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『yuanfen』という名の人生の教科書

みんなはさ、音楽って好き?

どうも初めまして。お久しぶりです。たらこといいます。
この前のを読んでくれた人は、「また同じ始まり方だな」って思った人もいると思います。

この記事が初めてだよって方は、先にこの前のを読んできてもらえたら、今回のお話にちょっとだけとっつきやすくなると思います。

ぱぱっとまとめると
『高校生の僕が歌い手の【鹿乃】さんに一耳惚れをしたよ』って話でした。

それで今回、なにをしに来たかと言いますと

布教

です。
みんなも布教、好きでしょ?

とは言っても、布教なんて立派なものでもなくて、僕の好きをみんなに伝えられたらいいなってお話です。友人の肩書きを借りるならオーディオリコメンダー(自称)になります。

それで、今日持ってきたのがこちらです

前回、今回とnoteの表紙になってたの、気づいた?
こちら、【鹿乃】さんの4枚目のアルバムで

『yuanfen』

というアルバムです。
読み方は「ユアンフェン」で、中国語です。
意味は「縁」とか「ゆかり」とか「運命で繋がれている仲」とかそんな感じのニュアンス。だからジャケット写真でも、赤い糸が描かれてたりするんですって。

……ほんとに今更なんだけど、ずっと【鹿乃】さん【鹿乃】さんって言ってたけどさ、読み方、「かの」なんですよ。「しかの」じゃないんですよ。ほんとに今更ですけど、お見知りおきを!

あ、アルバムの話に戻りますね。
このアルバム、2020年3月4日に発売されました。意外と最近でしょ?
前のアルバムからは2年近くスパンがあったので、お久しぶりのアルバムってことで、喜んだのを覚えています。(隙あらば自分語り)

それでね。
早速1曲目から紹介をしていこうと思うんですけれど、少しだけ注意事項というか説明というか。

今回説明するにあたり

〇曲目:『曲のタイトル』編曲:編曲者の方の名前

みたいな感じで書いていきます。タイトルのところには、その曲を聴きにいってもらえるようにリンクを設定出来てる(と思う)ので、紹介文(というか感想文?)を読む前でも読んだ後でも、聴いていただけると嬉しいです。(2番のここが!!みたいなこと言うと思うので、読んでる途中でもイイのよ)

「……なんで編曲者しか書いとらんのじゃい」
と思った感の鋭いあなた。大正解です。

実はこのアルバムに収録されている曲すべてに共通することがあります。それが

作詞:鹿乃
作曲:田中 秀和(MONACA)

というところです。
実は【鹿乃】さん、リリースされているほとんどの曲を自身で作詞されてます。

【鹿乃】さんの作詞はとても「言葉遊び」が面白く、このアルバムの中でもいくつか出てきますが、簡単に言うと韻を踏むような歌詞が多く見られます。これもその曲の時に紹介出来たらいいな。

続いて作曲の田中秀和さん。
……説明いります?ってくらいの大人気音楽クリエイターさんです。僕もTwitterで何度か話してるくらい、大好きな方です。『デレステ』5周年楽曲の「Go Just Go!」なんかも作曲された方ですね。
詳しい情報が気になる方は、上のお名前のところのリンクからとんでっちゃってください!
…帰ってきてね?

というわけで長くなりましたが、曲紹介(感想文?)いってみましょう!

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1曲目:『午前0時の無力な神様』編曲:Aire(アイレ)

この曲は、アルバム発売に先立ってyoutubeなどで先行公開された曲です。先行公開ということもあって、始めからキャッチーさ全開。聴き始めたら一気に転がるように進んでいきます。
というか早速余談なんだけど。
最近さ、イントロ抜いて急に歌詞から始まる曲多いよね?そんな感じしない?気のせいかな。

それで、僕のすきすきポイント。2番のエモエモ間奏が終わってラスサビ前。コーラスが入ってからの「♪愛おしくて〜」。そんで少し間をあけてラスサビどーん!のとこ。ラスサビあるあるの転調をしてる訳でもないのにこの開放感。なんなんでしょ。
高速道路とか走ってて、長いトンネルをこれから抜けるぞ……!!みたいな、そんな感じの爽快感と、これから起こることに対する期待感が駆け抜ける感じがします。
アルバムの1曲目ということで、物語のプロローグとなるにはぴったりの曲だと思います。

