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満月動画について

はろーぐりゅすごっと!
Pianist Daiです。

突然ですがみなさん夜に空を見上げることってありますか?

ぼくは殆どありませんでした。
たまーに、「あ、今日夜晴れてるから星見えるかも。」
と思いながらふとした時に見上げることがあっても、最近までは1年に12回来る満月を何回見てるかといったら恐らく1回2回くらいなのかもしれません。

でも月や星ってとっても好きです。皆さんはどうですか?

去年何回か月の日に動画をアップすることがあったのですが、それから月の時期を割と気にするようになりました。

1.満月動画を出そうと思ったワケ

現代社会に生きていると、何だか生きることが精一杯で、朝陽や夕陽を意識的に見ようとしたり、月や星を見ようって中々ないと思いませんか?
でも時間や気持ちに余裕のない現代人だからこそ、ちょっとしたことに感動したり幸せを感じる瞬間って大切なんじゃないかなぁっておもいます。

ぼくは自然がすごく好きで夏はキャンプに自然を感じに行くのですが、晴れていると夜はすごく月が輝いていたり、満天の星が瞬いていたり。
そういう時に
「ああこの星ってこの曲が合うかなぁ」とか
「この月を撮影して動画に使ってみようかな」とか
結構インスピレーションが湧くんですよね。

それは勿論、月や星の自然の美しさがそうさせるのですが、本質は、月や星が直接そうさせるというより、その自然達の美しさを自分が受けて、自分自身がいい状態になることで湧いてくるもの、だと思うんです。
それは作曲にも共通してることが言えるのですが、例えば現代曲と違ってクラシックはタイトルがついてない曲が殆どなのですが(作品番号のみというものが多い)それは例えば「夕陽」というテーマがあった時に、現代では「夕陽の美しさそのもの」を曲を表現しよう、というものに対し、クラシックでは「その夕陽を美しいと感動しどう感じたか」ということを曲にするのではないかなと思います。(※個人の勝手な見解です)

ということで少し脱線してしまいましたが3月は29日が満月だったのですが、今回は満月をより味わう為と、こんなにも素敵な自然現象1ヶ月に1回もあるのだから、もっと感じたいなと思い2日前からカウントダウン動画を出すことにしました。

2.満月動画(3作品)が全て左手なワケ

右手の親指と人差し指の間の靭帯が炎症しちゃったので左手のみで弾いてます。
ネット活動休止しようかなとも思ったのですが、何かに理由つけてやめてしまうとすぐナマケモノになるので、左手だけでも動画をだそうと思いました。

3.左手で曲をアレンジするやり方

左手は基本的に伴奏やベースを担うことが多く、メロディは右手が担当することが多いのですが、伴奏もメロディも左手一つでカバーしていきます。
大まかな方法としては以下の4つ。
(以降、各奏法を米印の名前で呼称します)

1.ベースを弾いて高速アルペジオでメロディへ繋ぐ。
4拍子であれば1拍目のみ、もしくは1拍目と3泊目、3拍子でも同様に1拍目のみ、もしくは1拍目と3泊目にベースをもってくる。(※アルペジオ)

2.ベースを弾いて跳躍でメロディへと繋ぐ。
基本的な跳躍距離は大体2オクターブまで。(※跳躍)

3.オクターブをおさえる小指をベース、他の指でメロディを弾く。
(※オクターブ)

4.メロディのみをアルペジオで構成し、アルペジオの頂点部分にメロディーをあてる。
(※アルペジオメロディ)

ボリューム持たせる為に、それらを組み合わせたり、メロディからベースに繋ぐこともありますが大体はこんな感じです。

3.満月になるまであと2日(ザナルカンドより)

曲は色々迷ったのですが、直感のままに決めました。
3曲のうちの最初の1曲目は

ファイナルファンタジー10より
「ザナルカンドにて」

にしました。
もう言わずもがなですよね。
ゲームをプレイした方は勿論、プレイをされてない方でもご存知の方は沢山いらっしゃるのではないかと思います。
この音楽を敢えて一言で表すなら

圧倒的な世界観

これに尽きると思います。
ということでこの曲にしました。

3a.この曲の左手のぽいんとっ!!

