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Arch Enemy "Deceivers"-かじぃの2022年に買ったアルバム 第20回

みんな大好きスウェーデンのデスメタルバンド、アーチエネミーの通算13枚目のアルバム。
評価は☆5。

まぁ、アーチエネミーに関しては「ほんとに君ら、デスメタルって思ってる?」って思うことは度々ある。
確かに女性のグロウルVoを主軸に据えているからそういう解釈も成り立つのは分かる。
分かるんだけど、ブラストビートを多用してないのよ。
それってほんとにデスのカテゴリに入れていいと思う?

このバンドの強みはメインソングライターのギタリスト、マイケル・アモットの奏でる叙情性にある。
これに対して凶暴なグロウルをぶつけることで楽曲の複雑性が増し、全体としてスリリングなまとまりを見せている。
それに加えてブラストビートを主体とした速さに依存しない点も挙げられる。
もちろんスリリングさを演出するために速いパートも盛り込んだりするんだけど、先に挙げた叙情性を際立たせるために緩急がつけてある。
そしてリフが強靭だ。
それは元ネヴァーモアのジェフ・ルーミスの加入もあり、彼のアイディアも取り入れているからか、リフの複雑さが増した。

前作のウィル・トゥ・パワーの延長線上にある今作はリフの面白さが増したように思える。
アンジェラ時代にはどうしても途中で聞き飽きるような中だるみ感があった。
今のアーチエネミーにはそんなものはない。
きっちり引き締まっている。

そしてアリッサのクリーンボーカル。
アーチエネミーは一貫してグロウルにこだわってきたんだけど、前作からなぜかアリッサのクリーントーンが入っている。
それが一曲目に入った。
アリッサはもともとクリーントーンも抜群の歌唱力を持っている。
キャメロットの2015年のアルバムHavenの"Liar Lair"でもその声を聴くことができる。
ただ、アーチエネミーではそれを使う機会がなかっただけだ。

この2作でアリッサのクリーントーンも使うという武器を増やしたマイケル・アモットは今後どのような楽曲を展開していくのだろう。
それも含めて楽しみだ。


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