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2曲目:『光れ』編曲:Nor

1曲目の期待感を胸に続いて2曲目。
future base全開の、ポップなイントロが始まります。聞こえてきた歌詞は「照明代わりのTV/真夜中流れるメロディ」と、少し陰鬱な感じ。
それで今回の僕のすきすきポイント。(これ毎回やるからね)
やっぱりこの曲で耳に残るのはサビのところ。
精一杯輝いて/大丈夫伝えよう」と歌いつつ、裏の楽器でキメを入れることで自分自身に言い聞かせてるようなそんな感じがします。
僕のイメージだとこの曲、高層マンションの結構高いところの一室で、真夜中に大きな窓を開けて、外の暗闇を見ながら歌ってるイメージがあるんですよね。高層マンションってことで、特に不自由のない生活をしているけど、このままでいいのかなって、少し不安を覚えているようなそんな感じです。こう見ると『光れ』ってタイトルも自分に言い聞かせてるように見えてくるね。
ちなみに最初にさらっとfuture baseって言ったんですけど、未来を見ているような、キラキラ・ピコピコした感じの音で作られている音楽のことです。『デレステ』で言うと「クレイジークレイジー」とかがそれに当たるかなって感じがしました。曲聴いてても、なんか似てるな?って思った人、多いと思います。
こんな感じのfuture baseを好きになったそこのあなた。ぜひキズナアイさんの『Hello,morning』を聴いてほしい。ちなみに作曲は、この『光れ』を編曲したNorさんです。

future baseはいいぞおじさん「future baseはいいぞ」

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3曲目:『yours』編曲:田中 秀和

ここに来て田中秀和さんの自編曲。
先ほどまでとはうってかわってブラジリアンなサンバ調のリズムで始まりますが、歌詞を聴く限り、場面は先程と同じように「暗い部屋の片隅で/膝を抱えて月を見る」ようなことをしています。

サンバときくと(デレステの「きみにいっぱい☆」のような)ハッピーで喜ばしいようなものを考えてしまいますが、このように恋愛で、しかも暗い歌詞とメロディがつくと、こんなにも儚い、けどどこかまだ火種が残っているような。これからまた大きく燃え上がってしまうのではないかというような感情になるのだなと思いました。

ここで僕のすきすきポイント。2番の2回目のAメロが終わったあと、どこか吹っ切れたように「あたし今日も/あなたのお友達」と鹿乃さんが吐き捨てます。そしてここから始まる間奏!!

なにこれ

初めて聴いた時、思わず口から「うわぁ……」と漏れてしまったほど、わけの分からない間奏です。ピアノとエレキギターが入り交じって、しかも変拍子で。もう何が起こってもおかしくないような雰囲気を醸し出しています。そこに途中から鹿乃さんのコーラスも混ざり、これまで溜め込んでいた感情が爆発し、そこからスッと、我に返ったようにAメロに入ります。
こう、家の中のものをぐちゃぐちゃにかき乱しながら暴れ回ってしまうくらいのイライラやストレスが溜まっている心情が手に取るように伝わってきます。すごすぎ。

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4曲目:『KILIG』編曲:ハヤシベモトノリ

シンセサイザー時計の針が進むような「カチッカチッ」と言った音から始まったかと思ったら、管楽器でスウィングのような、ブラスバンドのようなものも入ってくる。そこに鹿乃さんの特徴である、ささやくようなウィスパーボイス
これも若干future baseのような雰囲気がありますが、近未来感はそんなにないなぁって思ってたんですよ。なんでかなって思ってよく聞いてると、裏で4拍に1回くらいのペースで水が落ちるような「ポチャン」みたいな音がしてたんだよね。これのおかげで身近な雰囲気がでてるのかなって思いました。

ちなみにタイトルの『KILIG』は、タガログ語で「お腹の中で蝶が飛んでいるようなほどの高揚感」「目眩がするほどのロマンチックさ」と言った意味があります。
そんで今回の僕のすきすきポイント。
タイトルの通り、この曲は誰かに向けたラブレターのような。「あなたと出会えて本当にによかった」と伝えているような歌だと考えました。これこそアルバムのタイトル通りの『yuanfen』だなぁと。

バタフライ効果』という言葉がありますが、「なにかが少し違ったらあなたとは出会うことは無かった」と、その喜びを伝えているような曲に感じました。
その証拠として、1番と2番に「♪もう/元には戻れない」という歌詞があって、2番の時だけコードが上がっていってるんですよね。1番の頃は自分の選択が正解だったのかどうか迷っているような感じだったけど、曲の終盤にはその選択をしていて良かったと、その喜びが伝わってくるような曲になっていると思いました。

