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キャラソン日記 2023年6月編

こんにちは、私的音楽同好会です。
私たちは現在、キャラソン日記という企画を行っています。

今回は、2023年6月にツイッターに投稿したキャラソン日記のレビューをまとめました。
ぜひ皆さまも、レビューを読みながら曲を聴いてみてください!

6/12 ゆらゆらDays

歌唱:伸恵(生天目仁美)
発表年:2005
作品名:苺ましまろ

『苺ましまろ』関連のキャラソンは、全てくまのきよみ&渡辺剛コンビが製作しており、どれも中々の傑作だ。その中でも、この『ゆらゆらDays』を個人的には一番の名曲として推したい。
音楽ジャンル的にはギターロックに位置づけられるだろう。さらに言えば、古き良きパワーポップにも通ずるような、純粋に前向きな明るさを感じる。そして、そうした明るいサウンドに彼女らしいマイペースな歌詞が乗せられているのが面白い。「退屈 心地いいね 晴れた空に ゆらゆらと煙が揺れてる」という表現の美しさ……ただ、だらしなく煙草を吸っているだけなのに。

6/13 水色のSunday

歌唱:唐 可可 (CV. Liyuu)
発表年:2022
作品名:ラブライブ!スーパースター!!

好きなものには一直線な唐可可による、生活の中で感じるトキメキが詰まった一曲。彼女から見た原宿の風景は色鮮やかで、跳ねたリズムに合わせて過ごす様子が連想できる、日本語の間に登場する中国語からは、本編では取り上げ切れない本音も垣間見え、キャラの内面がよく描かれた一曲となっている。

6/14 神保町哀歌

歌唱:邪神ちゃん(CV:鈴木愛奈)
発表年:2020
作品名:邪神ちゃんドロップキック

アニメ本編でも流れた邪神ちゃん歌謡。フル版はなんと10分を超える長編。神保町の事物と折り重なって描き出される邪神ちゃんとゆりねや神保町(あるいは人間界)との不思議な関係を、走馬灯の如く見ることができる。

6/15 ココロアトラス

歌唱:猪瀬舞(指出毬亜)
発表年:2020
作品名:恋する小惑星

実にイノ先輩らしい曲だと思う。楽しげな曲調は、地図を片手にまちを歩く彼女の足どりを描いているかのようだ。それに、歌詞も彼女らしさに溢れていて良い。特に「未知こそが道しるべ」の部分などは、イノ先輩らしいポジティブな好奇心がよく表現されている。
場面としては晴れた日に散歩しながら聴きくなるような曲。というか実際よく聴いてる。

6/16 Yes!

歌唱:川島亜美(CV: 喜多村英梨)
発表年:2012
作品名:とらドラ!

恋愛関係では報われない立場にある、川嶋亜美から友達に向けた応援歌。自分の感情と折り合いをつけ、友達の背中を押そうとする情の厚さがR&Bに乗せて歌われている。彼女が好きなネイルや紅茶の描写からは、ゼロ年代には不可欠なギャル文化を思い出す。キャラの人間関係がよく描かれた一曲である。

6/17 Hello...my friend

歌唱:4U
発表年:2015
作品名:Tokyo 7th Sisters

バンド『4U』の、そして九条ウメの再スタートを象徴する一曲。シンプルながら力強く印象的なギターのリズムで始まるこの曲では、彼女のバンドメンバーに対する思いが綴られる。と思っていたらある年のライブでウメ&ハルの二人がこれを(半)セルフカバーしたことで、この曲はまた新たな意味合いを持ち始めた。この曲の背景がよくわかるEPISODE.4Uもぜひ。

6/19 Quiet Night C.E.73

歌唱:ミーア・キャンベル(田中理恵)
発表年:2005
作品名:機動戦士ガンダムSEED DESTINY

SEEDのヒロイン・ラクスの影武者であるミーアの代表曲。ラクスの歌う原曲『静かな夜に』が落ち着いたテンションであるのに対し、ミーアの『Quiet Night C.E.73』は明るくポップな曲調となっている。この曲ではミーアの明るく元気な性格がそのまま表現されているような感じであり、劇中のシーンも相まって、SEEDの中でも強く印象に残るアニソンに仕上がっている。しかし、CDでは劇中の合いの手が登場しないため、少し寂しい。

6/20 続く話

歌唱:せるふとぷりん(稲垣好、市ノ瀬加那)
発表年:2022
作品名:Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-

柔らかいピアノと心地良いSEに包み込まれる、せるふとぷりんのお互いを補い合うような優しい掛け合い。分厚いベースとシンセリードが空間を大きく広げ、そんな二人の日常をドラマチックに彩る。変わらない友情というよりも、これから続いていく二人の物語を感じさせる前向きなサウンド。

6/21 恋のオーケストラ

歌唱:卜部美琴(吉谷綾子)
発表年:2012
作品名:謎の彼女X

2012年放送「謎の彼女X」のOPとして使用された本曲。「秘密の恋」をテーマとした本曲をヒロインである卜部美琴が歌うことで、唾液を介して繋がる明と美琴の関係を示す。
作詞はGOMES THE HITMANの山田 稔明、作曲はROUND TABLEの北川勝利という組み合わせ。
ストリングスなどの使われ方も美しく、00’sのポップスを支えたとも言える両氏が作ったことも頷ける、渋谷系を中心とした音楽を想起させる良質なポップスを聴くことができる。

6/22 Let's jump!

