経験談は情報量ゼロ~『リベラルアーツの学び方 エッセンシャル版』を読んで~

読書時間:1時間18分 

ページ数:269

個人的読みやすさ※:☆☆☆

※☆が多いほど読む難易度が高い

 皆さんは「リベラルアーツ」という言葉をご存じだろうか?詳しい説明はグーグル先生に任せて割愛するが、要は「人文科学・自然科学を横断的に学ぶことを目的としたプログラム」と認識していればいい。

 今回はその概要を紹介しているであろう本、『リベラルアーツの学び方 エッセンシャル編』を読んだ。なぜエッセンシャル編?と言われそうだから述べておくが、決して間違えてしまったわけではない()。しかしこの選択が結果的に良かったかもしれないということを読み始める前の私は知る由もなかった。

 意気揚々と読み始めた私だったが「はじめに」の段階で嫌な予感はした。なんせ著者が長々と経歴を語りだしたからだ。必要な要素だったかは正直不明。こういう経歴でこういうことやってきてこういうこと学びましたと自慢しているように若干感じた。そのような記述は後で腐るほど見ることとなる。私はてっきりキッチリした学問なので客観的な事実が淡々と並んでいる物だと考えていたが読んでみれば4割は体験談だ。まったく学問を知らない人に対してなら優しい内容なのかもしれないが、それなりに知識を持った人間が読むと200ページ読もうが学びは3ページぐらいにしかならないだろう。おまけに余白が目立つ。エッセンシャル版ならもうちょっと嵩増しできただろと言いたくなるがちゃんとした版を読んでいない私からは何とも言えない。また、浅く広くを体現した具合であった。多く列挙してある部分に注目すると薄味具合が際立ってしまう。例えば古典のおすすめとして『新約聖書』の四福音書を繰り返し読むべきと主張しているが、その理由に関して一切触れられていない。読んだとき「理由は!?」と思わず突っ込んでしまった。エッセンシャル版だから割愛されてるのだとしてももう少し考えてから作ってくれと言いたい。

 以上のように正直お勧めしない一冊である。読むのならエッセンシャル版でない方を読むべきだが、冷静に考えてそちらも主観三昧な気がしたので某所のレヴューを見ると予想通りのコメントが並んでいた。おすすめの本を知りたい場合の該当箇所とあとがきがピークだったように感じた。この一冊でリベラルアーツは学べないとだけ言っておこう。おわり。


P.S.

読む本がことごとくハズレで辛口すぎるのではないかと思ったが、ショーペンハウアーもハズレの本は時間を奪うだけ(意訳)と言っていたので後学のためには必要なレヴューだと思いたい。そろそろ当たりの本を読みたいもんです。

まで、執筆時間30分

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