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好きな本紹介。 それは虚構か現実か。

 こんにちは!ペパーミントです。
今回は「私の好きな本」について投稿していきたいと思います。最後まで読んでいただけたら幸いです。

 私の好きな本は西尾維新先生の描く『少女不十分』という作品です。

『少女不十分』

 ジャンルはミステリーで、大学三年生で小説家志望の「僕」が主人公となっている作品です。あらすじとしては、「僕」が大学へ向かう途中、目の前で小学生が大型のトラックに撥ねられてしまうという現場に遭遇してしまうことから物語が動き始めます。しかし「僕」の視線は轢かれた小学生ではなく、その前を歩いていた友達であろう少女に向けられます。彼女は先ほどまで隣に居た友人が轢かれていることを確認し、そのうえで手に持っていた携帯ゲーム機をセーブし丁寧にランドセルに仕舞うという行為を経て、ようやく号泣しながら少女の遺体に駆け寄ったのです。その光景には「不自然」がありありと描かれています。そんな光景を目にした主人公はその日大学を休むことを決め、自宅へ帰ることとなりますが、その背後で少女は彼の背中を見ていました。後日主人公が自転車で登校していた際、タイヤに縦笛を投げ込まれて転倒してしまう。それは先日の少女の仕業で転倒した隙に主人公は家の鍵を盗まれてしまい、家に侵入されてしまう。そんなことは全く知らない主人公が家に帰り業者に鍵を開けてもらい、くつろいでいると机の下に潜んでいた少女に足を刺されて「ついてきてください」と脅迫され誘拐されてしまう。女子小学生に誘拐されてしまう男子大学三年生という奇妙な関係性の元この物語は進行していくのです。そうして少女の家に誘拐されてしまい過ごす一週間の奇妙な生活の果てに「僕」が目にする真実とは。といった内容です。

 この本を読んで私が感じたことは「実際に起きた事件なのか、物語なのか分からない」という事でした。「僕」の視点で物語が進んでいくのですがその視点からの描写がとてもリアルでまるで作者自身の経験のように錯覚してしまいました。ぜひこの巧みな言葉遊びに翻弄されてください。

 また最も印象に残ったシーンとして、「僕」が少女に自分で考えた物語を少女に語って聞かせるというシーンで、この物語のクライマックスなので詳しくは書きませんが、少女の過程が抱える「歪」を「僕」が暴いてしまい、どうしようもなくなってしまった少女に対し、少しでも何か自分にできないだろうかと考えた結果の行動に胸を撃たれました。

 最後に私の考えとして、この本は主人公の「僕」と同じくらいの年齢である大学生に特に読んでほしいと考えます。私自身も現在大学生ですが、「自分は何になりたいのか」、「自分には何ができるのか」とふと考えてしまう瞬間があります。同じように皆さんにもあるかと思います。そんなときにこの本の主人公のように「自分にできること」で人を助けることができるのだという事を実感してほしいのです。

 書誌情報
著者 西尾維新
タイトル 『少女不十分』
出版社 株式会社講談社
出版年 2011年

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