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積読消化しようとしたらショーペンハウアー先生に怒られた話~『読書について』を読んで~

読書時間:2時間11分 

ページ数:194  

個人的読みやすさ※:☆☆☆☆☆

※☆が多いほど難易度が高い

 有限である夏休みをただ過ごすのではもったいないと感じ大学図書館で何冊か本を借りた。今回読んだショーペンハウアー著の『読書について』もその一冊だ。他の本より薄く、何よりそのタイトルから最初の方に読んでおくべきだろうと判断した。

 この本の3部から構成されており、「自分の頭で考える」「著述と文体について」「読書について」から成っている。これらはショーペンハウアー著の『余録と補遺』から訳出されたものだ。彼の端的なもの良いからわかる通りタイトルそのままの内容である。「自分の頭で考える」と「読書について」は読書とは他人の思考をなぞる行為でしかなくあまり良い行為でないというのだ。1章目では自分で考えて知識とすることの重要性を説き、3章目では最新の話題作でなく不動の名作を読むべきだと説いている。2章目では当時のドイツ国内の国語の在り方やジャーナリスト達の匿名性を強烈に批判する内容であり現代の日本(日本でなくても当てはまるかもしれない)と重ねて読んでいると面白い。

 この本を読んで私は2つの知見を得た。1つは私はどちらかというと「博覧強記の愛書家」であるということ。2つ目は読書後の反芻が足りていないということだ。前者は私に限らず多くの現代人が該当するだろう。例えば、ワクチンについて様々な意見や憶測があると思う。これらを見て自分で打つ打たないを判断できる人間と「誰々がこう言っていたから~」と主張する人間の2種類がいるだろう。後者は所詮は他人の言葉の引用である。情報があふれる社会において、発言の真偽の精査・情報ソースの確認などを行うべきである(それこそ匿名で情報を流すマスメディアは「名誉心ある者なら、自分が書いた文章の下に署名する」べきなのである)。眉唾の情報が垂れ流しになるTwitterなどのSNSユーザーであればまさに読むべき本だと感じた。また、後者は今こうやって学びの文章化や記憶をたどって内容を書き起こす作業についてだ。当初は1日1冊計画を立てていたが「乱読はよろしくない」とお𠮟りを頂いたために見直さざるを得ないということだ。読めばいいというもんじゃないと言われた以上、読む本を厳選しなおす必要があるかもしれない。

 以上がこの本を読んだ学びである。正直、中身にそこまで深い意味はなく、それこそ各章のタイトルに書いてある内容をひたすら述べているに過ぎないので人によっては飽きやすいかもしれない。また、どの章も批判調で書いてあるため「読書の神髄を聞きに言ったらお説教が始まった」という感じを受けた。ショーペンハウアーを知りたいという人や哲学チックな本が好きな人や有名な古典を齧りたい人にはお勧めの一冊。


まで、執筆時間42分


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