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ハンドメイド作家 二年目の頃にやったこと

Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作・販売をしています。


ハンドメイド作家として活動をはじめて今年で4年目です。文章の練習として細々楽しんでいるnoteにて、ちょうど1年前に『ハンドメイド作家 一年目の頃にやったこと』という記事を書きました。これが予想以上に沢山の方に読んでいただき、いまも感想をいただくこともあって大変嬉しく思っています。

販売を開始して1年、値段の大小関わらず合計103個の商品を販売することができました。最初の半年で16個、めげそうになりながらも頑張って続けた沢山の取り組みが実を結び、後ろの半年で87個販売することができました。
初期投資や沢山の事を試したのをのぞいても初年度は赤字でした。しかし沢山の経験を積み、沢山の不安と戦い、なにより自分で作ったアイテムを介し人の笑顔を見る喜びを知ることができました。

今回は作家活動2年目に行ったことをお話しできる範囲で書いていこうと思います。実は金銭面でも気持ちの面でもこのまま活動を続けるか1年目以上に何度も悩みながら過ごした期間でした。予定は組んだが来月やめることになるかも知れない、自分でも信じられないくらいの熱量で動き、沢山のことを吸収しようと毎日頑張ったのを覚えています。

2年目にはじめ、効果を感じながら現在も続けている取り組みについて書きました。大きく分けて3つです。
・お金や商売について考えた
・自分に合った活動方針を探した
・作家としてのレベルアップを目指した

活動を続けたから出てきた悩みを解決し、ポジティブに考えられるようにして、その延長で販売数や売り上げが増えたという内容が中心です。

今回は当時の悩み・その時に感じていたこと・取り組みを行った理由や経緯なども詳しく書いたので記事がいつもにも増して長くなりました。1万5千文字近くあります(絶対もっと短くできたはず、ごめんなさい)。
文章や人に何かを伝える練習として行っているため記事を有料公開にする予定はありません。よかったらお時間のある時にゆっくりお読みください。

赤裸々に書きすぎちゃったかなという項目もありますが、同じような悩みを抱えている人のヒントが一つでも見つかるきっかけになれば幸いです。

お金や商売について考えた

1年目にあまり考えようとしなかったのがお金の話でした。
2年目からは「まずは赤字を抜け出し、この活動で税金を納められるようになって、数年後に胸を張ってお仕事と言えるように頑張りたい」と目標を立てました。

はじめての価格改定で感じたこと

以前ネットショップについて書いた記事でyoutubeの「おはようminneラボ」をよく視聴すると書きました。minneで活動されている作家さんの様々な悩みに対し、アドバイザーの和田まおさんが回答していく動画が中心です(今は退社されて別の場所で活動されているそうです)。

活動初期の頃から家事や作業のお供にラジオ感覚で聞いており、実は4年目の今も定期的に繰り返して視聴しています。動画によってはおそらく今まで10回以上再生したものもあると思います。活動の段階によって質問や回答への理解度が異なるため、アドバイザーさんの何気ない一言からその時悩んでいることへのヒントが見つかることがあるためです。
例えば1個も売れたことのない時期に「作品の値上げを検討しています」の話を聞いてもただの他人の悩みとしてしか聞こえず、なかなか理解ができませんでした。「1個も売れてないんだからもっと安くしないとダメかも」と考えていたくらいです。しかし100個売った段階で売上と手元に残るお金を確認し「これはもし今後販売数が増えたとしても続けていけないかも…」と危機感を感じてから同じ話を聞いた時にはじめてようやく自分事として話が耳に入るようになりました。

2年目に入ってすぐの頃に初めての値上げをしました。他の作家さん達と同様私もかなり悩んで乗り越えた大きな試練でした。
当時一つ作るのに10時間程かかる作品を、一つ売って材料費を引くと手元に3000円も残らず、そこからさらに販売手数料やイベント出展料、交通費などをさし引いて……、とそんな状況で活動していました。
このままだとやっていけない。でも数百円かもしれないけど値上げをすることでやっとせっかく少しついてくれたお客様が離れてしまうかもしれない。実際イベントで「高いですね」「もうちょっと安かったら買えたのに」と言われているし。でも今後を考えると続けるのが難しくなるのが目に見えている…。
悩み抜いた結果"お仕事を目指したいから"を心の根拠にし、決意が固まったところで日にちを決めて挑みました。思い出すと超恥ずかしいのですが前日は不安から大号泣して主人を困らせました。

