対話形式の本は2倍のリソースを必要とする~『嫌われる勇気』を読んで~

読書時間:1時間18分 

ページ数:294

個人的読みやすさ※:☆☆☆☆

※☆が多いほど読む難易度が高い

 今回はアドラー心理学に関する教えを対話形式のストーリーで記述した本である『嫌われる勇気』を読んだ。読む前はよくあるマインド本かと思っていたので初っ端から謎の対話形式を押し付けられたためかなりびっくりした。しかもいちいちキャッチボールしているので真面目に読むと脳に高負荷がかかる。そのため流し読みを併用して読み進めた(それ故に読みやすさの星は多めにしてある)。対話形式がなぜ用いられたのかは分からないが、①難しい話を羅列で淡々と書くよりストーリーのある内容にした方が読者に刷り込みやすいと考えたから②構成がヘボで対話形式にして誤魔化した…などなど邪推したが定かではない。読むという意味では非常に嫌な形だが理解させるという意味ではプラスに働いていたと読み終えた後だと分かる。もっとも物語的に読むと、どっちの言葉か・どういう理論展開かなどを2人分モニターする必要があるのでグシャグシャになるためそういう読み方はお勧めしない。内容としてはアドラー心理学とはどういうものかを紹介する本。アドラー心理学を説明している哲人と彼のアンチのような青年のレスバを延々と見せられるため苦手な人には苦手なやつだ。そのためこの本の対象はアドラー心理学を体系的に学ぶといったところにはない。触り程度理解したいという人向けの本。おそらくちょっと前に流行ったアドラー本としてはわりとしっかりした内容なんじゃないかと思う(私はそこまでアドラー本に詳しくはないが)。実践するかはともかく「そういう考えもありますよね」という感覚で読むといいかもしれない。個人的な不満を述べるとすると、青年がバチバチに議論してたのに最後はやけに丸め込まれててモヤってしまった。話の風呂敷を畳むためとはいえ態度変わり過ぎだろと言いたい。最後に、アドラー心理学自体は現代社会の生きづらさにはマッチしているため知られるべきだと思う。ただ心理学という体系だった学問といえども向き不向きはあるので万人に進められるかというと難しい。そこはその人次第といった感じだ。

まで執筆時間29分

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