これを歌詞じゃなくてコードで表現してるんだからすごいよね……。

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5曲目:『聴いて』編曲:田中 秀和

これまでの曲とは少し違い、落ち着いたアコースティックな雰囲気の(YUIみたいな)曲……かと思ったら途中からドラムがドコスカ鳴りだして、なんじゃこりゃって思ったのが第一印象でした。

歌詞を聴く限り、タイトルの通り自分のことを『聴いて』欲しい、自己紹介にも似た曲かと思ったのですが、「私は私が描くように/優しくも面白くもなくて/悪魔にも天使にもなれない/私が嘆くただの人間」という歌詞もあるので、理想の自分に向けての自嘲も含まれた曲であることがわかりました。

そんで今回の僕のすきすきポイント。
もう先に話しちゃったんだけど、ちょこちょこ主張してくるドラムのところが好きです。
この曲がただの自己紹介曲なら、多分この強めのドラムは邪魔でしかないと思うのですが、理想の自分との比較などを含んだこの曲では、鹿乃さん自身の心の中での葛藤を表していると思いました。

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6曲目:『漫ろ雨』編曲:曽我 淳一

すずろあめ」と読みます。「小降りだけどずーっと降り続いている雨の様子」だそうです。擬音をあてるなら「しとしと」とかが近いですかね。
グロッケン(鉄琴)と細かいシンバルのシャンシャンというような音から始まりますが、もう既に振り始めている「漫ろ雨」が表現されています。

曲を聴きながら歌詞も読んで欲しいのですが…(欲張り)
この曲ひとつで、短い小説を読んでいるようなそんな感覚になります。
自分の性別も相手の性別も分かりませんが、傘をさして坂道をくだりながら、傘をさしていない「」を見ている様子から、やはり学生なのかなと。時間帯も描写はありませんが、「漫ろ雨」といっているくらいなので、朝からずーっと雨が降っていた日の下校時間、と考えるのが自然でしょうか。ここまで語っといてなんですが、場所とか性別とかは聴き手の皆さんのお好きに考えていいと思います。

そして今回の僕のすきすきポイント。
ラスサビ前の「♪願うならば ねぇ/届くはずのない/そんなことを 思うだけで」の後のところ。歌詞的にもこれから晴れ間が見えるし、明らかに転調して盛り上がりそうな予感がぷんぷんしてます。
……が転調せず。
どれだけ聴き手を裏切れば気が済むんだこの人は(褒め)。
というのは冗談で。もし仮にここで転調していたら、その転調の意味合いは「ずっと雨降ってたけど晴れたよ!」みたいなことになり、カメラ的には空を見上げるような視点になっていると思います。
でも今回伝えたいのはそうじゃなくて、「晴れたことで君が私に気づいてくれたこと」なんです。だからカメラは空の方ではなく、坂道の少し下の方にいる「君」のほうにずっと向いていると思います。だからここでは転調せずに、あくまでも「君」を見続けているのが正解なのかなと思いました。

ちなみに僕はこれが一番好きなんです。

…あぁ、青春って感じだな……。

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7曲目:『おかえり』編曲:Oliver Good(MONACA)

イントロから、クリスマスのような冬を連想させるめちゃくちゃにポップな始まり方をします。

曲を聴きすすめるうちに、「あ、なんかペットの視点から歌ってるのかな」って気付きますね。
「僕」(多分白い毛の犬とか)が「君」と「パパ」と「ママ」に囲まれて、とっても幸せ
……な歌かと思っていたら、歌詞を見ると2番のあたりからすこし不安になってきます。
♪10回目の12月/君はなんだか忙しなく」というのがあるように、出会ってから10年が経ち、「君」が成長して、「♪ごめん/また今度ね」と勉強などで忙しくなってかまってくれなくなります。「パパ」の髪の毛も「僕」とお揃いの白い毛になって、「ママ」も僕とお揃いの寂しそうな顔をしています。

でも、間奏があけた次の瞬間、1番の頃の昔と同じように「パパ」が撫でてくれて「ママ」が名前を呼び、見上げると「君」がいてくれています。
16回目のがすぐそこまで近づいているころ、
♪さようなら/またね」と曲が終わり、

「僕」は亡くなってしまいます。

年老いて体が弱ってきて、だからこそ最後には家族がみんな揃って、「パパ」は撫でてくれて、「ママ」は名前を呼んでくれて、「君」はそばにいてくれて。

この曲での『yuanfen』は、ペットである「僕」とその家族の出会いです。早く年老いていく「僕」は遅からず必ず「」が訪れますが、その「」を全く感じさせないくらい底抜けに明るいメロディとコードは、「僕」がみんなと出会ってから亡くなるまでずっと、変わらず幸せだったよと伝えているようにも思えます。
今回のすきすきポイントは無しです。全部好きです。これ書きながら涙が止まりません。

