【論文0003】高血圧患者がNSAIDsを服用すると血圧はどれくらい上がるの?

Comparative effects of non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) on blood pressure in patients with hypertension.
BMC Cardiovasc Disord. 2012 Oct 24;12:93.
Aljadhey H, Tu W, Hansen RA, Blalock SJ, Brater DC, Murray MD.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23092442
PMID: 23092442

背景:
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は, 高血圧患者の血圧制御を乱し, 罹患率, 死亡率, および医療費を増加させること可能性がある. 本研究の目的は, 高血圧患者におけるNSAIDの使用と血圧値との関連を検討した.

方法:
米国インディアナ州における総合内科の電子カルテから収集したデータを基にした後ろ向きコホート研究. バイアスを最小限に抑えるために傾向スコアを使用. アセトアミノフェン使用群1340人, およびNSAID使用群1340人のコホートとが一致. 評価項目として, NSAID使用後における平均収縮期血圧値の変化と降圧療法の変更を設定.

結果:
アセトアミノフェン使用患者と比べて, NSAID使用患者では収縮期血圧で2 mmHg 上昇していた(95%CI、0.7-3.3). イブプロフェンは、ナプロキセンと比較して収縮期血圧が3 mmHg 上昇し(95%CI、4.6-0.5), かつセレコキシブに比べ5mmHg 上昇(95%CI、10-0.4)と関連していた. サブグループ解析では, ACEiおよびCCB処方に付随している場合は3mmHg, βblockerと併用した場合は6mmHgの血圧上昇が見られた. 利尿薬または複数の降圧薬を処方されていた患者群における血圧の変化は統計的に有意ではなかった.

結論:
アセトアミノフェンと比較して, NSAIDs(特にイブプロフェン)の使用は高血圧患者における収縮期血圧のわずかに上昇させる. ただし, 利尿薬または複数の抗高血圧薬が処方された患者ではその影響は無視できる.

【感想】
「NSAIDsを服用していると昇圧が起こるかもしれない」
という漠然とした臨床疑問からスタートした本記事.
今回は降圧剤との併用で降圧というテストの点数がどれだけ影響されるのかについての論文を紹介しました.
イブプロフェンはOTC医薬品でも取り扱いがあるので, このあたりの具体的な影響も頭の引き出しにしまっておきたいです.

そのうち, 高血圧と診断されていない患者群でのNSAIDs使用による昇圧の影響も調べて記事にいたします.

注:
当記事の内容に関しては最低限の質を担保するよう最大限の努力をしているものの, 内容に誤りなどがございましたら, twitterアカウント@pharmasahiroまでご連絡ください.

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