見出し画像

距離計カメラ用超広角レンズをデジタル一眼で使う?!

ミラーレス一眼が普及してきたとき、フランジバック(レンズマウントからピント面までの距離)の短さから、ライカMマウントに代表される、距離計タイプのレンズが比較的自由に使えるようになりました。
私は仕事でCanon R5とFUJI Xシステムを使い分けていますので、気になっていた、COSINA COLOR-SKOPAR 21mm F4 Pを、フルサイズで試したくて仕方なくなりました。

このレンズは重さ約136gしかなく、一眼系のレンズと比べると、びっくりするほど小さいのです。唯一気になったのは、21mmのわりに後玉が出っ張ってることです。いやな予感を持ちながら、撮影に持ち出してがっくりしました。

背面液晶ではこんな風に写っていると思いました
実際の撮影画像

あああやっぱり。です。
撮像素子への入射角問題が顕著に表れています。解像力も
細部のコントラストも素晴らしいのですが、悔しいです。

この現象は撮像素子そのものの問題のように語られる場合が多いのですが、本当は撮像素子前の赤外線カットフィルターに大きく影響を受けています。

入射角の違いを理解しておきましょう

左は後玉が比較的大きく、距離も離れていて、撮像素子に入る角度が大きく、右は撮像素子とレンズが近くそして小さく、角度が小さくなっている
まさにスコパーはこのサンプルそのものといえます

問題を生み出す赤外線カットフィルターについて少しだけ触れておきます。
何故必要なのか?
撮像素子は肉眼では見えない長波長(赤の先で赤外線に近い、近赤外線)に強く反応する。そのため必ずその波長をカットするフィルターが装着されています。

これは、EOS 40Dに装着されている、2種類の近赤外線カットフィルターです。
(ローパスフィルターとは無関係)

実際に装着されているフィルターは、色ガラス風の(左)フィルターと、一見透明な干渉型フィルターです。
(干渉型フィルターの説明はここでは長くなるのでしませんが、気になったら検索してみてください。)
問題を起こす根源はこの干渉フィルターです。カメラの中だけでなく、撮影用フィルターとしてもDR(ディープレッド)フィルターという名称で販売されています。
実験的のそのDRフィルターに入る光の角度を変えてみます。

概ね上から光が入ったとき/ほぼ透明
斜め約45度からの光/少し青緑に
さらに角度を下げると/フィルターの影に濃い緑色が

一定の角度を超えると、透過する光の色は変化しました。
この実験がスコパーの現象を全て説明していませんが、避けられない干渉フィルターという仕組みが、入射角によって予期せぬ結果を生んでいることは確かです。

結論として、撮像素子の分光フィルターが悪いわけでもなく、C-MOSだからとか、裏面照射だからとかは関係ないと思います。肉眼で感じる波長しか感じない撮像素子が出来れば、全て解決するかもしれません。
冒頭お話しした、ミラーレス一眼でのレンズ選びは、決して自由度が大きくなっていません。

ミラーレス一眼でもフィルターの設計次第で一定の改善は可能ですが、その結果何かを犠牲にするとしたら、本末転倒ですね。

ましてデジタル補正在りきで設計されたレンズで素晴らしい性能の安価な製品も増えています。過去へのノスタルジーはノスタルジーのまま大事にしておく方が良いかもしれませんね。
こんなことも理解した上で、くせ者捜しを続けることも又楽しです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?