歌唱:第二文芸部
発表年:2007
作品名:キラ☆キラ

第二文芸部は、OVERDRIVEと瀬戸口廉也のビジュアルノベルがタッグを組んで制作されたビジュアルノベル『キラ☆キラ』の作中に登場するガールズ(?)バンドだ。『Let's Jump!』は、彼女らの楽曲の中でも特に素朴なパンクロックの楽曲になっている。荒くてかっこいいギターリフも印象的だが、個人的には、高校生らしいかわいさのある歌詞が好き。
また、第二文芸部は『らき☆すた』の名物楽曲『かえして!ニーソックス』のカバーも行っているので、キャラソンファンの方はそちらもぜひ一度聴いていただきたい。

6/23 go run [lifegame.out]

歌唱:ハッカー(CV:堀江瞬)
発表年:2020
作品名:アクダマドライブ

歪んだ社会に生きる犯罪者の美学が描かれる『アクダマドライブ』に登場する、17歳のハッカーの心情を綴った曲。退屈で下らない日常が続く中で、未知や不可能に挑戦し、空虚な心を満たそうとする衝動が描かれる。作詞は烏屋茶房、作編曲はYASUHIRO(康寛)というTOKYO LOGIC作品。
作中でのハッカーは、地元のカンサイ(関西)を抜け出し、ユートピアのカントウ(関東)へ上京することを渇望している。本曲内の「退屈に殺される前に辿り着けるだろうか」という歌詞にも描かれ、生き急ぐ若者が都市に吸い寄せられる光景が目に浮かぶ。この焦燥感は、誰もが感じたことがあるのでは。

6/24 ポケットの中に

歌唱:ドラえもん(大山のぶ代)
発表年:1999
作品名:ドラえもん のび太の恐竜

本当の意味で「キャラソン」を「キャラソン」として捉えることができるのは、子供だけなのではないか、と感じることがある。フィクションと現実がないまぜになるあの感覚は、きっと大人になったあとでは二度と味わうことができないのだと思う。「ドラえもん」が、僕にとって、等身大の「ドラえもん」だったあの時間は、決して帰ってこないのだ。でも本当にそうだろうか?「待っていたんだよ 気づいてくれるまで」。「ポケットの中に」の中のこのフレーズは、大人になってしまった私を、子供時代へと引き戻すような力がある。「ドラえもん」はずっと「ドラえもん」のままで、待ってくれていたんだ、と、私は心から感じることができるのだ。「とっても遠くて 近い世界」に戻りたいと思うとき。そんなとき、私は必ずこの曲を聴くことにしている。

6/26 ハッピー☆マテリアル

歌唱:麻帆良学園中等部2-A
発表年:2005
作品名: 魔法先生ネギま!

2005年当時、この曲をチャート1位にするために2ちゃんのねらーたちが頑張ったらしい。それで有名なこの曲であるが、アニメでは麻帆良学園中等部2-Aの生徒たちがグループに分かれて歌っており、放送に合わせて毎月別のキャラクターたちが歌うCDが発売されていた。個人的には推しキャラの雪広あやかが歌っている6月度分が一番好き。他のグループが歌うハピマテよりも落ち着いた印象。また、ネギま!のアニメにはXEBEC版とシャフト版の2種類があり、特に前者はアニメの評価が低く、「黒歴史」扱いしているファンも多い。しかし、個人的にはハピマテが主題歌として使われたXEBEC版の方が好きで「黒歴史」扱いされているのがちょっと納得がいっていない。(笑)

6/27 ライトレス

歌唱:アグネスタキオン (CV. 上坂すみれ)
発表年:2022
作品名:ウマ娘 プリティーダービー

ドロップで押し寄せるColour Bassサウンドが全身に染みわたる。粒子となった音が作り出す未来的で壮大な空間は、タキオンの名を持ち未知の可能性を探求する実験好きのウマ娘にはこれ以上ないほどに相応しい。
大きい会場のスピーカーで浴びると最高です。

6/28 100点満点なんかじゃない!

歌唱:桂ヒナギク starring 伊藤静
発表年:2009
作品名:ハヤテのごとく!

努力家の桂ヒナギクによる、か弱い一面を出せない屈折した感情を歌った曲。このような自分自身との葛藤が、曲の題材として成立する要因は何なのか。どんな素振りでも魅力と捉えられる圧倒的な人気も一因ではあるが、生徒会長キャラなど、アニメ内での人物像が安定していることも重要ではないか。
アニメでは注目されにくいことをサブコンテンツのキャラソンで歌ったとしても、アニメ内で確立された人物像が幅広く認知されているため、人物像が大きく変化することは少ない。キャラらしさを準拠点として、新たな一面を見せようとする、キャラソンの特徴を活かした表現ではないか。

6/29 Success,success

歌唱:nana×nana
発表年:2002
作品名:七人のナナ

性格の異なる7人に分裂したナナ。その声優を務める水樹奈々、名塚佳織を含む7人組声優ユニット「nana×nana」が歌う本アニメのオープニング曲。
高校受験の期間をテーマにしたアニメと繋がるように、受験に向かって努力するさまが歌われている。
この歌詞を作ったのは「あの」国分友里恵。80’sのシティポップを追う人間なら必ず見る名前である。彼女の作詞家としての活動のうちの一つが本曲。彼女の活動を追う人は(そうでない人も)一聴の価値ありと言っても良いであろう。

6/30 涙はみせない

歌唱:こみっくがーるず(赤尾ひかる,本渡楓,大西沙織,高橋李依)
発表年:2018
作品名:こみっくがーるず

こみっくがーるずの4人の(さらには他の登場人物の)、一日一日積み上げる人生の小さな前進の歌。ゆったりと浮かび揺れるリズムの足取りで歩んでいく。アニメのエンディング曲で、映像も素敵。歌詞には直接漫画というテーマに関わるような言葉は出てこないで、全体として物語を想起させる。「ちょっとだけ大人びた服を着て」という歌詞がなぜかとても印象に残る。サビの後ろで鳴っているコーラスが好き。


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