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増田秀司市議 遠藤前市長に対する訴訟提起について反対討論

遠藤前市長への損害賠償議案「新町西地区市街地再開発事業にかかる訴訟の提起」は賛成9、反対20で否決されました。

この議案に対する無所属・増田市議の反対討論が徳島市がこの議案を提起した問題点を明確に浮き彫りにしています。
ぜひご覧ください。


増田秀司市議
議案第130号遠藤前市長に対する
訴訟提起について反対討論

議案第130号 遠藤前市長に対する訴訟提起について 反対の立場で討論いたします。

遠藤前市長に損害賠償請求をする根拠として 徳島市が挙げるのは、 再開発組合と徳島市との損害賠償請求訴訟の 第一審判決において
「市に違法行為がある。 市が不法行為責任を負う」
と 認定された点です。

しかし、徳島市が再開発組合に対して不法行為責任を負うことと、 遠藤前市長が徳島市に対して損害賠償責任を負うこととは 全く別の問題です。

まずしなければならないことは、 徳島市が遠藤前市長に対して 債権を発生させる法律の要件を満たすのかということを 正確に検討することであります。

12月6日の遠藤前市長に請求する法律の根拠は何かという玉野市議による質問の答弁で、 「民法であれ、国家賠償法であれ、得られる結果は変わらない」 と答弁されています。
得られる結果が同じであっても、 民法と国家賠償法ではその要件が大きく異なります。

債権が発生するか否かについては、 法律の要件を満たす必要があるにもかかわらず、 「得られる結果が同じ」 などという答弁をすること自体が 要件について必要な検討が行われていないと 疑念を抱かざるを得ません。

また、遠藤前市長に対して 損害賠償請求をするとするならば、 法律上の要件の一つとして、 徳島市に損害が発生したという 具体的事実が必要であるにもかかわらず、 この点について全く答弁されることはありませんでした。

また、徳島市が再開発組合に対して支払った和解金は 実質的には補償金であり、 補償金は徳島市が再開発組合に対して 本来負担すべきものであります。 遠藤前市長の行為によって 徳島市には何も損害が発生していないのではないか という質問に対しても全く答弁はありませんでした。

万が一遠藤前市長が徳島市の 狂気 ともいえる請求に応じた場合、 徳島市は再開発組合との補償金を1円も負担しないことになります。
一審判決を鑑みれば、明らかに不当な結論ということになります。
徳島市に遠藤前市長が賠償すべき損害があるのか という最も大切な点について全く答弁されなかったということは、 遠藤前市長への損害賠償請求権の存否について、 法的な精査が出来ていない事の何よりの表れであると 思わざるを得ません。

また、内藤市長は 「客観的に存在する債権を理由もなく放置したり 免除したりすることは許されない、 私の責任問題として賠償責任を負いかねない」 と述べていましたが、 そもそもその前提として、 遠藤前市長に対して損害賠償請求権が存在するのか
つまり、法律上の要件を満たして 債権として存在するのかということについて、 法律に則った説明すらありませんでした。
説明がなかったということは、 十分に検討がなされていなかったということであり、 債権の存否について 十分な検討をしないまま約1560万円もの訴訟費用を 税金から支払おうとする方が 市長の責任問題になるのではないかと申し添えておきます。

徳島市は、遠藤前市長が再開発組合に対して 代替案や補償を示さなかったことを 違法行為と捉えているようでありますが、 徳島地裁の判決やこれが引用する 昭和56年1月27日の最高裁判決は、 自治体が代替案や補償案を提示したかどうかではなく、 実際に講じたかどうかを問題としています。

つまり、仮に遠藤前市長が代替案や補償を提示していたとしても、 再開発組合から拒否されるなどして、 実際に講じることが出来なければ、 徳島市には再開発組合に対する 損害賠償責任が生じていたということです。
この点について 徳島市は徳島地裁の判決を誤解していると言わざるを得ません。

つまり、 そもそも遠藤前市長が再開発組合に対して 代替案や補償をしたかどうかは本件において重要な問題ではなく、 このことを捉えて損害賠償責任を追及することは誤りであります。 また、当時、遠藤前市長には再開発組合の納得のもと、 代替案や補償を提案することは極めて困難な状況であったと言えます。
これは再開発組合が徳島市に対する損害賠償請求訴訟において 6億5000万円もの賠償金を請求していることからも明らかです。
仮にこの請求に同意して補償金を支払ったとしたならば、 それこそ根拠もなく多額の補償金を 言い値で支払った と言うこととなり 遠藤前市長の徳島市に対する損害賠償責任は 免れなかったと思います。

また、代表質問に対する答弁で 「結局、最後まで補償の提示をしなかったどころか、 損害賠償請求訴訟の中では、 一切賠償金を支払わないことを主張していた」 などとの批判的答弁がありましたが、 遠藤前市長としては、 法的に義務のない支払いをすることはできないため、 訴訟で市の立場で考えられる主張を尽くしたに過ぎず、 何もおかしなことはしておりません。

一審判決に対する内藤市長の控訴理由においても 「一審原告が抱いていた期待は法的に保護されるものではない」 と主張して、 徳島市には損害賠償責任はないという趣旨の主張をしています。
この控訴理由書を作成した弁護士は、 現在、遠藤前市長への損害賠償請求について 徳島市が相談している同一弁護士です。
内藤市長とこの弁護士は ともに控訴審において 遠藤前市長と同じ主張をしてきたにも関わらず、 なぜ遠藤前市長だけを批判できるのか、 なぜ遠藤前市長に損害賠償責任を問えると判断するのか 理解に苦しみます。

さらに、 代表質問答弁において 「遠藤前市長が自ら資料を取り寄せ、補償額を算定すべきであった」 との答弁も有りましたが、 本件のように事案が複雑で、 かつ数億円単位にのぼることが予想される補償金について、 首長が単独で算定すべきだ などと答弁することに耳を疑いました。 そんな理屈がどこにあるでしょうか。
補償金が税金で賄われる以上、 司法の場に委ねるという判断がむしろ正しく、 少なくとも司法の場で補償額を決定するという判断が 違法などということはあり得ません。

内藤市政においても控訴審において 具体的な和解金の提案をすることなく、 裁判所の提示した和解案に応じたはずであり、 遠藤前市長においても 補償額を裁判所の判断に委ねたということです。

この遠藤前市長の政治的判断に対し、 このような答弁で批判することは 言語道断であると言わざるを得ません。

この議案については、まだまだ多くの問題点が有るとおもわれますが 以上のようなことだけでも、 議案第130号、遠藤前市長に対する提訴に係る議案には反対するに 充分に足りる理由となります。
議員各位のご賛同をいただけますようお願い申し上げ、 反対討論といたします。


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