見出し画像

推し、燃ゆ(宇佐見りん著)を読んだ感想 推しとは?生きるとは?〜ドルオタは読むべき!〜

こんにちは。

今回は、先日芥川賞を受賞した

「推し、燃ゆ。」 著者:宇佐見りん(敬称略)

の感想(ネタバレなし)を書いていきたいと思います。

本屋大賞にもノミネートされ、芥川賞受賞後は注文が殺到し、書店から消滅したほど。

私も5店ほど本屋を周りましたが、結局GETできず。

今週、ようやく在庫が補充されたので、ようやく読ませていただきました。

21歳、第二作にして芥川賞受賞の、疾風のごとく現われた文才。

素晴らしかったです。まずは、あらすじから書いていきたいと思います。


1,あらすじ

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」

という文章から物語は始まります。

もちろん本当に燃えたわけではなく、この場合の「燃えた」とは炎上の意を指します。(注釈をつけずとも、炎上、という意味が通じるということも、現代的でSNSの普及を感じさせます。)

主人公のあかりは、とあるアイドルを推しながら過ごす女子高生。

推しが炎上しても、変わらず彼女は推しを推し続けます。

そんなある日、推しが在籍しているアイドルグループが解散を発表。

ネットからは「は?」「ふざけんな」「待って無理」「お前のせいだ」など不祥事を起こした彼女の推しに対して、罵詈雑言の数々が寄せられます。

生きがいである推しを失った彼女は、家族からも隔絶され、学校も辞め、一人暮らしを始めていきます。

貯金も底をつき、生きる意味を失った彼女が向かった先とはー。


2,感想

あらすじ、どうだったでしょうか。なるべく興味を持てるように書いてみました。

さて、ここではネタバレなしの感想を書いていきたいと思います。

(そもそも純文学なので、ネタバレってあるのか?という話になりますが、、、笑)

まず、率直な感想。

いやー、熱量がすごい。そして、えげつないほどの共感。

僕もアイドルが好きで、アイドルについて考察してしまうくらい好きなのですが、本当に共感できる部分が多かった。(アイドルについて記事も書いているので、是非見ていってください!)

「オタク」と呼ばれる人々が一度は考えるであろう永遠のテーマ。

「推しってなんだろう?」

この作品は、「推し」という概念を様々な比喩を用いて表現しています。

核となっている考え方は、「推し」を推すということは、生きるということ。

主人公のあかりにとっては、推しを推すということが生きることそのものなのです。

食事、睡眠など二の次。

推しのためなら、CDも何枚でも買うし、そのためにバイトもするし、ライブも行くし、布教もする。恐らく、「推し」に死ねと言われれば当然のように死ぬ。

「推し」の全てを知りたい、世界を共有したい。そのために社会に存在する。

「推し」を中心として自分の生活や行動が決められる。

これがあかりにとっての「生きる」ということなのです。

さらに、SNSでの誹謗中傷などの問題もこの作品は取り扱っています。

現代の社会問題を、21歳というネット世代が感じた等身大の気持ちを丁寧にそして正確に、著者の宇佐見りんさんは表現しています。

素晴らしい感受性と、21歳という若さ故に書くことが出来るネット問題にも切り込んだ、等身大の文章。

是非、特に、ネット世代と呼ばれる10代・20代に読んで欲しいです。

買って一読する価値は、十二分にあると思います。


コメント、すき、是非よろしくお願いします。

他の記事も見ていってね。では。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?