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《徳島市議会》百条委員会設置の議決案に対する、美馬秀夫市議の反対討論

教育・保育施設の整備などをめぐって内藤市長リコール賛成派の3人の市議が市職員に不当な要望・要求に関与した疑いがあるなどとした市の調査を受け、徳島市議会では百条委員会の設置を求める決議案を賛成多数で可決しました。

決議案を提出したのは、朋友会宮内春雄市議
この設置案に対し、自民党市議団の美馬秀夫市議日本共産党市議団の古田美知代市議「反対討論」をしました。

美馬秀夫市議の反対討論全文を紹介し、のちに必要な注釈で説明します。

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美馬秀夫市議の反対討論

自由民主党徳島市議団の美馬秀夫です 。
議員提出議案第7号について、反対の討論をします。

まず、この度の報告書について申し上げておきたいのは、 「この報告書に専門委員が掲載している調査事案はどのように抽出されたのか?」 という事が明確にされるべきです。 

報告書6ページの第4に、 事案の概要と経緯が記載されており、
「市から情報提供を受けた事象を取りまとめると 次表の通りである。」とあります。
19 件の事象が抽出(※1)されていますが、 なぜこれらの事象だけが抽出され、 市から情報提供された根拠は示されていません
これらの事象が 不当な要望等・不当要求に該当するか否かを、市はなぜ抽出したのか不明です。

また、これらの事象があったとされる時期は、 平成30年4月から令和2年4月ですが、 令和2年6月16日本会議山本議員「条例に規定されている不当な要望があったのかなかったのか」 との質問に、 総務部長は「現時点では報告されていません」と明確に答弁(※2)されています。 

令和2年6月16日時点では、報告がないのです。

それにもかかわらず、 これら 19件の事象を抽出しているという行為は、 まさに無いものをあるものと決めつけて市が情報提供を専門委員に行ったということになります。 

平成30年4月から令和2年4月は、前市長の任期です。
前市長は、「いつでも、証言します」と前置きして、この時期に市長である前市長が 市議会議員の不等な要望として 報告を受けた事案は確かに1件あったそうです(※3)。
市長のところまで上がってきた報告内容が、 この度の報告書には全く記述がなく触れられておりません。 

不等な要望として市長まで上がってきたこの事案は、 前市長が確認しているわけですので報告資料いわゆる証拠が、現存していなければ、 公文書の隠ぺい、または不等廃棄ということになります。

このことだけをとっても、 市が専門委員に偏った情報提供を行ったし ということは確かなようです。
しかし、 そのような偏った情報提供の中でも依頼者に忠実な専門委員は精一杯の報告書を作成していると思います。

本来、事実認定判断の思考方法としては、 事実が存在することを認定判断とすべきです。 

しかし、専門委員は依頼者の要望に沿うために事実が存在しないことを認定判断としているのです。 

これでは確実な証拠がなければ、事実認定は出来ません。
これを示すのに明確な内容は、 報告書の 12 ページに3調査結果 (1)結論で、
「いずれの案件についても、 不等な要望等・不当要求であることを根拠づけるための 資料(証拠)が十分ではなく、 不等な要望等・不当要求が行われた疑いがあるの認定にとどめることとした(※4)」とあります。
これは、非常に苦しんだ末の記述だと思います。 

全くの論理矛盾と言わざるを得ません。
そもそも、疑いがあるから調査をして、 その事実認定を行うことが目的です。
疑いがあるとして調査をしたが 十分な証拠もなく、 疑いとされる事実認定が出来ないから疑いがあるとする事象が事実であるとも、事実でないとも
事実認定が出来ないということです。 

要するに、条例に規定される 不当な要望等・不当要求はなかったと事実認定すべきところを、 「疑いがあるとの認定にとどめておく」 というような記述を行ったということです。 

また、この報告書には、そのような内容も記載されています。
報告書 14 ページに、「そもそも、(市議会議員は、市議会の予算議決権、 条例制定権、調査権等の権限に基づき、市政全般にわたり、 職員に対し、質問し、資料の提供を求め、 意見を述べることなどが 正当な職務として認められている。」との記述です。
これは、まさにこの報告書に記載されている事象はその範囲内であるということを伝えたかったのではないかと推察します。 

