確かですが、経年劣化し未修復のものよりは新品の方が良いです。金属も木材も接着剤も塗料も、全てが劣化しますし、ここは消耗パーツを交換しても戻せません。本当の修復には新品を作るより大変な作業が必要になりますし、そこまでの作業をしているのはS社のドイツ工場他数社程です。つまり中古品最大の利点は「新品より値段が安い」ということに尽きます。もちろん、既に廃業したメーカーのピアノがどうしても欲しい人にとっては中古品しか選択肢がないのでこの限りではありませんが、どうしても古いモノが好きな人を除けばメリットは価格だけ。このトークを紐解くと《自分が正規販売出来ない新品なんてものは論外です》となります。

2.特定メーカーのディーラー・直営店

最大手メーカーY社の特約店や海外メーカーS社の特約店、大手メーカーK社の直営店がこれに該当します。大抵の場合、高級感のある店構えや特約店共通の店のデザインが特徴です。彼らは「新品ピアノ」の正規ルート販売をしていて、資料や保証書も全て正規のものです。何かトラブルがあればメーカー本体と連携して問題解決にあたってくれる心強い店です。もちろん新品の他に「ディーラー認定中古」や「メーカー認定中古」のような形で中古販売も行っています。前述の「中古ピアノ販売店」より格上にあたり、激安販売のようなことはしない場合が多いのでプライドも値段も少しお高め。このポジションのセールストークは「ピアノ購入はお店選びが最も重要」というもの。これを通訳すると《うちはその辺の中古屋と訳が違います》となります。

3.ピアノ量販店

国産中古ピアノをメイン商品とし、大手K社やその他メーカーと特約店契約をしている店。中にはドイツB社等のブランド品も取り扱う店もあります。最も商品の幅が広く、中古新品問わずたくさんのピアノを展示しています。このパターンの店は実態も幅広く、一括りには出来ません。お客の予算を会話からキャッチし、チャンスがあればヨーロッパの高級品や国産新品をセールス、そうでなければ1の業者と同じようなトークで国産中古品をセールスします。客にとって最も良い選択肢を提供してくれるとも言えますが、同じ店内でそれぞれの客に真逆のことを言っているなんていう爆笑シーンも起こり得ます。最大手Y社や米国S社の新品を非正規販売する場合もありますが、その場合はメーカー保証ではなく店独自の保証になることもあり得ます。このポジションのセールストークは「〇〇最大級の展示台数」「激安販売」「安心の〇年保証」です。これは分かりやすく《薄利多売》という意味です。ピアノ購入に於いて薄利多売店の消費者側デメリットは、修復や出荷調整のコストカットであり、この部分の見極めはとても難しいです。とにかく安い下請け外注が使われたり、社内の技術者が厳しい時間制限の中で作業したり、といった形でコストカットをしています。

4.調律師の個人店や紹介販売

フリーの調律師が調律事務所兼小さなショールームとして運営している場合などがこのカテゴリーです。超有能スーパー技術者が運営するお店から、低レベルなバッタ屋まで多種多様にあります。ほとんどの場合は経歴を見ても判別不可能で、展示ピアノのレベルの割に立派な経歴を持っている方もたまにいます。ここで1の中古販売店のセールストーク「かつてのピアノは素材も作りも今より断然良い」が登場したら黄色信号。一概に断定は出来ませんが、新品を扱えないからという理由で出た言葉の可能性もあり得ます。中には中古卸業者から買ったものをロクに手入れせずそのまま販売する輩もいます。小規模な個人店は「穏やかな職人さんの店」といった場合もあります。良い意味で当たりハズレの幅が最も大きいでしょう。

今回のまとめ

それぞれ色々なポジションがあるのがお分かりいただけましたでしょうか?自分のところで取り扱い出来ないものを悪く言う店には気を付けなきゃいけないという当たり前の話なんですよね。次回Part.2は「じゃあ結局どうしたらいいの?」をテーマにお届け出来たらと思います。

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