『名牝系』純白の一族 〜シラユキヒメ(Shirayukihime)牝系〜活躍馬まとめ

競走馬の世界には牝系という概念があります。

牝系とは、家族の考え方を競走馬の世界に落とし込んだもので、『母』や『母の母』、『母の母の母』というように母方だけを辿っていく概念になります。

そもそも何故この考え方をするのというと、

サラブレッドには

『thorough』[完璧な、徹底的な]『bred』[品種、育ち]

という意味があり、より優秀なものを生産していくというのが目的であるため、1年に1頭しか産めない牝馬と違い、牡馬は種付けすれば父親になれるので、優秀な馬しか父親になれないという理由があります。

優秀な馬しか父親になれないという事は、父親で大きな差は生まれにくく、母親で差が生まれることになります

それは何代続けても同じ事が言えるので、結果的にこの牝馬は、、からこの牝系は、、という考え方になっていきます。

結果的に牝系ごとに評価される事となり、優秀だとかそうでないとかという話になります。

セリなどではその評価の差が価格に反映され、大きな差が出ます。

たとえ母親が競走馬として優秀ではなくても、牝系が優秀だと高値で取引されます

そういった馬から強い馬が現れるのはサラブレッドの世界では日常茶飯事なので、バイヤーはあまり気にしないですし、むしろ活躍していない事から少し安くなるので多くのバイヤーが狙う馬にもなります。

牝系について長々と書いてきましたが、この記事では、世界に誇る白毛一族のシラユキヒメ牝系についてまとめています。


白毛について

白毛馬は進化の過程で起こる突然変異による白化現象で、遺伝情報の欠損により先天的にメラニンが不足するアルビノとは異なる。

日本にいる白毛馬のタイプは、他のどの毛色よりも優性であるため、生まれた仔は1/2の確率で白毛になる。

そうであれば白毛同士では確実に白毛になるのではないかという推論が立つが、実際にはこのタイプの白毛同士では、初期段階で亡くなってしまう事がマウス実験や実際の競走馬でも実証されている。


シラユキヒメについて

シラユキヒメ 白毛

父 サンデーサイレンス 母 ウェイブウインド 母父 Topsider 生年月日 1996年04月04日

通算成績:9戦0勝 (0-0-1-8)

代表産駒:ユキチャン、ブチコ、シロニイ

日本では3例目の突然変異によって誕生した白毛馬で、その珍しい色からその当時から話題になったのだが、現役時の成績からもまさかここまで優秀な繁殖成績を残すことになるとは誰も思っていなかったのではないだろうか。

同馬から始まったこの牝系は、スピードよりパワーに優れており、多くの馬がダートを主戦場とする。


牝系の活躍馬

  • ユキチャン 白毛

父 クロフネ 母 シラユキヒメ 母父 サンデーサイレンス 生年月日 2005年03月28日

主な実績:関東オークス(G2)1着、クイーン賞(G3)1着、TCK女王盃競走(G3)1着

  • メイケイエール 鹿毛

父 ミッキーアイル 母 シロインジャー 母父 ハービンジャー 生年日 2018年02月10日

主な実績:チューリップ賞(G2)1着、京王杯スプリングC(G2)1着、シルクロードS(G3)1着

  • ハヤヤッコ 白毛

父 キングカメハメハ 母 マシュマロ 母父 クロフネ 生年月日 2016年02月16日

主な実績:レパードS(G3)1着、函館記念(G3)1着

  • ピオノノ 黒鹿毛

父 キングカメハメハ 母 マシュマロ 母父 クロフネ 生年月日 2017年03月20日

主な実績:北海道2歳優駿(G3)3着

ソダシ 白毛

父 クロフネ 母 ブチコ 母父 キングカメハメハ 生年月日 2018年03月08日

主な実績:阪神ジュベナイルF(G1)1着、桜花賞(G1)1着、ヴィクトリアマイル(G1)1着

世界初の白毛のG1馬で、世界的に有名な競争馬である。

G1 3勝の実績通り話題性だけでなく実力も折り紙付きで現役トップクラスの牝馬。

引退後の話にはなるが、牝馬なので産める産駒に限りはあるものの、産駒の毛色含め衆目を集める。

  • ママコチャ 鹿毛

父 クロフネ 母 ブチコ 母父 キングカメハメハ 生年月日 2019年04月05日

主な実績:KBSファンタジーS(G3)3着

ソダシの全妹だが毛色は鹿毛。


まとめ

いかがだったでしょうか。

ソダシが世界初のG1馬になったことで世界中の競馬ファンのアイドルホースとなったわけだが、この牝系は毛色による話題性だけではなく、名牝系と呼べるくらいに能力の遺伝力も強いので、今後も活躍馬出ると思われます。

もちろん牡馬の活躍馬が出て種牡馬になるという未来も面白いとは思いますが、現実的には白毛は増えてしまうとそれは非常に問題になるので、牝馬から少しずつ白毛が生まれる現状がベストではないかと考えています。

現在はこの牝系以外の白毛馬の祖となる馬も輸入されているので、そちらの動向にも注目してみてください。

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