それが・・・

全く何の苦労もありませんでした。(ぉぃ)

かえって左手だけのバージョンなんて多分一つも存在していないと思うので、オリジナリティが出しやすかったと思います。
基本的には先述したオクターヴを小指でベース、その他をメロディを弾く手法にしました。
この曲は高音がメインなので右手と左手の位置が近いので比較的左手で両手のようなボリュームを出すのは比較的容易でした。
あとはただ只管に音を感じて指に光を込めてその光を鍵盤に浸透させるイメージで左手を下ろすだけです。

光を感じて頂けたら嬉しいです。


4.満月になるまであと1日(ポドールイ)

この曲も直感のままあっという間に決まりました。
知名度でいうと、先述したザナルカンドよりはないものの、その曲の美しさは全く別の異次元な美しさがあります。

この曲はRomancing SaGa3という1995年にスクウェア(現:スクウェアエニックス)に発売されたスーパーファミコンによるRPG(ロールプレイングゲーム)です。
ぼくはスーパーファミコンをもってなかったのでプレイしたのは大人になってからなのですが、冒険の中、ポドールイという街にたどり着いた時に流れたこの音楽はとても衝撃的な癒しのメロディーでした。
オリジナルを聴いてみて下さい。


この音楽を一言で表すなら

一面に広がる白銀の世界

4a.この曲の左手ぽいんとっ!!

序盤は※跳躍で演奏していますが、中盤からは※アルペジオメロディで演奏しています。(下の動画では該当箇所から再生されます)


これはメロディーの拍数によって適した各奏法を取り入れる必要があるからです。
アルペジオメロディは左手オンリーならではの響きがでるので、オリジナリティを持たせるという意味ではとても有効な奏法になると思います。

個人的なこの曲の素敵なところですが、言葉だと分かりにくいのですがよかったら音楽全然わからないって方も一緒に想像してみて下さい。

曲始まりの1番最初の音から7番目の音まで(ミシラレドファシ)を聴いてみて下さい。
1番目の音から4番目の音(ミシラレ)でメロディーが上がっていき、5番目・6番目・7番目の音(ドファシ)でメロディーが下がっていきますが、この下がってくるところがとても切なく聴こえませんか?
奏法としても、メロディーが上がっていくと共に音量を上げ、下がってくると共に音量を下げて弾いてます。
ぼくは冒頭のこの上がって下がってくるところがたまらなく好きです。
分からんけど教えて!って人は配信の時に「ポドールイの解説して!!」って叫んでくれたらどの部分かお伝えします。

と、そんな感じでよかったらもう一度最初から聴いてみて下さい。


5.満月当日(あなたの夜が明けるまで)

最後の曲は実は結構迷いました。
ドビュッシーの月の光が当初の予定でした。
実際この曲は最初の方は左手だけでほぼ両手と同じ演奏ができます。
が、それだと両手で弾いたほうがやっぱいいよねん!ってなるのでやめました。
次点としてニーアオートマタのVague Hopeという曲が候補だったのですが、悪くはなかったのですが良くもならなかった。両手でいいよねん!ってなったのでやめました。ただ月の切ない感じがとてもこの曲にはマッチしている気がしています。
一言で表すなら

最初の一音で黄昏に堕ちる

オリジナルは傘村トータさんという方が作曲されてるもので、一度聴いたらすぐに

「あ、この曲素敵だ」

って誰もが想う曲じゃないかなって思います。

この曲は実は三部作となっていて、

■明けない夜のリリィ
■あなたの夜が明けるまで
■願わくば彼らに夜明けを
~明けない夜のリリィ×あなたの夜が明けるまで~

三作目の願わくば彼らに夜明けをは、明けない夜のリリィとあなたの夜が明けるまでを合わせたものです。
それ故にその二曲はコード進行が全て一緒でメロディだけが違うという一風変わった作品になっています。
歌詞や世界観、物語などとても素晴らしい作品なので気になる方は調べて見て下さい。

5a.この曲での左手のぽいんとっ!!

