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09/14:なんだかんだ、ディメンション・ゼロ

すごい話だ。

自分がこよなく愛する『ディメンション・ゼロ』は2010年に最後の商品が発売され、2014年にサービスを終了した。

だから「サービス終了となったTCGの復活」という点は常に(割と結構常に)意識の中にあって、今回発表となった『ザ・ミラクル オブ ザ・ゾーン』の企画は大分心の奥からすごいと思っているし、なんなら(気持ちの上だけの話だが)他人事じゃあない。ビッグニュースだ。この波に乗りたい。「サ終したTCG」というカテゴリは消費者の目線でしかないので、波なんてものは幻に過ぎないのだけれど。企業もタイトルも人口も時代も違うし。

終わってしまったゲームのためにその会社に入って実力をつけて企画を通して……というの流れは意志の強さだなあと思う。自分にはできない、とか、そういう話とはちょっとレイヤが違うが。

今まったく動いていないタイトルを希求して、いつか実現してやると思いながら別の仕事を成し遂げる推進力が「今」あるかと聞かれたら、(適正はともあれ)ある。少なくともそう言うことはできる。それを新卒(文章の書かれ方からして中途っぽくない)の時に聞かれたら……なんとも言い難い。上っ面で内定をひとつでも多く得るために頷いて見せることはできるかもしれない。けれどもそれって「仕事」のリアルさを意識しない頷きでしかない。本懐のタイトルにも、目の前の仕事にも、その企業にも……全方位に失礼な返答になってしまう。とにかく熱意として肯定しアピールすること自体が若さ、ガッツと称される良い側面を持つことも今ならわかるが、……まあ、当時の自分には難しい謎かけだと思う。

新卒時は仕事を稼得手段として割り切って就活をしていて、むしろ趣味と縁遠い職場を選んだ。結果としては誤りで、自分は稼得よりも時間のほうが大事だった。これはワークライフバランスがどうというのではなく、仕事時間も楽しめないとだめだ、ということ。だから転職の時は趣味と連関する……欲を言えば、仕事と趣味がそれぞれの成長を(一定程度直接的に)促す分野を希望して、まあまあ面白くやっている。

これが最初、新卒から趣味一辺倒な希望であったなら、もっとよいルートで人生を歩いていただろうか? そう思うこともないではないけれども、考えても仕方のないことだし、これまでの実際の足跡をトータルで見た時にそこまで強い後悔はないから、ひとまずよしとしている。

そんなこんなで、自分の『ディメンション・ゼロ』への関与は非公式、ユーザー側としてやっているわけだ(ユーザーのコンテンツの盛り上げなんだから当たり前の話だ)。10年ほど東北でユーザー大会を不定期にやって、その後全国大会を主催してみて……と言う感じ。生憎カードの入手が非常に難しいので、新規ユーザーの拡充は主体的にはできていない。安易にこんな環境にユーザーを呼んでいいかという話はあるけれども。

書き出してみるとまあ、多分に……どころか、ほとんど全部、意地でやっている。自分で熱意とか好きとか言うのは欺瞞的で憚られるが、やってきたことを鑑みれば、まあめちゃくちゃ好きなんだなと思う。黒字を意図したことも、実際黒だったことも一度もないけれど、それを踏まえても別にやめる気はないし。合理でないなら狂気に近いほうの何かなんだろう。それに対してついてきて頂いている方がいる事実はありがたいことだし、狂気を伴っているのはひとりではないという安心もある。

先日は東北の大会を主催して、世情もあるにせよここ数年では最大の参加者数で、ああ、ユーザーが多いっていいことだな、と素朴に感じた。もとより難しめのゲームだから懐は相対的に小さいけれども、だからといってムラの中の時間が永遠に止まっているということはないんだよなと思い直したりもした。要は人を増やす努力みたいなことを強めにやれたらなあという話。

この激烈に難しくて、15年間、隙あらば考えを巡らせてしまうほど面白いゲーム。存在を、あるいはプレイ感を知らないだけの隠れた同志が知らないまま埋もれるには、あまりに惜しいんだよ。

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