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そりが合わない本もある~『入社1年目の教科書』を読んで~

読書時間:1時間04分 

ページ数:236

個人的読みやすさ※:☆☆

※☆が多いほど読む難易度が高い

 就活が終わり晴れて社会人となる身分となったため、「社会人とは何ぞ?」「学生と社会人はここが違う」という点の知識を知っておきたかったためこの本を読むこととした。しかし読んでいると「それ万人ができることじゃねぇぞ?」というツッコミどころが多々あったため、今回は少々当たり強めの感想を書いている。

 この本は所謂「意識高い系」の本だと感じた。「社会人でこういうことをしましょう」という本をわざわざ買う(読む)人間は「意識高い」人だからだ。そんな本の中身はというと、著者の体験に基づくビジネスマンとしてのポイントが列挙されているという内容だ。なので目次をパラっと見た瞬間から相いれない価値観の持主が書いた本だと感じ、「そういうやり方があるのか」程度の身持ちで読んだ。中身は先に述べた通り、経験談を通じて「こうすると良くなりました」「こういうところを気を付けるべきだ」と語る形式で、人によっては「そうはならんやろ」と思える部分が多々あるように感じた。例を挙げると「宴会芸は死ぬ気でやれ」というタイトルで「参加しているメンバーとして盛り上げることも大切(意訳)」という内容だ。やりたい人がやればいいのに一人の参加者に強要するのはいかがなものかと思った(飲み会嫌いな人の思考)。また、全50節からなる構成のため1つ1つの内容は薄い。なんせ1節よりコラムの方が長いしおわりににも負ける(※長さ関係は、コラム>おわりに>1節)。コラムをなぜ本編に組み込まなかったのかと若干思ったが、本質的ではないけど入れたい内容だったんだろうなと邪推しながら読んでいた。だが1節最後のページの余白が多い箇所が気になりページ数確保のために詰め込んだのかと余計邪推が助長させてしまった。

 と、ここまで批判的な感想を書いてきたがもちろんいいポイントもある。まず内容が分かりやすい。流し読みのような速度で読んでも単語単語が難しくない(近年増えている意識高そうな横文字単語がない)ので高校生でも読める。また、言いたいことはタイトルに集約されているため「あぁこういう話なのね」とオチが想像しやすい。他にも要点は太字になっているため、重要なエッセンスがどこかというのが視覚的に分かる。近年ありがちなマーカー引いてる感覚で文字の背景色を変えている形式よりも個人的にはシンプルで読みやすいと感じた。

 今回の本はそりが合わない内容(+著者)だったなぁと思う半面、それでもある程度のエッセンスがちりばめられているということが分かった。こういった場合に、どこを読むべきか・どこは読み飛ばしてもいいかなどを意識する訓練にもなった。読書は実りが無ければ有限な人生の貴重なリソースを無駄にする行為であるため、すべて読めばいいという訳でなく情報の取捨選択の自由が存在することを忘れてはならない。今回は私が「意識高い系嫌い」の意識高い系であるだけで、他人からしたら十分有意義な本である可能性もあるため、決して悪い本ではないことだけ最後に留意しておきたい。

まで、執筆時間45分


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