出だしは、最初の一音で世界観におちて欲しかったので、強烈な印象を与えるためにはっきりとした演奏をしています。
左手で歌うことも右手で歌うことも基本的には技術的に何も変わらないのですが、今回は左手で全てを表現しなければならなかったのでかえって両手でやるより緊張感を持ちながら演奏できたのでより歌えた気がします。
奏法的には※跳躍をメインにしていますが、サビの部分からは上記で紹介した奏法とは別の奏法で演奏しました。

今回満月まで3回アップするという個人的企画の最後の動画なので、それまでと同じものではなく、最後は最後ならではの演奏にしたいなと思った結果、サビの前で一旦曲を終わらせ、サビを極端にテンポを落とし、雪の表情を纏わせる演奏にしてみました。
ゆっくりしたことで、左手の小指・中指で伴奏を担当し親指と人差し指でメロディを弾くことができました。
(下記動画は該当箇所から再生されます)

他の曲でもそうですが、奏法を決めたら後は只管に光を音に落とし込んでいくだけです。深く。深く。

余談ですが、この曲の冒頭の部分に、メロディにうっすら被ってる高音のメロディがあるのを不思議に思われた方いらっしゃったのではないでしょうか。

実はこれ、一作目の「明けない夜のリリィ」の冒頭部分を、この「あなたの夜が明けるまで」の自分の演奏を聴きながら、左手で再度弾いたものを上乗せしています。
先ほどご説明した、三作目の「願わくば彼らに夜明けを」を意識したのと、過去に「願わくば彼らに夜明け」をぼくの演奏で聴きたいとの声を今回の動画で反映した形になっています。
この3部作を聴いて頂くとまた、今回の動画のアプローチも変わってくるのではないかなと思いますのでよかったら是非。

というのをふまえて最後に演奏動画を貼っておきますね。
満月なので左上に満月をいれたのが個人的なちょっとお気に入りポイントです(笑)

6.最後に

今回左手のみで演奏するというものと、満月を感じるためにという趣旨のもと動画を出させて頂きましたが、当初はtwitterでの投稿で完結するつもりだったのですが、2作目、3作目とtwitterの動画の長さ制限(2分20秒)を超過してしまったので、YouTubeにあげることにしたのと、こうしてnoteに解説するために1作目の「ザナルカンドにて」もYouTubeにアップしてみました。

左手のみの演奏で驚かれた方もいらっしゃると思いますが、個人的には右手で弾くのも左手で弾くのも両手で弾くのも、そこに存在する音楽性は全て等しいものだし、左手で弾くのを単なる両手の劣化版とならないように、左手ならではの特性をなるべく生かせることを意識して演奏しました。

実はこれが右手だと中々うまくいかなかったと思います。
それはベースはメロディとなる場合があるとしても、メロディがベースになることはほぼありえないことだからです。
ぼくは右利きなので右手の方が勿論器用に動かせますが、ベースや伴奏を右手で担当できるかというとそれは想像がつかなかったと思います。

両手で弾く場合、10人の演奏家がそこに存在して合奏してるイメージで演奏します。
今回は左手による5人の演奏家の演奏でしたが、いかがだったでしょうか。
世の中には左手で活躍されてらっしゃるピアニストも沢山いらっしゃるので、改めてその方たちへの尊敬の念が強まりました。
右手が治っても左手への可能性を忘れずにまたいい演奏を出来たらなと思います。

今回はいつも以上の長文になってしまいました。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

それでは次回またお会いしましょう。
ちゅーすばっばー!
Pianist Dai



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