おはようminneラボでも値上げに関する悩みや質問がいくつか上がっています。中には値上げの必要性をちゃんと感じていながらも行動に移すことができず、最後の一押しをアドバイザーさんに頼っているかのように見受けられるお悩みもありました。気持ちが痛いほどわかります。
次にまた同じような悩みが出来た時、ちゃんと乗り越えられるのだろうか。アドバイザーさんのような他人に頼って決めるのだろうか。悩みは値上げ以外のこともきっと出てくるだろうな。私に必要なのは考える力と判断する力、決断する力なのかも、と思いました。
そしてブランドを営んでいくための知識を吸収することにより根拠を持って一つ一つの行動や決断ができるようになるのではと考えました。人に物を売る活動をはじめて一年、まだまだわからないことばかりだったので、まずはジャンル問わず色んな人の仕事の話を聞いてみることにしました。

商売や経営の勉強をした

これもminneラボと同じくyoutubeを利用して音声を流しっぱなしで聞くようにしました。いろんなビジネスの動画を無料の範囲で広く浅く聞きました。まだ知識と売上が少ない段階で情報にお金をかけるとその人の言葉しか信じられなくなってしまうと考えたため、基礎や一般論、沢山の人のいろんな考え方を知りたかったためです。

例えば先程の値上げ直後に視聴して「これで良かったのかも」と自分の決定に自信が持てたのがこの動画でした。

また、商いの行い方は一種類じゃないことを知り、自分に合った方法を探そうと思ったのがこの動画でした。


当時、私は物を作って人に売るこの活動を仕事にしたいと考えながらも、どこか「儲ける」ということに大きな罪悪感を持っていました。
minneラボを繰り返し聞いても帳簿をつけて管理しても材料代以外の経費のこと、自分の人件費のこと、そしてブランドの未来への資金、これらをお客様からいただくことをどこか悪いことのように感じていました。でも利益を出さないと活動を仕事にするどころか税金を払う段階にもたどり着けない。初めての値上げで悩んだことをきっかけにこのことに気が付き、まずは「材料代以外の経費や自分の人件費をいただくということはどういうことか」と悩み・向き合うところからゆっくりはじめていきました。2年経った今も自分なりの答えを探しながら活動しています。
お恥ずかしながら会社員時代の私は仕事ができない方の人間だったと自覚しているのですが、この元々持っていた「儲けることへの罪悪感」、お客様からお金をお支払いいただく時の後ろめたさや不安や申し訳なく思う気持ちが仕事へのモチベーションの低さに少なからず繋がっていたんだろうなと今では思います。代金をいただくからには「すみません」じゃなくて「もっと喜んでもらおう」と頑張れば良かった、そう後悔しています。

フリーランスや起業した先輩たちが一般的にお金のどんなことに悩むのか知りたいのと、数年後に白色から青色申告にすることを視野に入れながら税理士さんのYouTubeも頻繁に見るようになりました。
税理士YouTuberさんごとにおすすめの会計ソフトが異なっていたので私は自分と同じ会計ソフトをおすすめしている税理士さんのチャンネルをよく見ています。

確定申告関連の勉強はYouTubeだけではもちろん不完全ですが、定期的に聞き流しをして情報を耳にいれたことで実際に手を動かして帳簿をつけている時に「あれ、これって○○だったかも」と立ち止まって調べるきっかけになっており、今も続けています。
最近はいろんな制度が始まったり税制の見直しが行われたりしているので「今度この部分が変わるんだ」を把握しておくだけでも後に困ることが減ると思って視聴しています。

ハンドメイド作家さんの発信も沢山聞いていますが、同業の方の話ばかりを参考にすると他の沢山の人と似たような方針のブランドになってしまったり、”いつのまにか模倣”につながってしまう可能性があると考え、他業種の経営やお店作りなどの話をよく見るようになりました。
私は今もですが主に飲食店や美容室経営、お笑い芸人さんの動画で話を聞き、「集客や売り上げを上げるためにはどんな取り組みがあるか、その効果や考え方を知る」「経営や個人で仕事をするとはどういうことかを知る」というつもりで学んでいます。
お笑い芸人さんはハンドメイド作家とかけ離れた仕事ではありますが、言葉にして伝える力が高い方が多く、特に「劇場にお客様を集めるためにどんなことをしてきたか」「その人の弱点を克服したのか・別の長所でカバーしたのか、その理由や過程」などの話題はとても良い学びになりました。
うまくいかなかった時の話も明るく話してくれるため、私も「こんなふうに苦しい今を明るく話せるように頑張ろう」とモチベーションを上げるきっかけももらいました。
沢山の人の話を聞いたことで私は「今うまく行ってない」と思った時に〈うまくいかない〉→〈改善しよう〉の間に[どの部分がどううまく行っていないか][なぜうまく行っていないのか][逆にうまく行っている部分はどこか]を考える癖がついてきました。
安易に「フォロワーが少ないから売れない」や「売る場所を間違えた」とすぐ諦めることが減りました。

