睡眠障害の現代医学と中医学の共通点について
中医学でも睡眠障害の原因は様々な角度から考えられていますが、基本的に
興奮がおさまらない、熱が強すぎる
という2点に絞られます。
ただしどのような事が原因で興奮がおさまらないのか?または、熱が強すぎるのか?となると、中医学的な機序は様々なものがあります。
現代医学的な睡眠障害の原因である「ストレスで自律神経が乱れて興奮がおさまらない」や「メラトニンの分泌が上手くできなくて体温が下がらない」等は中医学的に捉えた「興奮がおさまらない、熱が強すぎる」と疑似していると考えられます。
そこで、今回は現代医学と中医学の睡眠障害についての考え方の類似点を私なりに説明させていただきます。
【陰が足りず気が落ち着かないので眠れない説】
今から話すことを超簡単すると上記のような表現となります。
この場合の気は精神活動を意味するのですが、陰という物質の中に沈み込むことによって、気が落ち着き就寝できるという事です。
イメージは
線香花火(気)が水(陰)に沈み火が消える(就寝)
という感じです。
ですが、体内に陰が少なかったり(水や血が少ない)気がスムーズに陰まで持っていけないと睡眠障害が発生します。
この考えの元となった原文を紹介すると
「衛気について昼は陽を行り、夜は陰を行り、常に足少陰の分間より五臓六腑を行る、いま厥気は五臓六腑に客せば、すなわち衛気独りその外を行り、陽を行り、陰に入るを得ず云々…陰に入るを得ざれば、陰虚す。ゆえに目瞑せず」
【霊枢 客邪篇】
意味が全然わからないと思うのです(泣)
実際私も100%理解できているかどうか…という文章です。
上記の原文は先程書いたことを説明しているのですが、私が何を言いたいのかというと厥気(けっき)と書いてあるところに注目です。
厥気は五臓六腑に客せば、すなわち衛気独りその外を行り、陽を行り、陰に入るを得ず云々…陰に入るを得ざれば、陰虚す。ゆえに目瞑せず
を簡単に訳すと
体の内部が冷えれば、体の外が温まるので、眠れなくなりますよ!
と書いてあります。
現代医学の「メラトニンが分泌され体温が下がるので深く眠れる」とは少し違いますね。でもこれは、メラトニンが…というホルモン的な意味ではなく
外部から体を冷やしすぎる眠れないよ!!
という意味だと思います(客邪篇なので)
現代医学的にも就寝する2時間前くらいに体を温めると寝やすくなると考えられています。理由は血管を広げることで、血の巡りが良くなり体温が下がりやすくなる事と、血管を広げた後に(2時間後くらい)血管が収縮し体が冷えやすくなるからだと考えられます。
現代医学的にも中医学的にも「外部から体を冷やしすぎると眠れなくなる」と説明していることが分かっていただけたかと思います。
【血の巡りが悪いと眠れない説】
現代医学的にも血の巡りが悪いと体温が下がりづらくなり、深い睡眠をとることができないと考えられていますが、中医学でも全く同じことを考えました。
その考えの元となった原文を紹介すると
血の巡りを良くする薬(血府逐瘀丸)の主治に
「夜眠ることあたわず、安神養血薬を用いこれを治し効かせざれば、この方神のごとし」(医林改錯)
と書いてあります。
簡単にすると
「夜眠れない人に心を落ち着かせて血を補う薬を飲ませても効かなかったら、血の巡り良くするとめっちゃ効くよ!」
と書いてあります。
この本は1830年と最近(?)に書かれたもので、書いてくださった大先生(王清任)は、良く死体を観察し「今までの中医学は間違っている」と仰った天才です。
新しいだけあって現代医学と類似するのもわかりますね。
他に中医学的な睡眠障害の原因には
「心の潤い(心陰)が足りず興奮がおさまらないので睡眠障害が発生する」
「胃腸に食べ物が沢山あり熱が強くなるので睡眠障害が発生する」
等がありますが、現代医学的にはなかなか説明しづらいものです。
私が勉強不足なだけかもしれませんが…
また発見しましたら、書かせていただきます。
来週のテーマは未定ですが、読んでいただけたら幸いです。
それでは~
0203
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