『名牝系』華麗なる一族 〜ソニンク(Soninke)編〜活躍馬まとめ

競走馬の世界には牝系という概念があります。

牝系とは、家族の考え方を競走馬の世界に落とし込んだもので、『母』や『母の母』、『母の母の母』というように母方だけを辿っていく概念になります。

そもそも何故この考え方をするのというと

サラブレッドには

『thorough』[完璧な、徹底的な]『bred』[品種、育ち]

という意味があり、より優秀なものを生産していくというのが目的であるため、1年に1頭しか産めない牝馬と違い、牡馬は種付けすれば父親になれるので、優秀な馬しか父親になれないという理由があります。

優秀な馬しか父親になれないという事は、父親で大きな差は生まれにくく、母親で差が生まれることになります。

それは何代続けても同じ事が言えるので、
この牝馬は、、からこの牝系は、、という考え方になっていきます。

結果的に牝系ごとに評価される事となり、優秀だとかそうでないとかという話になります。

セリなどではその評価の差が価格に反映され、大きな差が出ます。

たとえ母親が競走馬として優秀ではなくても、牝系が優秀だと高値で取引されます。

そういった馬から強い馬が現れるのはサラブレッドの世界では日常茶飯事なので、バイヤーはあまり気にしないですし、むしろ活躍していない事から少し安くなるので多くのバイヤーが狙う馬にもなります。

牝系について長々と書いてきましたが、この記事では、牝馬の活躍馬が多いソニンク牝系についてまとめています。


ソニンクについて

ソニンク Soninke [英]

父 Machivellian 母 Sonic Lady 母父 Nureyev 生年月日 1996年02月08日

通算成績:0戦0勝 (0-0-0-0)

主な実績:なし

代表産駒:ランフォルセ、ノーザンリバー、モンローブロンド

未出走馬だが、母のSonic Ladyはムーランドロンシャン賞(G1)やサセックスS(G1)などマイルG1を3勝したトップマイラーで、父は母方に入って非常に優秀なMachivellianという超良血である。

また母父はNureyevで、この馬もSpecialを母に持つ超良血のため、血統表のどこを取っても良血且つ母方に入って優秀な血ということで、成功するべくして成功したと言えるだろう。

MachivellianからHaloの血を引くため、瞬発力型があまり出ない種牡馬の産駒であったとしても瞬発力に優れている馬が多く見られる。


牝系の活躍馬

ロジユニヴァース

父 ネオユニヴァース 母 アコースティクス 母父 Cape Cross 生年月日 2006年03月11日

主な実績:東京優駿(G1)1着、弥生賞(G2)1着、札幌記念(G2)2着

代表産駒:ロジペルレスト、ロジティナ

デビューから4連勝で皐月賞を迎え、単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持されたが、調子が悪かった事で惨敗する。

しかしダービーでは幾分か調子を戻した事で勝利し、日本ダービー馬の称号を得た。

その後は怪我により長期休養に入り、本来の力を見せることは出来ず引退となった。

スタッドインのタイミングが悪かったことにより、人気種牡馬にはなれなかったが、少ない産駒ながら活躍馬を輩出し、勝ち馬率も高いことから、種牡馬としての能力は高かったと言える。そこには血統の良さにも関係があっただろう。

  • モンローブロンド

父 アドマイヤベガ 母 ソニンク 母父 Machivellian 生年月日 2002年03月04日

主な実績:KBSファンタジーS(G3)2着

ソングライン

父 キズナ 母 ルミナスパレード 母父 シンボリクリスエス 生年月日 2018年02月23日

主な実績:安田記念(G1)1着、富士S(G2)1着、NHKマイルC(G1)2着

牝馬ながら安田記念を勝利した、キズナを代表する産駒。

桜花賞では、レースがスムーズに行かなかったのが原因で本来の力を発揮できなかったが、NHKマイルではシュネルマイスターにハナ差2着と本来の能力の高さを見せつけた。

約1年後の安田記念では、そのシュネルマイスターを退け雪辱を果たした。

キズナはキレない産駒が多いですが、本馬はキズナ産駒としては珍しい瞬発力を持っており、この牝系の良さがよく出ている産駒と言えるでしょう。

  • ューヌエコール

父 クロフネ 母 ルミナスポイント 母父 アグネスタキオン 生年月日 2014年03月21日

主な実績:デイリー杯2歳S(G2)1着、函館スプリントS(G3)1着

  • ヴァイトブリック

父 シンボリクリスエス 母 ヴァイスハイト 母父 アドマイヤベガ 生年月日 2016年04月03日

主な実績:兵庫チャンピオンシップ(G2)

  • ノットアローン

父 アグネスタキオン 母 ソニンク 母父 Machivellian 生年月日 2005年02月15日

主な実績:ラジオNIKKEI賞(G3)2着、セントライト記念(G2)3着

  • ランフォルセ

父 シンボリクリスエス 母 ソニンク 母父 Machivellian 生年月日 2006年03月28日

主な実績:ダイオライト記念(G2)1着、浦和記念(G2)1着、川崎記念(G1)2着

  • オデュッセウス せん

父 ファルブラヴ 母 ライツェント 母父 スペシャルウィーク 生年月日 2013年03月08日

主な実績:兵庫ジュニアグランプリ(G2)3着

ディアドラ

父 ハービンジャー 母 ライツェント 母父 スペシャルウィーク 生年月日 2014年04月04日

主な実績:秋華賞(G1)1着、ナッソーS(G1)1着、府中牝馬(G2)1着

春クラシックはいずれも上がり最速で追い詰めるももう一歩足りないという成績だったが、夏に始動した本馬は1000万以下クラス(現2勝クラス)を勝利し、その後秋華賞トライアル紫苑S(G3)、秋華賞(G1)と3連勝で初G1勝利となった。

4歳シーズンは牝馬限定重賞では通用するが、G1級では惜敗が続き

オーナーの意向によりクイーンエリザベス2世C(G1)出走以降イギリスのニューマーケットを拠点として海外レースを転戦する。

欧州緒戦のプリンスオブウェールズS(G1)は6着に敗退するが、2戦目であるナッソーS(G1)は日本馬向きの硬い馬場になった事も味方し勝利した。

日本馬がイギリスG1を勝利するのはアグネスワールド以来の2頭目で、牝馬で欧州G1を勝ったのもシーキングザパールに次ぐ2頭目という事で歴史的快挙と言えるだろう。

  • リューベック

父 ハービンジャー 母 ライツェント 母父 スペシャルウィーク 生年月日 2019年04月16日

主な実績:ニュージーランドT(G2)3着

  • ノーザンリバー

父 アグネスタキオン 母 ソニンク 母父 Machivellian 生年月日 2008年04月12日

主な実績:さきたま杯(G2)1着、東京盃競走(G2)1着、アーリントンC(G3)1着


まとめ

いかがだったでしょうか。

最近ではディアドラやソングラインなど瞬発力を売りにしていない種牡馬からキレのある産駒が出ており、それだけこの牝系にキレがあるという言えるでしょう。

種牡馬の時代が変わり、瞬発力のある種牡馬が減った事でよりこういったキレのある牝系の良さが引き立つことが予想され、今後さらに活躍馬が出るでしょう。

ノーザンファームお馴染みの牝系で、キャロットやサンデーの募集ではよく見かけますが、一口馬主やPOGでかなりオススメできる牝系です。母馬優先という意味でもとてもいいと思います。

是非注目してみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?