私は様々な事情や主人の理解があってはじめからブランド活動のみをさせてもらっているため沢山の話を聞けましたが、もし時間が限られていた場合はminneラボと税理士さんのYouTubeを優先にして視聴していたと思います。
焦りの気持ちが大きかった頃の私は「こうしたら売れる」「こうしたらフォロワーが増える」という『テクニック』を知りたいと思い沢山のことを調べてテクニックを探しました。しかし結果そんな魔法のテクニックがあったらみんなが実践するのですぐにテクニックではなくなってしまう。『何をすればいいか』ではなく『誰が・何を・なぜ・いつ・どこで・どんなふうにすればいいか』で、結局最後はじっくり学んでじっくり考えて沢山手を動かして成長し、その時々にあった私オリジナルの方針を更新しつづけることが大事なんだと思い至りました。
minneラボは沢山の作家さんをみて来たプロが厳選したお悩みをトピックにして、販売の基礎知識や一般的な傾向をそれぞれの作家さんのケースに当てはめて考えてゆっくりじっくり学んでいく動画が中心です。視聴しながら「今の私に当てはめたらどうなるか」を考えることができるのが大きな特徴、何より和田さんのやさしい語り口で自分の感情が乱れず平静な状態で聞くことができる素敵なチャンネルです。

商売について沢山の事を学び・人の話を聞いて考えたことよって、今までよりも自分の行動に自信を持てるようになり、何かを決める際に生じる不安の大きさがちょっとずつ小さくなっていっています。
悩みに悩んで大号泣した値上げから半年後、材料費が一気に上がり早くも再び値上げを検討する必要が生まれました。何故値上げが必要なのか・どれくらいの値上げが必要なのかを私自身がしっかり納得し、自分の不安も理解して「4〜5ヶ月前から告知を行う」という気持ちの落とし所を見つけ、今度は泣くことなく落ち着いて価格改定を実施することができました。

自分に合った活動方針を探した

活動を始めた頃は通販を中心に活動しようと思っていましたが、イベントでお客様の反応を直接見られることが楽しくなって徐々にイベント中心の活動になりました。
1年間で同業の方とも沢山出会い、ハンドメイド作家と一言で言ってもジャンル、作風、売り場、売り方、アピール方法…作家さんの数ほどスタイルがあると知りました。

私はどんな風に活動していくのが私の得意を活かせて楽しく長く続けられそうか、これを答えは急がす少しずつ考えるようになっていきました。

SNSを積極的に活用しはじめた

1年目は不慣れなSNSをちゃんと投稿する”習慣”をつけるところから始めました。丸1年経ってX(旧Twitter)のフォロワー数はちょうど100人くらい。
この時点で初めてのプレゼント企画を行いました。フォローとリツイートでヘッドドレスのプレゼントに応募できるもので、私の中ではこの企画が終わる頃に200人、もしかしたら300人にフォロワー数が増えている予定でした。
しかし、企画が終わってみるとフォロワーは約120人、しばらくすると10人減りました。プレゼントを送った当選者さんが喜んでくれたことに嬉しさはあったものの、「こんなはずじゃないはずだ」と頭を抱えたのを覚えています。

このプレゼント企画をきっかけに「そもそもフォロワーさんにちゃんとお知らせを届けられていたのか」ということを疑ってみました。
フォロワー数110人中企画に参加してくれたのは約30人。フォローをした上でブランドの発信を見たいと思ってくれていた人と、『プレゼント企画のお知らせ』の情報が届いた人の数を仮に30人だったとして、その人数を増やすことならフォロワーを増やすことに心折れた今でも頑張れるかもしれないと当時の私は考えました。

SNSをフォローしてくださった方のより多くに大事なお知らせを届けるためとして考えたことは『何度もお知らせを発信する』です。
新作が出た・イベントに出るなどは日や時間、アプローチ方法を変えながらお知らせを投稿してまず見てもらう努力をしてみようと思いました。

