オホトさんのことで考えた雑感

上野のリーリーとシンシンが交尾をしたそうだ。「受精してくれよぉ!」と願いながらこれを書いているが、あくまで私見でありますことお断りしておきます。

さてオホトさん。
3月2日に「メスのホッキョクグマが死亡しました」と発表があった。多くの方が「オホトという名前があるのに」とコメントされる中、2時間後に「パンダの赤ちゃん3つの名前候補が決定しました」と同じアドベンから公表された。
「ん??この差は何?めっちゃ気になるんですけど。」

そこでいろんな方のツイートやブログを漁った。
でもわからない。

多くの方は名前のみならず、飼育環境についても意義を唱えている。中には肯定的な意見もあり、両者の意見を読んだ。
私自身はオホトさんいる施設を見た時「なんだこの薄暗い水槽?」と思った。ちなみにアザラシの水槽も水苔で緑色だった。

結局、わからないなら直接確認。と思って電話をしたのが以下の内容だ。

まず、名前。
「オホトさんの名前を公表されない理由についてSNSで多くの意義が唱えられていますが、それに対し頑なに説明すらされないのは何故ですか?」
アドベン「先ず、ジャイアントパンダは例外なのですが、当園は個体というより種を見て欲しい、だから名前は公表していません。また名前をつけると一部の方に個体に特別な感情を持ちすぎてしまう方がおられるため、どの動物にも付けていません」と。

そして飼育環境。
「多くの方が飼育環境の悪さについて意見されているのを見受けますが、なぜそれに対しても説明をされないのですか?」
アドベン「我々スタッフはどの動物も分け隔てなく、大切に飼育しています。情報発信についてはできる範囲内でいろんな動物の情報を発信するように努めているのですが」と。

電話対応してくれた方は、懸命に言葉を選び説明してくれていたし、「文句言うたる!」というつもりで電話をしたのではないためお礼を言って切った。

でも、モヤモヤは消えない。。。

ジャイアントパンダはブリーディングセンター前に「成都ジャイアントパンダ繁殖基地日本支部」という立派な看板が掲げられている。ジャイアントパンダの命名でパヤパヤするのは日中関係や政治、集金など種々の事情があるのだろう。動物の飼育には多額の金が必要だ。集金戦略を否定する気はない、むしろ動物達に還元されるのならいっぱいお金集めてや!とすら思う。

飼育環境については、JAZAのホッキョクグマの適正施設ガイドラインから外れているように思う。しかし、このガイドラインは今のホッキョクグマの施設建設より後で作成されたものだ。
https://www.jaza.jp/assets/document/about-jaza/guideline2020/guideline2020-03-01.pdf

飼育員は我々のようなフラっと訪れる客などと比べ物にならないくらい担当動物を大切にしているだろう。オホトさんも平均の寿命を生きた。名前もヒトが個体を識別するためにつけた符号。

ぐぬぬぅ、と考えた末1つ言えることは、圧倒的な説明不足。
例えば香香が親離れをする時、上野の公式tweetに「シャンちゃんがかわいそう!ひどぉい!」というコメントが何件も寄せられた。「上野も大変やなぁ、お気の毒」と思って見ていたが、その後上野はジャイアントパンダの生態とそれに伴う親離れの必要性について、わかりやすい解説をHPにupし、理解を得るよう注力した。
アドベンに先ず足りないのは、これではないだろうか。

疑義が寄せられているのであれば、名前を公表しない理由、施設を改修する予定の有無と無いなら今の施設を適正と判断している根拠、そして今いるライト君を今後どうするのか、それらについて説明されてもいいのではないだろうか。そしてそれは、ホッキョクグマに限らない。
例えば「アドベンはテーマパークだから公的機関とは違うもーん、だからいちいち説明する必要はないもーん、とにかくsmileなんだもん♪」というスタンスなら、それは生体をミッキーやミニオンの代用としているに過ぎないようにも捉えられる。
多くの異議に対して、園の方針を開示しない、説明をしない。これは動物、ひいてはレッドリスト絶滅危惧Ⅱ類という世界の財産を預かる施設として如何なものだろう。

上野動物園に行くと肉食獣の餌として鶏の頭がたくさん転がっている。肉食獣の飼育にはその餌となる動物がいる。ヒトも命を頂いて生命を維持している。薬の開発のために命を落とす実験動物がいる。それらも現実。
だからこそ、せめて飼育動物には極力苦痛のない環境で生を全うしてほしいと思う。

でも私は子供の頃遠足で行った動物園の飼育環境の悪さから、長く動物園から目を逸らしていた身。
ゴーゴ君に会いたい、香香に会いたいと、数年前から動物園に足を運べるようになり「昔よりましやなぁ」と、上野・アドベン複数回、王子は年パスですが、という履歴のまだまだ動物園のもぐりだ。
この件をきっかけにもっと多くの動物園を見て、本を読んで知りたいと思った。それがオホトさんが与えてくれた課題かもしれない。

最後に1つ。感情だけで「〇〇ちゃんがかわいそう!」というのも、それに対して「何も知らないバカが」と嘲笑するのも、どちらも動物にとって何の易にもならない。
そう思いながら、これを記していること、ご理解頂ければ幸いです。

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