『君と漕ぐ2』を読んで

  本来なら前作のあらすじとか中身の概要とかを書くべきなんでしょうが、私が台風へのヘイトを思い出さない且つ本への想いが新鮮なウチに感想書きたかったので割愛。当然ながらネタバレあり。配慮なんて一ミリもしませんとも。




  今回初登場の大森姉妹ですが、同作者の立華高校マーチングバンドで登場する西条姉妹を思い出しました。綾乃先生双子好きかっ(笑) 大森姉妹の軽快なトークもあってか私には声優の松田利冴さんと松田颯水さんの二人(この方々も双子)のCVで脳内再生されました。無論、楓:利冴(緑好き+姉),桜:颯水(ピンク(赤)好き+妹)で。アニメ化したらこのキャスティングを期待してます(そもそもここまで行くか分かりませんが)。

 さて、真面目な話をすると『君と漕ぐ』の「君」が誰を指しているのかが前作以上に考えさせられる感じだと思いました。主にペアを意識しての描写が多かったですが、一ヶ所だけ違う部分もありました。第三章最後の舞奈の

"君と、そしてみんなと、漕ぎたい。"

という部分ですね。勝つ為に恵梨香と漕ぐ希衣(p256)や神田のペアと漕ぐことに意味を見出している素ぶり(p227)など各々が特定の対象と組むことに理由を持たせているのに対し舞奈は「同じ経験を共有したい」という競技としての側面を度外視したとても純粋な気持ちがとても印象的です。舞奈が初心者で勝負への執着心が薄いのもありますが、海美の子供の純粋さが色々なところに散りばめられていますが海美との「精神年齢が同じくらい」という表現からも純粋な気持ちから来た想いであると感じさせます。

 千帆もまた漕ぐことに理由を持たせています。前巻でもありましたが希衣との間にある認識のずれは未だに健在ですし解決する未来が見えません。彼女は希衣と過ごす為に漕いでいました。希衣とてそれは同じでした。しかし千帆がカヌーの才能の片鱗を見せたところから、天才であって欲しい希衣とカヌーの鬼になりたくない千帆との間に溝が生まれたようです。どこまでも優しい性格だからこそ一番になり続けることに苦しさを感じていたのかもしれません。利根蘭子に負けるまでは。カヌーを己の武器と認識し結果を出したい希衣との方向性の違いははっきりしています。舞奈に「一緒に新人戦に出よう」と切り出したのは直前の「恵梨香に勝ちたいか?」という問いの答えが勝負にこだわっていなかったからでしょう。今後、千帆がカヌーを続ける理由がどう変化するのかも気になります。

 希衣は希衣でやはり面倒くさいところ健在です。いや、そこが彼女らしいんですが。勝ちにこだわるために恵梨香と組み千帆とのペアを解消したことは狭いカヌー界では周知の事実で事あるごとに蒸し返されます。恵梨香は文部科学大臣杯のペアとして椿や堀、そして蘭子に目をつけられていますが、希衣はあくまで恵梨香の判断に任せるつもり。千帆と組むことには抵抗があるようで神田に尋ねられた際に言葉にせず、別の名前を出してはぐらかします。しかし組む気ないだろと当然ながら一蹴されます。千帆に干渉し過ぎないように意識したり恵梨香と蘭子の仲の良さに嫉妬したりしてますが、仮に蘭子と恵梨香が組めば千帆とのペア復活するんでしょうか?ちょっと期待してます。もちろん仲直りしてね。


 続きが楽しみです。

p.s.

千帆と希衣みたく女の子二人の面倒くさい関係に名前をつけたいぐらいにはこういう関係性好きです。


 

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