フォローしてくださった方にフォローした後も「お知らせを見たい・気になる」と思ってもらうために私が考えたことは
・定期的に新作を作る
・活発に活動しSNSを更新する
・アイテムやブランドのことをより深く知って好きになってもらう
・自分なりの表現と発信を身につけて投稿を見ることを楽しいと思ってもらう
でした。
お知らせを追いたくなる動機は人それぞれ。全部がなくても見てくれる方は見てくれるし、全部頑張ってもあんまり見ない人は見ない、そう思って気を張りすぎないようにしました。

2年目に入った頃に文章の練習を兼ねてnoteでの発信をはじめ、その半年後に新しい表現を身につけようとTikTokでショート動画の発信をはじめました。
新しいSNSをはじめるにあたり私が一番心がけたことは『一人でも見てくれる人がいたら結果が出なくても半年以上続ける』ことでした。見るのが楽しいと思ってくださる方に継続して楽しいと思ってもらいたい、決めたことをしばらくちゃんと続けられる人でありたい、そしてちゃんと続けることが誰かに伝わったときに大なり小なり私自身への信用に繋がるとも考えた上でこれらのSNSをはじめました。
はじめて数か月は結果が出ないというよりも"結果がわからない"状態が続きました。投稿したから売り上げが増えるというものでもなかったです。noteもTikTokも約一年半続けた頃にいわゆる"小バズり"を経験しましたが、私の場合はそれがすぐには売上に反映されませんでした。
しかしどちらも継続するにつれて見てくださる方が少しずつ増えていき、感想をいただいたり楽しみだと言ってもらえるようになり、今ではそれぞれがサブ発信の手段として、ブランドをより好きになってもらおうと楽しく頑張れる場になっています。

ハンドメイド作家が売れるようになるためのSNSノウハウとして「作家のパーソナルな部分の発信」がよく言われます。チャレンジしたいけどなかなか踏み切れない方も多いのではないでしょうか。実は私もそうでした。コンプレックスが多く他人に伝えたくないことは沢山あります。
そして根拠はありませんが作家自身のパーソナルな話題の発信はそれをやったから売れるものではないと感じていました。むしろそれを苦手とするお客様も少なからずいらっしゃるかと思っています。

2年目の夏にminneで『100問100答』という企画がありました。イベントなどの予定がなくちょうどSNSでの発信をする話題に困っていた時期、せっかくの機会なので1日1~2問ずつのんびり答える形で参加してみました。

この企画ではものづくりのルーツや希望する未来の姿、好きな色、自分の作品を身に着けて欲しい人など、製作に絡めた質問も多く「こうやって発信すると作家自身のことも独りよがりになりすぎない形で発信しやすいな」というヒントや「全部をさらけ出す必要はなく無理に話したくないことは発信しなくて大丈夫」という気付きも得ることができました。
(ハガキがもらえるキャンペーンは終わっていますが、パーソナルな話の発信をしてみたいけど踏み切れずに困っている方にはぜひおすすめしたいなと思っています)

好きなものやパーソナルな発信をしてみて結果どうなったかというと、やはり予想どおり購買に直接つながる発信ではありませんでした。
しかし、その時期を境にイベントでの接客時や通販でお客様からいただくメッセージなどに嬉しい変化がありました。
「今度○○でのアフタヌーンティーに行くときに使います」「このヘッドドレスと同じシリーズのイヤリングはお仕事でも使ってるんです」「推しのメンバーカラーなのでこの色にします」「この間こういう服を買ったのでそれに合わせたくて買います」など、具体的な使用のシーンや選ぶ理由を教えてくださる頻度が大きく増えたのでした。おそらくネットの中だったけど先に心を開くことをしたから相手の方も自分のことを教えてくれやすくなったのかも、と感じます。
これによって、「このシリーズはいつもよりカラー展開を多くしようかな」など商品製作へのヒントをもらえたり、接客時には使用目的から提案するアイテムの絞り込みをしやすくなったりと、お客様に喜んでもらいながら売り上げも上げていくためにはどうしたらいいかということをよりクリアなイメージを持って考えやすくなりました。

