高リスク患者におけるPGT-Aの臨床成績

論文

Kim JW, Lee SY, Hur CY, Lim JH, Park CK. Clinical outcomes of preimplantation genetic testing for aneuploidy in high-risk patients: a retrospective cohort study. Clin Exp Reprod Med. 2023 Dec 27.

要旨

本論文では、高リスク患者群におけるPGT-Aの臨床成績への影響を評価することを目的としました。対象は高齢の母親(AMA: advanced maternal age)、反復着床不全(RIF: recurrent implantation failure)、反復性流産(RPL: recurrent pregnancy loss)、重度の男性因子不妊(SMF: severe male factor infertility)の患者になります。結果、PGT-A群で着床率(IR: implantation rate)と胚移植あたりの妊娠率/出生率(OPR: ongoing pregnancy rate/LBR: live birth rate)が改善しました。特に、AMA、RIF、RPLで改善が見られました。PGT-Aは高リスク患者に有益な効果を示しましたが、効果は一部の患者においてより顕著であり、高リスク患者全体に対しては必ずしもそうではないことが示されました。

方法

本研究ば、PGT-Aを用いた520サイクルと用いない848サイクルを含む合計1,368人の患者と同数のサイクルに関するデータを使用して行われた単一施設の後ろ向きコホート研究です。PGT-Aの手法はaCGH(143サイクル、27.5%)とNGS(377サイクル、72.5%)による解析です。AMA、RIF、RPL、SMFの患者をスクリーニングしました。AMAは母体年齢が38歳以上と、RIFは少なくとも3回移植後に超音波で妊娠嚢が確認できない場合。RPLは妊娠20週前に2回以上の流産、SMFは無精子症および重度の少精子症を定義しました。PGT-Aは、正常染色体胚のみを移植しました。不妊治療を受けた患者は、PGT-A群ではAMA(233人)、RIF(130人)、RPL(80人)、SMF(77人)し、非PGT-A群ではAMA(289人)、RIF(266人)、RPL(132人)、SMF(161人)に分かれました。

結果

AMAではIRが39.3%対16.2% [p<0.001]、OPR/LBRが42.0%対21.8% [p<0.001]。胚移植あたりの臨床妊娠率が54.0%対37.4%[p=0.004]。流産率は16.7%対34.3%[p=0.001]でした。

RIFではIRが41.7%対22.0%[p<0.001]、OPR/LBRが47.0%対28.6%[p<0.001]でした。胚移植あたりの臨床妊娠率が61.0%対44.4%[p=0.004]。流産率は13.1%対24.6%[p=0.073]でした。

RPLではIRが45.6%対19.5%[p<0.001]、OPR/LBRが49.1%対24.2%[p<0.001]。また流産率は16.7%対50.0%[p<0.001]でした。胚移植あたりの臨床妊娠率が63.2%対53.0%[p=0.200]。流産率は16.7%対50.0%[p<0.001]でした。

SMFではIRが43.3%対26.5%[p=0.011]、OPR/LBRが47.3%対32.9%[p=0.074]。。胚移植あたりの臨床妊娠率が63.6%対51.6%[p=0.121]。流産率は11.4%対26.5%[p=0.072]でした。

まとめ

本研究では、PGT-AはAMA、RIF、RPL群において、IRとOPR/LBRに有意差が見られたため、PGT-Aが、AMA、RIF、RPLなどの染色体異常胚のリスクが高い患者の臨床成績において、有意な改善と関連している効果的なツールであることを示しています。さらに、PGT-Aは、AMA、RIF、SMFを持つ患者に必要な胚移植数を減少する効果も考えられます。しかしながら、PGT-Aにより効果的な成果を達成するためには慎重な患者選択が重要です。

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