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ある日帰宅してみると門のすぐ内に小包が置かれていた。 田舎のことであるから、よく見知った宅配業者が気軽に荷物を置いていくことは特段珍しくはない。ただそれが古い油紙のようなものに包まれ、茶封筒を巻き込むように紐で縛られているだけで、発送ラベルがないのが気にはなった。紐が真ん中を横切っているからうまく貼れなかったか、油紙のせいで接着が弱く、この時期の風に煽られて飛んで行ってしまったのだろうか。しかしそんな一瞬の疑念は、封筒に弱々しく鉛筆書きされた名前を見てすぐに霧散した。 あま
休日、早起きしてパンを焼いてみた。とは言ってもオーブンなんてしゃれたものはない。ホームベーカリーである。 まずは材料を測る。とは言っても電子計りなんてちゃんとしたものはない。昔ながらの、おさらの下で針がくるくると回る秤である。 一袋199円の強力粉と、スキムミルクはないので牛乳で代用。そのぶん水の量を調整する。無塩バターはないので気にせずマーガリン。なので塩は省略して、砂糖を少し。最後に消費期限ぎりぎりのドライイーストを入れて、「プログラム1」でピッ。15分後に一度ブザーが
「連続10日投稿」のバッジがついた。 ようやくの10日。はやくも私は結構息切れしてきている。 そもそもが、「ちゃんと文章を書こう」と思って始めたnoteだった。「ちゃんと」とは、「美しくしようと頑張って」という意味だ。もちろん、文章は、美しく書かれるべきだ。そう思っている。 物書きになりたいという人と、長いこと一緒に暮らしていた。 その人が夢を諦めてふつうの勤めに出て、そこで出会った人と沼に落ちて、私を部屋から追い出したとき、私は昔その人が書いた言葉を思い出しては、め