『名牝系』華麗なる一族 〜ラスティックベル(Rastic Belle)編〜活躍馬まとめ

競走馬の世界には牝系という概念があります。

牝系とは、家族の考え方を競走馬の世界に落とし込んだもので、『母』や『母の母』、『母の母の母』というように母方だけを辿っていく概念になります。

そもそも何故この考え方をするのというと、

サラブレッドには

『thorough』[完璧な、徹底的な]『bred』[品種、育ち]

という意味があり、より優秀なものを生産していくというのが目的であるため、

1年に1頭しか産めない牝馬と違い、牡馬は種付けすれば父親になれるので、優秀な馬しか父親になれないという理由があります。

優秀な馬しか父親になれないという事は、父親で大きな差は生まれにくく、母親で差が生まれることになります

それは何代続けても同じ事が言えるので、結果的にこの牝馬は、、からこの牝系は、、という考え方になっていきます。

結果的に牝系ごとに評価される事となり、優秀だとかそうでないとかという話になります。

セリなどではその評価の差が価格に反映され、大きな差が出ます。

たとえ母親が競走馬として優秀ではなくても、牝系が優秀だと高値で取引されます

そういった馬から強い馬が現れるのはサラブレッドの世界では日常茶飯事なので、バイヤーはあまり気にしないですし、むしろ活躍していない事から少し安くなるので多くのバイヤーが狙う馬にもなります。

牝系について長々と書いてきましたが、この記事では、近年活躍馬の多いラスティックベル牝系についてまとめています。


ラスティックベルについて

ラスティックベル Rustic Belle [米]

父 Mr.Prospector 母 Ragtime Girl 母父 Francis S 生年月日 1990年03月16日

通算成績:仏6戦1勝(1-0-2-3)

現役時は平凡な成績で、牝系も活躍馬がいない事もないが、特段優秀な牝系というわけではない。

しかし、日本に輸入されてから繁殖として大成功した。


牝系の活躍馬

#牡馬=青、牝馬=赤になっています。

  • フサイチエアデール

父 サンデーサイレンス 母 ラスティックベル 母父 Mr.Prospector 生年月日 1996年03月26日

主な実績:報知杯4歳牝馬特別(G2)1着、日刊スポシンザン記念(G3)1着、桜花賞(G1)2着、エリザベス女王杯(G1)2着

代表産駒:フサイチリシャール、ビーチサンバ、ライラプス

あのフサイチ軍団で最も賞金を稼いだ馬であり、繁殖としてもG1馬を含む重賞級を3頭輩出し、同牝系の要となっている。

孫、ひ孫世代からも活躍馬が出ており、引き続き注目の枝葉になっている。

  • ライラプス

父 フレンチデピュティ 母 フサイチエアデール 母父 シンボリクリスエス 生年月日 2002年02月19日

主な実績:デイリー杯クイーンC(G3)1着、デイリー杯2歳S(G2)2着、福島牝馬S(G3)2着

  • ソリタリオ

父 モーリス 母 サブトゥエンティ 母父 キングカメハメハ 生年月日 2019年02月16日

主な実績:日刊スポシンザン記念(G3)2着

フサイチリシャール

父 クロフネ 母 フサイチエアデール 母父 サンデーサイレンス 生年月日 2003年04月06日

主な実績:朝日杯FS(G1)1着、阪神C(G2)1着、東京スポーツ杯2歳S(G3)1着

代表産駒:リッカルド、ニホンピロバロン

牝系初のG1馬で、種牡馬になり少ない産駒ながら活躍馬を出しており、まずまずの種牡馬成績だった。

  • ビーチサンバ

父 クロフネ 母 フサイチエアデール 母父 サンデーサイレンス 生年月日 2016年04月04日

主な実績:関西TVローズS(G2)2着、アルテミスS(G3)2着、デイリー杯クイーンC(G3)2着、クイーンS(G3)2着

ノームコア

父 ハービンジャー 母 クロノロジスト 母父 クロフネ 生年月日 2015年02月25日

主な実績:ヴィクトリアマイル(G1)1着、香港C(G1)1着、札幌記念(G2)1着

ハービンジャー産駒ながら、1.30.5で決着したヴィクトリアマイルを勝利したスピード馬。

また、2000mの香港Cも勝つなど、スピード、スタミナ、パワーのバランスが良く、あらゆる条件に適応できる馬だった。

クロノジェネシス

父 バゴ 母 クロノロジスト 母父 クロフネ 生年月日 2016年03月06日

主な実績:秋華賞(G1)1着、宝塚記念(G1)1着、有馬記念(G1)1着、宝塚記念(G1)1着

同世代の牝馬に、G1を6勝したグランアレグリア、3カ国でG1を4勝したラヴズオンリーユー、G1 1勝含む重賞6勝のダノンファンタジーがおり、そこにG1 4勝の本馬と奇跡とも言える世代の一角を担っていた。

小倉の新馬戦を快勝し、才能の片鱗を見せていたものの世間の評価はあまり高いものではなかった。

2戦目のアイビーステークスはオープン戦だったものの単勝6.5倍と落ち着いたオッズだったが、上がり3F32.5秒の末脚を使った事により、一気に世代トップクラスの評価を受ける事になる。

それが如実に現れたのが次戦の阪神JFで4.3倍の2番人気に支持され、2着に惜敗する。

春のクラシックでは、力が付ききっていなかった事もあり、3着、3着と惜しい競馬が続いた。

秋の秋華賞には前哨戦を使わずに直行する事になったが、結果的に本馬は休み明けの方が力を出せたという事もありこのレースを快勝しG1初制覇となった。+20kgという体重も太めという事は一切なく丸々成長分だった。

その後も体重が増えていくごとにパワーアップし、2歳時は430〜440kg程だった体重が引退レースでは478kgと40〜50kg程増えており、成長が著しい競走馬だった。

その後は広いコースの王道レースでは少し足りないという成績だったが、小回りコースや道悪では他馬が苦にする分相対的に有利という事もあり、宝塚記念→有馬記念→宝塚記念とグランプリを3連覇した。

近年を代表する名牝で、生涯の成績は(8−3−4−2)、G1成績は(4−3−4−2)と安定感抜群の成績を誇り、瞬発力勝負はもちろん、他馬が苦戦するような馬場でも苦にしない万能性がこの馬の特長である。

  • ベラージオ

父 メジロライアン 母 ラスティックベル 母父 Mr.Prospector 生年月日 1999年 03月06日

主な実績:マーチS(G3)3着

  • アドマイヤエイカン

父 ハーツクライ 母 ベルヴィアンリリー 母父 フレンチデピュティ 生年月日 2013年 03月21日

主な実績:札幌2歳S(G3)1着、ステイヤーズS(G2)2着、ラジオN杯京都2歳S(G3)


まとめ

いかがだったでしょうか。

この牝系の成功馬は、殆どフレンチデピュティ(クロフネ)+サンデーサイレンスの組み合わせの持ち主で、成功パターンが非常にわかりやすい牝系です。

相性の良いフレンチデピュティがフィリーサイアーという事もあり、牝馬に活躍馬が多いですね。

また、この牝系にフレンチデピュティ+サンデーサイレンスだとスタミナ、底力要素はかなり薄い状態なので、バゴやハービンジャーなど欧州要素が強い種牡馬との配合が成功しやすい血統でもあると言えると思います。

今後はノームコアやクロノジェネシスの産駒も出てくるでしょうから、まだまだ活躍必至の牝系ではないでしょうか。

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