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世界遺産平泉と食べまくりのお出かけ(後編)

中尊寺

徒然草に「仁和寺にある法師」という有名なお話があります。
仁和寺のお坊さんが石清水八幡宮にお参りに行きましたが、ふもとにある別なお寺や神社にだけ行って帰って来てしまい、大勢の人が山を登って行ってたけどあれはなんだろうね?というやつです。
実は僕も中尊寺では同じような事をしています。

あれはまだ20代の頃、ツーリングで中尊寺に来たことがあります。
6人ぐらいだったでしょうか。目的は金色堂でした。
昼時に着いたのでまずは飯だと、ふもとの食堂で昼食をとったのですが、その時に金色堂を見た事があるというやつが「高い金を取る割に、すごく小さくてショボイんだよ。写真だと大きさがわからないけどさ」と言い出しました。
僕も含めたその他のメンバーは誰も見たことが無かったので、ミニチュアサイズのようなものを想像してしまい、金色堂も中尊寺もお参りする事無く帰途についたのでした。

そんな苦い思いを胸に今日はリベンジです。
駐車場に車を停めて、月見坂を登ります。

参道の月見坂
だらだらと続きます
この坂を登りきらないといけません
まだまだ先は長いです

ちなみにふもとの駐車場に停めて、この月見坂を登るのが一般的ですが、金色堂の近くにも駐車場があり、そこからだとすぐ金色堂に行けます。

途中、たくさんの小さなお堂があります。御朱印のコンプリートを目指す人は大変です。疲れるのでところどころで休憩がてらお参りをしながら登っていきます。

雲行きが怪しい

20分ぐらい歩いたでしょうか。やっと中尊寺の本堂につきました。
毛越寺でも出てきた円仁が開いたお寺です。

天台宗東北大本山です
ここも円仁が開祖
丈六の釈迦如来

お参りを済ませたら先に進みます。
ちなみに拝観料はありません。金色堂とその資料館だけ拝観料が必要なのです。

本堂から少し進むと讃衡蔵さんこうぞうという資料館の横に金色堂の拝観チケット売り場があります。
チケットを買うと、先に讃衡蔵を見てから金色堂に行って下さいと言われます。

奥州藤原氏の副葬品や仏像が展示されています
中は撮影禁止

入るといきなり3体の丈六仏が並んでいます。
両脇に薬師如来、真ん中に阿弥陀如来という配置です。
本当はゆっくりじっくり見たいのですが、人も次々入ってくるしいつまでも立ち止まっているわけにもいかず先に進みました。
みうらじゅんさんが寝転がって心ゆくまで仏像を眺めたがる気持ちがわかりました。

一通り見た後は隣の金色堂へ向かいます。

もちろん中は撮影禁止。写っているのは金色堂を雨風から守る覆堂おおいどう
覆堂の中に金色堂があります

中では数分の説明がリピートで流れており、説明を聞きながら眺めます。
説明でも言っていましたが、仏像の配置が独特です。
ご本尊の阿弥陀如来の脇侍として観音と勢至菩薩、左右に3体ずつ地蔵菩薩が縦に並んでいます。そして最前列の左右に、持国天と増長天がいます。
更にこの仏像が乗っている須弥壇の下には、藤原四代のご遺体と首級が安置されているのです。

建物の内外は全て金箔で覆われていて、柱は夜光貝をふんだんに使った螺鈿細工が施され、そのきらびやかさに圧倒されます。
誰だあの時小さくてショボイとか言ったやつは!

御朱印を頂いて、中尊寺を後にします。
あとは花巻に移動して、わんこそばを食べます。
平泉から花巻までは40分程度です。

駐車場を出発するのと同時ぐらいに大粒の雨が落ちて来て、高速道路は強風で木の枝がビュンビュン飛んでくる状態になりました。タッチの差で雨に当たらず済みました。
速度制限が出る中風にあおられ、なんとか無事花巻に到着です。

やぶ家総本店

宮沢賢治も常連だったとか
菊池雄星君も来てたらしいです

このお店は普通の蕎麦屋さんなので、ゆっくりとお蕎麦や丼物を食べる事もできますが、わんこそばは予約制です。
入るとほどなく呼ばれて座敷にあがります。

僕は20歳の頃に一度わんこそばを食べた事があります。
一番食べられた頃ですが、86杯でギブアップ。しかもその後は動く事も出来なくなるぐらい苦しくて後悔したものです。
あの時に比べたら格段に食べられなくなっていますが、今はどれぐらい食べられるか楽しみでもあります。

