【業界人が語ります】究極の雑種ミヌエットをかわいそうだなんて言わないで!
ミヌエットは、ペルシャ系(ペルシャ・エキゾチック・ヒマラヤン)の猫とマンチカンのMIX猫で、1990年代に誕生したまだまだ珍しい猫種です。
足が短い猫のため、身長が低いとされているフランスの皇帝「ナポレオン」と名付けられたのがはじまりです。その後フランスからお叱りがあり(!)2015年に名称が変更されミヌエットとなりました。
この新しい猫種のミヌエットがかわいそうだと言われますが、本当にそうでしょうか?
1 ミヌエットがかわいそうと言われている訳
ミヌエットに限らず、短足猫に対してかわいそうだという声があります。
主な理由はこの4つです。
この4つの要因は、よく巷で噂されているものです。
ですが、実際に繁殖現場を見た人の意見はあまり出回っていません。
本当にそうなのか。
今回は繁殖現場を実際に見て分かったことを解説していきます。
①短足は奇形だから
「短足猫」の始まりは突然変異的に発生しました。その後、本格的にブリーディングされ始めたのは1980年代以降で、独特の姿と可愛さによって人気が出た猫種がマンチカンです。
「短足は奇形だ」と考える意見も多いです。
しかし、短足だからといって何か特有の病気や症状がでることはありませんでした。高いところにジャンプすることが難しいだけで、元気よく走りまわる姿は他の猫と大差ありません。
②骨軟骨異形成症を発症するリスクがあるから
骨軟骨異形成症とは骨の遺伝病です。足くるぶしにコブができ、痛みが生じます。この遺伝病の代表猫種はスコティッシュフォールドです。
スコティッシュ・フォールドの折れ耳の猫は、この遺伝病を持っていると考えていいでしょう。(※スコティッシュフォールドも耳だけではなく足に症状がでます。)
そしてミヌエットだけではなく、マンチカンやアメリカンカール、ペルシャなどの猫種もこの遺伝病を発症する可能性はあります。
しかし、可能性があるからといって短足は必ず骨軟骨異形成症の遺伝子を持っている、という訳ではありません。
足の長さとこの遺伝病の関係性は見つかっておらず、しかもその発症割合もかなり低いです。「短足だけ」が特有の病を発症するということはありません。
③ヘルニアになりやすいから
短足猫が産まれてきた当初、「足が短いダックスフンドのようにヘルニアになりやすいのでは?」と言われていました。
しかし、そんなことはありませんでした。
短足猫が特別ヘルニアになりやすいということは科学的に明らかになっていません。ダックスフンドは足の短さではなくまた別の課題でヘルニアになりやすいのです。
④死産が多いから
死産が多いと言われている理由は、短足は致死遺伝子を持っているからです。ミヌエットの致死遺伝子は、両親からその遺伝子を受け継いだ場合死亡してしまうのです。
そのためミヌエットやマンチカンは短足同士の交配が禁止されています。つまり、適正な繁殖(足長×短足)を行えば奇形の子や軟弱な子が生まれてくる確率を減らせることができます。そしてその割合は他の猫種との差はありません。
ちなみに、ミヌエットをこのように解説される方もいらっしゃいますが、これは大きな間違いです。
短足ミヌエット・短足マンチカンの掛け合わせも十分にあり得えます。
次はこの理由を解説していきます。
2 ミヌエットの両親って誰?
血統書が発行されるミヌエットは純血種でしょうか?
実はこの問は難しく、ミヌエットの両親はミヌエットとは限りません。マンチカンとペルシャとも限りません。親や親戚のパターンがたくさんあるのです。
3 そもそもマンチカンとは
マンチカンは新しい猫種のため、現在は様々な猫種を掛け合わせて血を薄くし、遺伝的多様性を増やす段階です。
上記の通り、ブリティッシュショートヘアー×マンチカンの子も、マンチカンとして名乗れ、血統書が発行されます。つまり、ブリティッシュ系マンチカンも存在しますし、アメショ系マンチカンの子もいるわけです。
ここまで違う純血種を組み合わせていると、マンチカンが多種多様な美貌を持つことが分かります。このように、マンチカンとは雑種なのです。
4 究極の雑種!?ミヌエットの血統とは
上記のようなマンチカンに、ペルシャ系(ペルシャ・エキゾチック・ヒマラヤン)を加えるとミヌエットと呼ばれ、ミヌエットの血統書を発行することができます。
そのため、下図ようなミヌエット家系になることがあります。
組み合わせ次第では、さらに多種多様なミヌエットが産まれる可能性があります。
アビシニアンの遺伝が強くでれば、短毛でシャープなお顔で、元気で活発な子になるでしょうし、
ペルシャ・ヒマラヤンが強くでれば、しなやかな長毛で、鼻ぺちゃで穏やかな子が産まれる可能性があります。
ブリーダーによって目指す風貌が違うこともあり、そこが面白さのひとつですね。
ちなみに、マンチカンとペルシャ系のミックス猫のはずが、ペルシャ血統が遠い場合もあります。
上の図のように、ペルシャが曾祖父母に1頭だけ・・・という場合もあります。ミヌエットだからと、ペルシャの血量が多いとは限りませんね。
5 健康なミヌエットをお迎えしたいなら
種の名前が付いている(純血種)犬や猫は、その種の特徴を生かし繁殖されてきました。そのためその種のなりやすい病は純血種特有の問題であり、ミヌエットだけではありません。そして純血種の中でも歴史の浅いミヌエットは異種交配が認められ、遺伝のバリエーションを増やしている段階です。
そして、ミヌエットは足の特性上、家族である私たちが交配の在り方をしっかり確認する必要があると言えます。
しかし、ペットショップの場合親を見ることや、親や祖父母の遺伝病まで確認することはできません。
ミヌエットは「親を見ること」が他の猫種より大切です。
ペットの実家は、ブリーダーから直接お迎えできるよう新しい引渡し方法をとっています。
この方法は、流通などの環境の変化に弱い猫ちゃんにはとてもやさしい引き渡し方法とされています。
ペットの実家はミヌエットとその家族のよりよい未来のために、優良ブリーダーの掲載条件として業界初である遺伝子検査と母親の掲載を必須項目とし、彼らの健康を守っています。
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