さらに、共通点をもつリピーター様がそれを話してくれるようになりました。好きなバンドについて発信をしたら「私もV系が好きなんです」と言ってくれる方がいて、好きなゲームの話を投稿したら「私もやってるんです!面白いですよね」、好きなアニメの話題では「好きなキャラクターは誰ですか?」と盛り上がり、作品以外の会話で心の距離が程よく近づくケースがでてきました。
これにより、その日のご購入品以外の作品についての感想やこんなアイテムがあったらいいなというご要望、作品以外でもブランドの取り組みについてのご意見などをお客様から話してくださることが増えました。ご意見や感想などを聞くことは活動をよりよいものにしていくためにとても大切なことだと私は考えており、このことは想定外の嬉しい効果でした。
(こういう時のご意見はどうしても肯定的なものが多いのですが、良いと思って伝えてくださった点を維持できるよう努めることも立派な取り組みだと私は考えています。)
素敵な効果を実感した2年後の今はパーソナルな発信について苦に思わなくなっていますが、今度はやりすぎてお知らせが埋もれないように注意だなと自分に言い聞かせています。

これはついでにの話ですが、女性一人で商売をする上でのリスク回避のため、自分の身近に男性がいることがわかるような発信を意識して定期的にすることにしました。
私は主人との明るいエピソードをSNSに書いたり作業動画で結婚指輪をつけたまま録画したりしていますが、もしパートナーがいなかったら父や男兄弟の話を頻繁に書いていたかと思います。
前職でいわゆる度を超えたカスハラやセクハラをするお客様がいた際に、(全てではないですが)男性職員が出てきた瞬間にすぐにいなくなったケースを何度も見たことからです。
ジェンダーレスな社会になりつつはありますが、"身近な男性の存在"を日常的にアピールすることで危ない嫌な目に遭う確率をいくらか下げられる・防犯にも役立つと考えて継続しています。

売れ残り→チャンスに変換した

『一年目にやったこと』の記事で落ち込みや不安と戦ったことについて熱く語りましたが、ニ年目に入ったからと言って急に気持ちが変わったわけではなく、まだ販売数が多くない私はやはりどうしても周りと比べる癖がまだまだありました。
特にイベント出展では周りの作家さんの机から作品がどんどんお迎えされて机の上からものがなくなっていく様子を見て、すごいなぁ、いいなぁと憧れ、いつまでも物が減らない自分の机を前に急に恥ずかしい気持ちにおそわれる日もありました(実は今でもたまに思うくらいです)。

ある日、お客様はどんな方が多いのが・リピーター様はどんなきっかけで来てくださったかを分析した日がありました。記憶を辿ってみて気付いたことですが、私のブランドではイベントでのリピーター様の多くは初めて来た時がイベントの後半の時間でした。割合としておそらく半分は超えているかと思います。
お客様とブランドの初対面の日に沢山のアイテムを見ていただくことができ、ブランドや作品のいいところを知っていただき、楽しく会話ができたことから「また来たい」と思ってくださったのかも、と考えました。

それなら周りに売り切れが多い場合の後半の時間は私にとっての絶好のチャンスタイムです。たとえその日のご購入につながらなかったとしても、多くの種類の作品が並んでいるおかげで「沢山あるからまだ選べる」とそれだけで呼び込み効果があるのかも。落ち込むのではなくチャンスだと捉えることで私自身が最後まで接客を明るく楽しく行えるようになりました。

そこから活動・経験を積むうちにこの『チャンスタイム』を増やそうと考えるようになり、売り切れの商品が出来る限り少ない状態が続くよう在庫数を用意するようになりました。
会場自体の雰囲気もゆっくりな後半は慌てず対応できるので会計等のミスも起こりにくい。販売数が増えた現在では混雑緩和策の一つとして「最後に来てくれる方にもお買い物を楽しんでもらえるように在庫を準備しています、慌てず来てください」とアナウンスすることも増えました。

今回の話は一つの例なのですが、活動の中で一見他の作家さんより劣って見える部分について、角度を変えて「良いように変換することができないか」と一旦考えてみるようになりました。
うまくいかない時はのびしろや人とは違う隠れたアピールポイントを発見できるチャンスが眠っているかもしれません。

お客様として体験したことから気づきを得た

私はカフェでコーヒーを楽しむが大好きなのですが、美味しそうなケーキのお皿がべたべたに汚れていたり、店員さんが喧嘩しているような雰囲気を感じた時などに「このお店には二度と来たくないな」と思います。
活動を続けるうちに私のブランドでもそんな瞬間が生まれることがあるのではないか、これをできるだけ減らすように努めることでお客様との良好な関係が続きやすくなるのでは、と考えるようになりました。