ちゃんと薬味も一通りそろっています

紙のエプロンをつけて待っていると、お姉さんがやってきて説明をしてくれます。
10杯でふつうのそば一杯分。男性の平均が5~60杯、女性は3~40杯。汁は飲まずに横の壺に捨てる。噛まずに飲む。そんなアドバイスをされます。

そしていよいよスタート。
一口目の感想は、きちんとした出汁が効いたつゆで美味しい!です。
少しずつ色々な薬味を試しながらサクサクと進んで行きます。

一口はこんなもんです

30杯目ぐらいから、お腹に溜まってきたなという感じがしてきました。
家内はもうそろそろ無理と言い出し、34杯で蓋をして終了。
「え~もう終わり?勿体ない」そう言いながら、息子と二人で黙々と食べ続けます。

この辺りから頭の中でアリスのチャンピオンが流れ始めました。
若い挑戦者が獣のように年老いたチャンピオンに襲い掛かるのです。挑戦者は余裕の笑みを浮かべてわんこそばを食べている20歳の僕で、40杯ぐらいでお腹が苦しくなり始めた僕は、そこに年老いた悲しみを見ていました。

まだまだいけそうだなと思っていましたが、それは突然やってきます。
それまでは二噛みぐらいで飲み込んでいたのですが、気づくといつまでも口の中でもぐもぐと噛んでいます。
息子に至っては水が欲しい、水で流し込みたいと言い出しました。
そしてあっけなく50杯でお椀に蓋をして終了です。息子は47杯で終了。
ロッカールームで「これでただの男に帰れるんだ」と呟きたい気分です。

全然食べられなくなっていてショック

最後は蕎麦湯を頂いて、証明証に杯数を書いて貰って終了です。
ちなみに食べている時間は正味20分、前後の時間を合わせても40分程度です。

全然大食いじゃないけど、全員これをいただきます
店の入り口に台湾の女性のフードファイターの写真が貼っていましたが、記録は400杯以上でした
その昔、宮沢賢治がいつも頼んでいた天ぷらそばとサイダーのセット

余談ですが、わんこそばの本場は盛岡です。でも発祥は花巻との事。そしてさっきまでいた中尊寺(平泉)でもわんこそばは食べられますが、平泉は盛り出し式といって、最初からお椀が10個ぐらい乗ったお盆で提供されます。お姉さんがお椀に次々と入れて来ることはなく、自分のタイミングでゆっくりと食べられます。

かなりお腹が苦しく歩くのも辛いのですが、最後の目的地マルカン大食堂へ向かいます。ここからは3分です。

マルカンビル大食堂

テレビなどでよく取り上げられるのでご存じの方も多いかと思います。
もとはマルカンデパートという地元のデパートで、ご多分に漏れず売り上げが落ちて苦戦している中、昭和レトロな大食堂だけは賑わっていましたが、
2016年に建物の耐震基準に問題があるという事がわかり、惜しまれながら閉店しました。
しかし、大食堂の復活を望む声が多く、クラウドファンディングなどで資金を集めて耐震工事を行い、大食堂の営業が再開されたのです。

見えてきました、左奥の建物が旧マルカンデパート 大谷翔平君も来ていたとか
黒い窓が大食堂

駐車場に車を停めて、エレベーターで6階の大食堂へ向かいます。
僕はこれで4回目のマルカン大食堂になります。まだデパートが営業していた頃にも来ています。
エレベーターの扉が開くと、そこは大食堂。
昔懐かしいサンプルが並んだショーケースがお出迎えです。

和洋中なんでもあるのが大食堂
こっちは飲み物とスイーツと麺
今日も賑わっています
なんと食券売り場で食券を買わなくても、席からスマホでオーダーもできるようになっていました
さっき外から見えていた黒い窓がここ
星座占いも健在
息子は初体験で下に占いの紙がでているのに気づかず、ルーレットを見つめていました

さて、残念ながらお腹が苦しく何も食べられません。ここは飲み物で我慢するしかありません。普通はコーヒーを頼むところですが、せっかくの大食堂なのでクリームソーダをチョイス。
すると家内はプリンアラモード、息子は名物のソフトクリームをオーダー。
わんこそばで余力を残しておいたとは・・・ずるい!

クリームソーダ飲むの何年振りだろう
チェリーが無いのが残念
プリンは蒸しプリンですよ
お箸で食べるのがお約束です
外を見ると虹がでていました

こうして最後に若干悔しい思いをしつつ、お参りと食い倒れの旅は終わりました。
来年はお昼ごはんでも食べに来ようと思いつつ、花巻の町を後にしました。

ここが一応正面玄関

おしまい

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