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銀河売り[シロクマ文芸部]

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銀河売りの朝は早く
夜も明けきらぬ時
薄闇へとそっと漕ぎ出す

最後の願いを託された
祈りの花は散る間際
微かな吐息で空を染める

光の粒になった花を
そっと柄杓で掬い取り
夢に溶かすと灯が生まれる

そうして作った新しい銀河は
闇が降りぬ前に売れていく
堪えた涙とひきかえに
空を見上げる強い瞳の持ち主に

銀河にひとつ
希望の星
届かなくても
届かないからこそ
見上げた時には
強く輝く

叶わなかった最後の願いが
希望の星と共に燃える
痛いほど眩く
切ないほどに美しく

闇がゆっくり寝息をたてる
祈りの花がどこかで開く
銀河売りの夜は静かに

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