まずはじめに、お買い物や外食など自分が消費者である時に「二度と来たくない」と思った瞬間を記録するようにしました。
そして時間のある時に「なぜ嫌だと感じたのか」を深堀りし、「それを私がしないようにするには何に気をつけたらいいのか」を考え実行できるものから気を付けていくようにしました。実は今も時々行っており、お店で嫌な思いをした時にネガティブな気持ちにひきずられることが減りました。かえってラッキーポイントだと思うようになり、比較的すぐに気持ちを切り替えてお出かけを楽しめるようになっています。

沢山の種類の取り組みがある中で私が特に簡単に実行できると感じたことは清潔感への配慮でした。
"一年目にやったこと"のSNS発信の項目で「トイレを連想する話題を避けた」と書きましたが、同じように「やらないこと」のルールを作り習慣にすることはコストがかからずすぐにできることだと思ってはじめました。
たとえば「製作中に飲食をしない」「イベント出展時は作品を陳列したテーブルには飲食物を置かない」を私は気を付けるルールのはじめに決めました。もともと気を付けていたことですが、文に残して自分との約束をすることでさらに意識を持って行動することができるようになりました。
一人での活動なのでいろんなことに気を配りすぎて疲れてしまわないよう、ひとつ習慣がついたと思ったらもうひとつ増やす、とゆっくりペースでチェック項目を増やしています。

また、作家さんもお客様になり得ることからショップサイトやイベントのルールをちゃんと守ることの大切さに気付きました。
素敵なブランドさんを見つけ実際イベントへ足を運んだ際に、ブースいっぱいいっぱいに作品が並び作家さんがお客様用の通路で立って呼び込みをしている様子を見て(通路での接客が禁止のイベントでした)、「ここでは買いたくないな」と思ってしまった経験からです。
決められたルールを破ることで、「作品や対応もいい加減なのではないか」と思われるリスクがあることに気が付き、より気を付けるようになりました。

とはいえ、サイトやイベントごとにちょっとずつ変わるルールを全部把握することはかなり難しいです。うっかりルール違反になってしまうことは私にも他のどんな方にもありえることです。
これは心配性の私が1年目から続けていることなのですが、うっかり違反を予防するためにルールを読むタイミングを数度作り確認するようにしています。
サイトは①利用の検討段階②利用登録をするとき③商品登録時④新たな商品を追加登録する時
イベントは①出展の検討段階②申込時③商品や什器の準備を始める前④2週間前⑤3日前
のタイミングで見直しをしています。同じ文書を読むだけでもそれぞれの進捗段階によって意識や頭に残るポイントが異なるためです。

3年目からイベントではお手伝いの方を呼ぶことが出てきましたが、売り子さんに特に気を付けてほしいことは当日いきなり伝えるのではなく事前に文で共有するように心掛けています。

作家としてのレベルアップを目指した

これまでは学びや気持ちの面での話などふわっとした取り組みについてが中心でした。結果がなかなか見えない中でモチベーションを保つために行った、成長が目で見えるようにする取り組みについて書きます。

買いたくなる商品作り

経営・販売・販売促進活動について色々話していますが、そもそも大事なのは売る作品です。
一年目のnoteで作れるもの・作りたいもの・求められるものの図を書きました。

1年間の活動で作ったものを記録し、総製作数や総販売数を表で管理して定期的に見返しました。〈私の作れるもの〉かつ〈作りたいもの〉かつ〈他人に求めてもらえるもの〉の③に当てはまる商品がどんなものかがだんだんわかるようになってきました。現在も新作を考える際はこの図を頭に思い浮かべながら作っています。

さらにもっと人に求めてもらえる商品作りをするため、2年目は③の内容をもっと深めることを考えました。
私は目の前に一人のお客様がいることを想像して、今から作ろうとする商品がどんなものであればその方に欲しいと思ってもらえるかを考えました。
私の考えた要素は二つで
・その人にとってセンスが良いと思うデザインのもの
・その人や周りの作家さんが作りにくいもの
でした。