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8曲目:『罰と罰』編曲:佐高陵平(y0c1e)

先ほどとはうってかわって激ヤバな曲です。
聴けばわかります。
こんな曲を僕は知らないし、これからの人生これ以外に出会うことはない思っています。


ちなみにタイトルは『罪と罰』ではなく『罰と罰』です。ドストエフスキーではないのですよ。
歌詞的にも鹿乃さんお得意の言葉遊び全開で。
イントロのキュルキュルした音から始まり、よく分からないピアノのコードに繋がります。明らかにこのアルバムの中でも異色だと思います。
はじめて聴いてくれた方の中には「気持ち悪い」とか「こんな曲聞いたことない」とか思った方もいるかと思います。

それであってます。

いたる所に不協和音が散りばめられていて、つぎはぎな感じで、曲として成立してるのが不思議なくらいです。

それで今回の僕のすきすきポイント。
こんな感じで不協和音だらけなのになんで成立しているかって言うと、鹿乃さんの歌声のおかげだと思います。
これまでも何度か言っていますが、鹿乃さんの特徴は感情もりもりのウィスパーボイスにあると思っています。
ただ、今回だけはそれは少しだけお休み。
曲の全編を通して妖艶でダークでグラビティで、どこか優しい鹿乃さんの声を聞くことになります。

それで、この曲全体を通して不協和音が目立ちますが、特に特徴的なのがこの曲のBメロ。「♪檻の/中で今日もいい人」のところ。
単刀直入に言うと、『楽器だけでなく、鹿乃さんの歌声まで含めて不協和音になる』ような音程になっています。

実は鹿乃さん、以前に田中秀和さんと対談された際に、こんなことを仰っていたみたいで。

鹿乃:「私の歌も、音の一部として扱ってくださっても構わないので、ずっと聴いていられるような、カフェミュージックのようなものにしたい」

こちらの対談のリンクはこちら

とまぁこんな感じで、鹿乃さんの声すらも音程になるような、そのような曲作りになったという背景があるみたいです。

にしてもやりすぎじゃないですかね

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9曲目:『エンディングノート』編曲:sugarbeans

さて、アルバム最後の曲となりました。
タイトルは『エンディングノート』。一般に、終末期を迎えた高齢者が書かれる、遺書のようなもので、この曲のというか、基礎になる部分には『』に関するものが敷き詰められています。

ですが曲調に暗いものは感じず、どこか跳ねるような明るさすら感じます。

そして鹿乃さん自身もこの『エンディングノート』に関して、こんなことを仰っています。

鹿乃:今回のアルバムは、「今死んでも悔いの残らないような作品をつくりたい」という気持ちでつくりはじめた作品なので、そういう意味でも、もちろん遺書ではないんですけど、最後に「エンディングノート」を入れたいと思ったんです。

歌詞の中にも、何度も『ありがとう』と出てきており、死への恐怖と言うよりは、死を迎える前に伝えるべき愛を唄っているように思えます。

今回の僕のすきすきポイント。
ラスサビ前の落ちサビのところの歌詞。
ありがとう/それ以上の言葉が/今出てこない たくさんあったはずなのにさ/涙ばかり溢れて
のところです。

この前話した友人が、この間ドラマで見た俳優が。
死というものは、僕らが思っているよりもずっとずっと近くにあるんだと思います。

死を明るく歌うことは、決して軽んじている訳ではなく、死がとても身近にあること、なにも特別なものではないことを伝えてくれていると思います。

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さて、これでアルバムに収録されている9曲全ての紹介と僕の感想文が終了しました。

いかがだったでしょうか。

僕の説明はほんとに至らない点ばかりで、解釈違いばかりだったかと思いますが、このアルバムと曲に対する僕の愛というか思いというか、そういう類のものは伝えられたのではないかと思います。

私が紹介させてもらった曲の中に、皆さんの琴線に触れ、みなさんの心の中の『思い出の音楽』になるようなものはあったでしょうか。

あってもなかったとしても、この記事を読んでいただいて、僕のほんの少しの心の中を聴いてくださった皆さま。本当にありがとうございました。

よろしければ感想の方、お待ちしております。

これからも僕の心の中の思い出を、皆様に共有していけたらなと考えております。

本当にありがとうございました。

では、またの機会に。

たらこ