夏の始まりの感情
ミ―ン…ミ―ン…ミ―ン…
ジジジジジ…
ちょっと前までふわっと心地よかった風が、最近はもわっとした熱気を運んでくる。少し湿った熱っぽい空気の中に、土の匂いがあると、夏だな~と一年前を懐かしく思う。
「一年前か~。」
スマホのカメラロールを遡ると、たくさんの顔があった。
「あーこんなこともあったな。」
なんて、少しエモーショナルな気分になる。
写真の中の私はたくさんの人達に囲まれて、照れたように笑っていた。
「きらきらしてるな~。」
過去の記憶は、時間と共に美化されていく。
いつかのプリクラ写真みたいに、リアルが補正されて美しく見える。
ふう。
スマホを閉じる。
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いつだって、過去は美しく見える。
上辺だけの記憶が残って、奥の感情を忘れてしまうから。
一年後の私から見たら、今の私はきらきらして見えるだろうし、
十年後…百年後…死ぬときの私は、人生全部がきらきらして見えるんだろう。
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夏になる度、過去の自分に背中を押されているように感じる。
過去のきらきらした自分に「このままでいいの?」と言われているみたい。
焦りにも勇気にもなる、夏の始まりの感情。
「今年の夏は、誰とどんな記憶を作ろうか。」
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