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08/31:ラーメン屋ダイバーシティ

ラーメンを食べる時、大体の場合麺の固さは「ふつう」で注文している。昔はオタクのラーメンと言えばということで「かため」とか「バリカタ」とかでとりあえず……という感じだったのだけれど、いつだったか「お店の人が『ふつう』としている固さが最もおいしい食べ方だと考えて提供しているのが素直ではないか」と考えて、「ふつう」をお願いするようになった。別に固い麺が特別好きなわけでもなかったし。

その「ふつうが店舗側推奨硬度説」はまあまあ今でもそう思っていて、というのは他の「やわらかめ」「かため」と言う名前に最適解の役割を背負わせるのはまあ荷が重いだろうからだ。実際それでラーメンを食べてきて、大抵はまあ満足するおいしさで店を後にしていたし、もっと固かったら、もっと柔らかかったらと惜しむようなこともなかった。

が、ついこの前にこうも思った。「店舗側の推奨する美味しさと自分の好みが食い違う可能性もまあまあ高いんではないか」と。「ふつう」で満足する閾値には達しても、自分なりの最高点が別の硬度にありうることも両立するぞと。
そもそもデフォルトが店舗側の最適解であるにしても、にんにく玉ねぎ紅ショウガネギ高菜等々のトッピングは別に用意していたりするわけで、麺の固さに限っては最適であるというのは些か筋が悪い話だ。替え玉や大盛などをメニューに据えているのも量的な満足度の差を考慮していないということになる。

つまるところ、「ふつう」と言うのは受けの広さなのではないか、と。「ふつう」の固さを愛せる人が、最も多い割合だと判断しているからこの固さが「ふつう」たりえるのではないか、と、仮説を改めるに至ったわけだ。

そして今日、たまに訪れるラーメン屋で思い切って(というほどでもないが)「バリカタ」を頼んだ。何年振りかも忘れてしまった、久しぶりの固い麺……これが、なんと、実にうまい。自分は「ふつう」ではなかった。「ふつう」ではないけれど、その好みを受け入れるだけの固さはそこにあった。自分を型にはめていたのは自分の方だったのだと、そう思った。固さ、トッピング、量、味付け……ラーメン屋は多様性に富んでいる。

次はもっと上とか、逆に「やわらかめ」とか、色々試してみようと思えるいい体験だった。言い換えると、学生時代に「ふつう」に一度降りたことで自分の好みを見つめ直すことが出来たともいえる。あまりにも矮小な固定観念、あまりにも遠回りだったけれども、無駄ではなかったのだ。

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