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『人間の未来 AIの未来』を読んで

読書時間:1時間52分 

ページ数:223  

個人的読みやすさ※:☆☆

※☆が多いほど難易度が高い

 将棋のプロ棋士である羽生善治さんとiPS細胞でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さんの対談方式で書かれている本。内容は最先端のiPS細胞の話からAIに関する話の一方で、人間はどのように生きていくべきかといった人生観のようなものまである。個人的には第五章の「人間にできるけどAIにできないことは何ですか?」から第七章の「どうすれば日本は人材大国になれるでしょうか?」までは今の若い世代には読んで欲しいと思います(かく言う私も若い世代ですが)。AIや将棋・研究・iPS細胞の小話だけでなく互いに話題を広げ合っているさまは読んでいて退屈しないと感じました。

 私はこの本で感じ取ったことは「AIがすごい」や「iPS細胞の将来性」でもなく本のタイトルにもある「人間の未来」だと考えた。「AIの未来」はおそらくキャッチーな用語なのでつけましたという感じだろう(個人の推察です)。我々が生きていく社会は流動的で絶えず進化している。この本では2人が感じた最先端技術である将棋AIやiPS細胞の話題から派生して様々な問題提起をちりばめているように感じました。それは各章タイトルを見ても分かる。すべて疑問形で始まり、そこから問いへの回答に答えつつ様々な問題提起を行っている。豚から作られる人工臓器・最新技術の特許の話・Aiによって仕事がなくなるか・デザイナーベイビー問題・細胞バンクなどの話題が挙げられていた。個人的には羽生さんがAI学者の方の名前を多く挙げてお話をしていて意外に思った。プロ棋士で羽生先生がAIについて非常に詳しく語っている様は将棋(にわか)ファンの私からすると新しく思えた。モンテカルロ法という単語が出たときは加藤一二三並みに飛び上がりました(誇張)。

 私個人の学びとして、情報が多く溢れる時代だからこそダメだと分かっていることに対してわかったフリをして挑まないことや、直線型の人間(曰く、この道一筋という生き方)というだけでなく旋回型(いろいろな物事に取り組むタイプ)の人間としての素養も養うべきだということです。また、独創性は①元々天才②偶然のチャンス③無理だと諦めていたことの3パターンで生まれるという話(超意訳)。他には理系大学生としては「阿倍野の犬実験」も面白い話でした。アメリカで頭を叩くとワンと鳴いたことで論文を書けたとすると、日本でも同様な実験で論文ができ、阿倍野でやっても同様の論文が書ける。そんな論文を書きたいか?というお話です。大学生にはそれなりに耳が痛いお話だと思います。

 最後に、本書は対話ベースで進んでいるので活字嫌いの人でも割かし読みやすいのではないかと思いました。一方で内容が理系ベースのこともありそういった内容が苦手な方は読みにくいかもしれないと思いました。皆さんもこの本を読んで最新の研究のためにお賽銭しよう!!

P.S. これは読んでいてふと思いついたのですが、科学技術の資金援助をするベンチャーを立ち上げてyoutubeで研究者の方を読んで最新の研究や対談を行ってスパチャ貰ったりクラファンで資金調達する企業どう?って思いました。問題は資本金が必要なのとお金が絶対回らないこと。研究者がみんなVtuber並みに人気で知名度がない限り…うん。

まで、執筆時間53分


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