「明日 1945年8月8日・長崎」 著 井上光晴

「♪明日がある、明日がある、明日があるさ」
坂本九さんの歌である。
今、我々の心を支えているのは、この「明日があること」である。
辛かったこと、悲しかったことがあったとしても、
明日に希望を持っているから、生きていける。


「希望を持つ」
戦時中、そんな人たちの何気ない日常を描いたのが、
この「明日 1945年8月8日・長崎」という作品だ。
三浦家での結婚式をベースにたくさんの人々の日常を描いている。
その作品は、映画化され、TVドラマ化され、先日、舞台化された。
私は、この原作はもちろんのこと、映像化された3つの作品もDVDにして、
手元においている。
3つの映像化作品。
・映画版:当時の世の中の雰囲気、現実をそのまま、描写した感じ。
・TVドラマ版:当時の様子をきれいに模写した感じ。
・舞台版:当時の普通の生活を表現している感じ。
当然、スタッフは違う。同じ原作なのに、3者3様の内容である。
捉え方が個々であり、また、観る人に対してのアピール箇所が違うように思える。
共通しているのは...
「こん鯛は、花婿さんの腕時計が化けたもん。食べたあとで、お腹から、カッチカッチ音がするかもしれんです」
というセリフが入っているのと、ラストが、原爆が放つ光で終わる、というところだ。

私的には、TV版がいちばん共感を持っている。それは、原作本を読んだ中で私が一番印象に残っているセリフが現れるからだ。それは、ツル子が出産したあとの言葉である。
「八月九日、四時十七分。私の子供がここにいる。〜途中省略〜 私の子供は今日から生きる。」

生きる希望。誰もが持つ権利である。それを奪うものがいたら、もう、人類は滅亡に進んでいってしまう。

この作品は、さらに、回数を重ねて、もっと、いろんな人に知ってもらうべきである。
そう思う。

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