その人にとってセンスが良いと思うデザインのもの
この活動においての「センスが良いもの」は私は買い手のお客様個人個人にとっての「好みだと感じる」ものだと考えています。好みは人それぞれ、だからこそこの業界はたくさんの作家さん・ブランドさんがそれぞれの好きを表現した世界観でキラキラと活動できているのだと思います。センスが良いか悪いかは私は自分自身ではわからないのでこれもたくさんのことを日々学んでいます。
例えば使用する材料について成り立ちや歴史・製造工程を調べたり、世の中のトレンドを定期的に調査したり、配色の組み方、パーソナルカラーなど、何か必要になるかもと頭をよぎったものは少しずつ学ぶようになりました。
電車での移動時間や手を怪我して製作ができない時などを利用しています。
また、SNSでいつもより反応のあった作品や通販のアクセスが多い作品、イベントでブースを訪れた方が良く手に取る作品が「自分のブランドに興味のある方々に好まれやすいデザイン要素を持っている」可能性が高いことを感じました。SNSの項で話したようなお客様との会話を思い出し、具体的にどんなところが「良い」と思われやすいのかを探すようにしています。
知識と経験を得た上でデザインを考えて製作に向かうことで自信と根拠を持って自分にGOサインが出せるようになりました。

その人や周りの作家さんが作りにくいもの
これは技術と仕入れの二つの面から考えました。
ハンドメイド作品を求めるお客様はご自身でも何か作ることができたり、他の作家さんのハンドメイド作品を沢山みている方が多いと感じます。世の中で作れる人の人数が少ないものであればあるほど競合商品が減り、相対的に欲しいと思ってもらえる可能性が高まると考えました。

技術面では
・特別な設備や資格がないと作れないもの
・技法の習得に沢山の知識や年月が必要なもの
・工場生産のメーカーでは難しいことをしているもの
・製作時間がかかるもの
を思い浮かべました。
それらに全て『~であることがわかるもの』『~であることがわかるようにする』が続くとより可能性が上がると考えています。

仕入れの面では
・独自の取引先を抱えている
・買いにいくのが大変な場所に仕入れに行く
・手に入りにくい材料を使用する
・大量に買わなければ手に入らない材料を使う
・一つの作品に何ヵ所もの仕入れ先の材料を組み合わせて作る
を考えました。
センスが良くなった・悪くなったは自覚が難しいことですが、技術面・仕入れ面は頑張れば「上手くできるようになった」と思うことができると考えています。

製作で全てを意識しながら全てを満たすものを作っても売れないものは売れないし、がんじがらめになると頭が疲れてしまうのですべて「話半分」くらいの気持ちで取り組んでいます。

様々な取り組みや要因も合わさってかとは思いますが、これらを少し意識しはじめてから新作を出したその日にご購入いただけるようになりはじめました。

月毎に反省会を行った

一年目から行っていた勉強やブランディングなどの取り組みについて、効果を自分で実感したのがやっと2年目に入ってからでした。
長い目で見ながら取り組む行動も大切にしつつ、短期で行動・改善できる事を探す目的で月毎の反省会を行うようにしました。

私は月ごとに
・今月何があったか(イベント出展や限定通販、オーダー企画、新しくはじめた取り組みや見直したことなど)
・収支のスライド
・何か一つトピックを決めて反省点や改善点、やってみたいことなどについてなどを自由にまとめる
の3枚ずつスライドをパワーポイントで作っていました。

トピックについて、まとめたことの例を二つあげてみます。
・例えばある月は支出が多すぎたため、なぜそんなにかかったのか・節約できる部分はないかと考えました。まず仕入れ額が売上規模に対してあまりに多すぎることがわかりました。売れなければ経費にすらならないものなのに当時の私は仕入れに行くと「これも使うかもしれない」「これが足りなくなるかもしれない」と余分な物を買いすぎる癖があるなと自覚し、仕入れの時の約束事を作ってスライドにまとめ、少しずつ改善を図ることにしました。
・ある月はイベントでの売り上げが目標より大幅に下回っていて、2週間後に同系列のイベントにもう一度出る予定でした。「今からできること」を探してスライドでは自分のその時の接客態度を振り返り、改善点を書き出してみました。嫌な結果のことを省みるのは辛かったですが、次は売り上げが4万円分も多くなったのでやって良かったと心から思いました。

うまくいった月はすぐにトピックが見つからないのですが、うまくできた理由や今自分に足りないことは何か探す作業もとても大切だと思っています。この月別反省会は4年目の今もなんとか頑張って続けています。
やってみて良かったこともダメだったことも、ダメかもと思っていたけど1年以上経って結果が見えたこともあります。これらまとめたことがパソコンに蓄積され、時間が経っても何度何度も振り返ることのできる自分だけのオリジナルの資料ができました。
決めた軸がブレないようにブランドを成長させるための、一つのマニュアルのようになってきています。

