12.島宇宙化と権威主義

宮台真司氏は似たような価値観を持ったものだけで場を作ることを島宇宙化と定義しているそうだ。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/島宇宙)

これは、例によって価値観をベクトル、延いては磁気モーメントと表現することで、磁区構造が形成されるものと見ることもできる。

磁区構造とは強磁性体が磁気的にエネルギーを低下させることで生じる構造である。

すでに見てきたように(1.普通と特別)、エネルギーを低下させる傾向が優位に働く場合というものは、人間が普通であることを願う場合、つまり、選択肢が与えられていないか、選択肢を検討することを放棄した、要するに自由からの逃走、言い換えるなら権威主義的な状態である。

ところで、強磁性体というものは、キュリー温度以上に加熱すると、外部から磁場を印加しない限り磁化することのない常磁性体というものに相転移する。また、温度というものは、ミクロに見れば、熱の担い手たる粒子の運動のエネルギーの平均値に結び付けられる。

ゆえに、精神を活動的な状態に保つためには、選択肢を十分に検討できる環境の確保と、評価を下さない姿勢とが必要となる。そして、それは現在のように、自己責任論が幅を利かせる状態では不可能である。なぜなら、大多数の失敗するかもしれない選択肢のために成功するとされている選択肢を犠牲にできないからである。

ところで、強磁性体と言えば鉄が代表的だが、その電子の数は人間の脳の領野の数のちょうど半分である。何か関係はあるだろうか。

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