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【病気】陣痛が分からないほどの痛みを抱えるスコティッシュフォールド。骨軟骨異形成症とは

厳選したブリーダーを紹介しているペットの実家では、「骨の遺伝病」がチャームポイントである折れ耳スコティッシュフォールドの販売停止を決めました。

現在スコティッシュ・フォールドと一緒に暮らしている方、またこれから一緒に暮らしたいと考えている方、ぜひ最後までご一読ください。


スコティッシュフォールドの折れ耳と向き合う

ちょこんと折れた耳がかわいいスコティッシュ・フォールド。現在国内で13年連続人気ナンバーワンの猫種です。折れた耳がかわいいのはもちろんですが、おとなしくて人懐っこい性格も人気になっている要因のひとつです。

「スコティッシュ・フォールドは猫初心者でも飼いやすいと聞きました」
と、スコティッシュ・フォールドをお求めになる方は多いですが、折れ耳は骨軟骨異形成症(こつなんこついけいせいしょう 通称OCD)という遺伝病です。

折れた耳をもつ猫のほとんどがこの遺伝病を持っていると言われ、発症率は極めて高いですがこの遺伝病と向き合う覚悟を持ってスコティッシュ・フォールドをお求めになる方は、あまりいらっしゃりません。

※折れ耳猫はこの遺伝病を確実にもっていると考えることもできますが、遺伝という性質上100%持っていると言い切ることはできませんので、ここでは「ほとんど」と記載しています。

そして、同じように立ち耳猫はこの遺伝病をもっていないと考えることもできますが、遺伝という性質上こちらも100%もっていないと言い切ることはできません。詳しくはこちら:詳しくはこちら:骨軟骨異形成と優性遺伝

この遺伝病は耳だけに症状がでるのではなく、全身に症状がでます。最初は足くるぶしに骨瘤ができやすく歩くと痛みます。この骨瘤の痛みによって歩くことはどんどん難しくなり、あまり動かないおとなしい猫になっていきます。
これが、スコティッシュ・フォールドが「おとなしい」と言われている理由のひとつです。そしてこの痛みは成長中の1歳までに発症してしまうのです。

重症化しているスコティッシュ・フォールドは、しなやかにしっぽは動きません。棒のようにカクカクと動きます。陣痛がきてもいきむことができないという子もいます。
 
この骨軟骨異形成の治療法は現在確立されていません。
一度発症すると、生涯痛みと共に生きていくしかない猫種が折れ耳のスコティッシュフォールドです。

立ち耳×折れ耳の交配なら大丈夫?

スコティッシュフォールドの折れ耳である骨軟骨異形成症は「優性遺伝」であり、折れ耳同士の交配で生まれた子は重症化しやすくなる傾向があります。
そのため、現在の繁殖方法は「立ち耳」と「折れ耳」との交配が推奨されています。
詳しくはこちら:骨軟骨異形成と優性遺伝

そして、「立ち耳と折れ耳の交配なら、重症化しないから大丈夫」という考えもあります。

しかし、重症化しないからといって、歩く度に足が痛む子を家族として迎えいれたいでしょうか。猫は痛みや不調を隠す生き物です。軽症なら、遺伝病を発症していてもいいのでしょうか?

ペットの実家とスコティッシュフォールド 

折れた耳の猫を販売する、ということ自体が遺伝性疾患のある猫を販売するということになります。
 
たしかに、課題のある犬種・猫種はスコティッシュフォールドだけではありません。

ダックスフンドは足が短いため、胴に負担がかかりヘルニアを発症しやすい犬種です。

フレンチブルドックは身体の割には頭が大きいので自然分娩はできません。必ず帝王切開になります。

日本のラブラドールレトリバーは2頭に1頭が歩けなくなる可能性がある股間接形成不全を発症する可能性があります。

鼻が短いペルシャは呼吸器系の病気になりやすいです。

ペットの実家では、10年以上一緒に過ごすことになる家族を紹介しています。一緒に暮らす時間を少しでも長く、健康に暮らしてほしいと願って、掲載しているブリーダーさんの条件はかなり厳しくチェックしています。遺伝病の検査の実施や、親へのワクチン接種も義務付けています。
 
そのため、遺伝性疾患である折れ耳のスコティッシュ・スコマンチはこれからも販売しません。
 
スコティッシュ・フォールドの折れ耳という外見の評価ではなく、内面的な人懐っこい性格が評価される日がくることを願っています。