さいごに

最近作家活動で一番自信があったのってどの時期だろうと思い返してみたところ、私は販売を始める直前がピークだったような気がします。
子供の頃から大好きな手芸、作ったものは家族や友人達から「すごいね!」「売れるよ!」と沢山褒められて続けてきました。そんなすごい私、満を持しての販売開始です。
SNSで流れてくるそこそこ売れてそうだと見積もった作家さん達を見て、フォロワー数もいいねの数も世界観の表現も「私だってこれくらいはいけるだろう」と勝手に考えていたし、ひょっとしたら即完売でちゃうかも!なんてひそかに思っていました(お恥ずかしい話です)。

けれど実際自分で販売を初めてみたところ何一つ売れない。知られてないから売れないんだろう、知ってもらうためにSNSをはじめてみたもののいざ投稿するとして何を発信したらいいかわからない、3ヶ月経っても1個も売れないし、フォロワーが10人もいなくて他の作家さんにフォロワーが少ないことをつつかれて落ち込む。そもそも写真を撮る習慣のない私が撮った商品写真は「思ってたんと違う」ものばかりな上、学校の勉強が嫌いだったのでうまく言葉が書けず、写真でも文章でも誰に何をどう伝えたらいいのか自分が一番分かっていないことに気付かされました。
売ろうとする前の私は周りからすごいと言われてきたけど売ろうとしたら全然すごくないじゃん、ここでは物作りができるすごい人しかいないんだ。当時そこそこ売れてると思っていた(マジで超失礼!)先輩作家さん達はそこそこなんかじゃない、先輩たちのすごい努力に気付いてやっとスタートだったなと思います。

作るのは楽しかったけど悩んだり泣いたりしながらパソコンと向き合っていた1年目を超え、「続けられたこと」で自信がついた2年目以降は比較的明るい気持ちで過ごせるようになりました。
それでも2年目の前半は赤字を抜けだすかどうかと戦い、常にお金の心配とそこから来る不安に襲われていたな、どんどん貯金が減っていくのがわかって「ひょっとしたら来月やめることになるかも」と毎月思っていたのを記憶しています。
私は2年目の後半くらいから急に赤字の月がなくなり、急にお客様が増え、急に売り上げが伸び始めました(この順番でした)。諦めずに続けた沢山の取り組みが実り、技術力・表現力・応対力が向上し、そしてそれをよりしっかりとお客様に伝えられることが増えはじめたからだと思います。

ブランド活動の経験を積んで4年目半ばの今、個人的に当時頑張って良かったと思っていることは、上手くいかなくて焦っている・落ち込んでいることを表に出さないように努めたことです。
せっかく頑張って日々少しずつ少しずつ良くなっていく作品の丁寧さ・写真・文章・活動への前向きな気持ち、これらの良い変化のそばにマイナスな気持ちのかたまりがあったらいいことをお客様に届ける妨げになっていたかもしれません。
上手くいってないときなんて隠さなくてもはたから見たら大体分かると開き直り「のびしろ沢山でしょ」と心に言い聞かせたり、イベントでお客様がなかなかブースに来ない日は「今日はゆっくりな日」とマスクの中でゆっくり言ってみるようにしました。
SNSに不安を書いちゃいそうな夜はお酒を飲みながら大好きなゲームで敵を倒しまくり、すっきりして布団に入りました。
(大袈裟に聞こえるかもしれませんが「応援してます」と声をかけてくださった方、嬉しいメッセージをくださった方、アイテムを笑顔でお買い求めくださった方々のことを思い出すのが一番元気が出ました。ありがとうございます。)

今も何か行動する前は不安でいっぱいになりますし、大小うまくいかない時は沢山あって勿論そのたび落ち込みもしますが、「今ここから1%上手くいく可能性を上げるためにはどうしたらいいか」を考えてやってみることが楽しみになってきています。
なんだか最近ちょっと性格変わってきたな、ブランド活動はじめて良かった、と良い変化を感じています。

今回はハンドメイド作家活動の2年目の頃に行って良かったことを中心にお話ししました。これ以降は1~2年目ではじめたことを深めに繰り返している状態なので第3弾は書くか分からないですが、また文章の練習がてら気まぐれに作家活動の話を書いていくかと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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