このように、二人の弁護士の専門委員が、およそ1年をかけて調査し、書き上げた報告書の結果は、 条例に規定する、不等な要望等・不当要求があったという 事実認定は出来ていません

また、事前の総務委員会においても、専門委員は 再調査の必要性や市議会議員に直接聴取する必要もない との判断であったとのことです。

プロの弁護士が、そのような判断をしているにもかかわらず、 それ以上の結果が 100条委員会で出ることは、あるはずもなく、 100万円の予算を計上し、 100条委員会の設置をするということについては 反対します。
議員各位の賢明なご判断をお願いし、反対討論といたします。 

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注釈と参考情報

(※1)19 件の事象が抽出

担当した大阪の2人の弁護士から内藤市長宛に提出された調査報告書には以下の20件の事案の概要と経過が記載されていました。

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こちらに記載されているX議員山本武生市議(自民党徳島市議団)Y議員須見矩明市議(自民党徳島市議団)Z議員加戸悟市議(日本共産党徳島市議団)で、いずれも内藤市長リコール住民投票に賛同しています

また19番に出てくるaは今回 百条委員会の委員長となった岡孝治市議(徳島活性会議)
岡孝治市議原秀樹市政時代一般廃棄物処理業の「許可取り消し」処分を原市長に働きかけたとされる件(ヤングクリーン事件)で百条委員会で審議されました。

この時百条委員会の委員長を務めていたのが山本武生市議加戸悟市議も委員を務めていました。
当時の報告書はこちらでご覧いただけます。

一般廃棄物処理業の不許可処分に関する調査特別委員会調査報告書
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11459840/www.city.tokushima.tokushima.jp/shigikai/100jouiinkai_kekka/index.files/1.pdf

「一般廃棄物処理業の不許可処分に関する調査特別委員会調査報告書」
から一部抜粋
↓ ↓ 

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(※2)総務
部長は「現時点では報告されていません」と明確に答弁

2020年の6月議会当時の総務部長「現時点で不当な働きかけ事案の報告はありません」と答弁

徳島市議会議事録http://voices.city.tokushima.tokushima.jp/voices/CGI/voiweb.exe?ACT=200&KENSAKU=1&SORT=0&KTYP=2,3&KGTP=1,2,2&TITL_SUBT=%97%DF%98a%81@%82Q%94N%91%E6%81@%82S%89%F1%92%E8%97%E1%89%EF%81%7C06%8C%8E16%93%FA-10%8D%86&SFIELD1=HTGN&SKEY1=%95s%93%96%82%C8%93%AD%82%AB%82%A9%82%AF&SSPLIT1=+%2B%2F%21%28%29-&KGNO=144&FINO=655&HUID=27610&UNID=K_R020616001023


またその後の記者会見報道陣から内藤市長に厳しい質問が投げかけられています。こちらの記事に詳細を記載しています。

なお、市議会でこの発言をした総務部長は11月の異動で総務部長兼理事の部長職を解き、理事専任としたことが事実上の「降格では?」と徳島新聞記事でも報じられました
これに対し、内藤市長は徳島市のホームページで抗議をしています。
http://www.city.tokushima.tokushima.jp/smph/shisei/opinion_on_press/20210423tokushima.html

(※3)遠藤市長にあがってきた不当な働きかけは1件

遠藤前市長は百条委員会の設置の報道を受け、以下のようにFacebookにコメントを発表しました。

(遠藤あきよし氏Facebookより)
私が市長時代に、職員が作成した市議会議員からの不当な要望等の報告書は一件だけしかありませんでしたからよく覚えていますが、それが今回公表されていない事にも大きな不信感を持っています。
まさか、与党議員は免除なんてことはないでしょうね。

https://www.facebook.com/endoakiyosikousenkai/posts/397848635068475

(※4)不等な要望等・不当要求が行われた疑いがあるの認定にとどめることとした

提出された調査報告書にはの12ページは以下のように調査結果を結論づけるコメントが掲載されています。

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