PRP療法

PRP療法とは

Platelet-Rich-Plasma therapy、多血小板血漿療法のことです。PRPは患者様ご自身の血液から血小板という細胞を高濃度に含んだ液体を生成します。血小板は、出血を止める作用の他に、細胞の成長を促す物質や免疫にかかわる物質を含みます。

PRP療法の不妊治療における用途

  1. 卵巣に直接投与する方法で、卵の質を向上させると考えられています。

  2. 子宮内に投与する方法で、子宮内膜が薄い着床障害反復着床不全、慢性子宮内膜炎、アッシャーマン症候群の方などに、子宮内膜の受容性と着床を改善することができると考えられています。

Thin Endometrium(薄い子宮内膜)

子宮内膜は着床と妊娠における要因の一つです。子宮内膜厚が成長することにより、妊娠率が上昇する可能性が示唆されています。胚移植に必要な子宮内膜厚は卵胞期終了時の7mmであることが示唆されています。したがって、子宮内膜厚が薄いと妊娠の可能性が低くなると考えられています。今回紹介するレビュー論文では、子宮内膜の薄い不妊女性を対象にPRP療法による妊娠率および子宮内膜厚の改善をまとめています(参照論文のTable 1)。ここで紹介している論文のほとんどでは、PRP療法により、子宮内膜厚が増加していることが示されています。また着床率と妊娠率について、改善された報告もあれば、一方で有意な差が見られなかったとの報告もあります。

Repeated Implantation Failure(反復着床不全: RIF)

多くの研究で、少なくとも3回の胚移植で妊娠しないことを反復着床不全(RIF)と定義しています。今回紹介するレビュー論文では、 RCT研究 とコホート研究を含む 7 つの研究が実施され、そのうち 6 つの研究でPRP療法が着床率や妊娠率において良好な結果を示しています(参照論文のTable 2)。

PRPの効果

これまで報告された論文の多くでは、PRP療法は子宮内膜が薄い着床障害や反復着床不全の患者さんに効果的であるとしています。一方で多くの論文のサンプルサイズは多くなく、また研究デザイン、特に対照群の設定についても議論があります。そのためPRP療法の有効性については、まだ論争中です。今後もPRPの効果を検討するために、研究デザインや対照基準がよく調整された研究を継続していく必要がります。

参考論文
Lin, Y., Qi, J. & Sun, Y. Platelet-Rich Plasma as a Potential New Strategy in the Endometrium Treatment in Assisted Reproductive Technology. Front Endocrinol 12, 707584 (2021).


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