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47歳にしてデジタルイラストを描き始めた者がつぶやきます

なぜ47歳で始めたかというと、詩を趣味で描いていて、ある日、息子が描いているデジタルイラストを見て、かわいい明るい商業イラスト(ラノベの表紙みたいな)と詩を合わせたらどうなるのか試してみたくなったからです。結論から言うと、難しいけど無理ではない。結果は他で書くとして、47歳から51の現在までおよそ4年修行したデジタルイラストについて、知った事を書きます。ちなみに絵は小さい頃から描いていて、ある程度は描けていましたが、商業イラストは描いたことがなくてかなり苦労しました。

わかりやすくするための技術がてんこ盛り

商業イラストとは、一瞬で何が描いてあるのかわかり、かつ購買意欲を刺激する絵。ということです。何を描いているのかわからない前衛アート作品とは真逆で、「これを買うといいよオシャレだよかっこいいよ」という事を、言葉よりも分かりやすく伝えなくてはならない。

何が描いてあるのかわかりやすくするための技術とは

どれを見るべきか、どんな気分になるべきかが一瞬でわかるのがいいイラスト。みんな画面をスクロールしまくるのでぱっと目を引く必要がある。そのためには、

美しい線画 イラストの線画とは、写真をただなぞるだけではだめで、かなりデフォルメが入っています。強調するところ、控えるところを見きわめて、二次元の線だけで立体を説明したりかわいらしさ、筋肉っぽさ、質感、みたいなことを表現します。線自体の強弱、入り抜きのあるなしも大事。

デザイン的陰影 イラストの陰影とは、現実どおりに陰影をつけるのではだめで、やはりデフォルメ、デザイン的面白さが要求されます。強調とか、単調を避けるとか。現実にはない影や光が沢山入って、かっこいいものになります。

構図 人が見て気持ちのよい構図というのがあり、三分割構図や日の丸構図が一般的です。構図には物の配置のほかに色の分量や配置、画面を支配するラインやリズムなんかもあり、めちゃくちゃ奥が深いです。

視線誘導 人の視線は左から右、Z字を描くように動く、顔に一番に注目する、明暗や色の対比がはっきりしたところを見てしまう、ラインにそって眺める、という癖があるのでそれを考えたりします。

色使い メイン、サブ、アクセントで三色くらいでまとめるとすっきりして見やすい。色と気分は連動するのでその効果を知って使う。彩度高めはダサいしよっぽど色のセンスないと無理なのでそういう色はポイント的に使う。また、色は隣の色によって見え方が変わるので色彩知識が必要です。あと明暗差のコントロールも大事。

目を引く写真的テクニック 後ろぼかす、片目隠したり逆光にするとかっこいい、などたくさんあります。

トレンドを意識する 特に商業イラストは目の形や色の塗り方、すぐにトレンドが変わるので、古臭くならないように常にアンテナを張らないとです。今はアニメ塗りにちょっと水彩で筆跡を足して情報量増やす塗りが流行ってる気がする。

プロの人は上記に加えて、かっこいいポーズや表情、新しさ、アイデアを競うわけですから、とんでもないことやってるなあと思います。

練習していて分かったこと

お絵かき練習をしていて分かったこと。

1、つまらない練習は絶対にしてはいけない。いやいや練習をしていると描くこと自体が嫌になってしまうので。それを描くのが楽しければやるし、つまらなかったらやめる。少しずつですが楽しく続けているうちにだんだん上手くなっていきます。

2、おすすめは「なぞり」です。なぞると手が覚えるし、怖さがなくなります。手を描くの苦手だったんですが、自分の好きな手のイラストを何回かなぞってたら苦手意識がなくなりました。なまじある程度描けていたのでなぞりを馬鹿にしていましたが、やってみると気持ちいいもんです。あと、描ける範囲は少ないと分かり、画面を回して描くようになりました。

3、デッサンや模写は、見る目を鍛えたり、自分の思い込みを修正するのに役立ちます。よーく見ると、意外と脚はまっすぐじゃないんだなーとわかったり、指の関節を省いて描いてる人も多いです。自分が描くとしたら描けるかな?という気持ちで街中で人の脚を後ろから観察するだけでもいいと思います。

4、自分の描くものはいいものだと信じる。描いて、ダメな所を反省して、それを活かして描くって大事だけど、あんまりやってるとダメな所ばかり見えて嫌になってしまいます。ダメな所というよりは、このいい部分をもっと伸ばそう、もっと良くしよう!という気持ちでチェックするといいと思います。自分の好みで描いてるから、いい所、自分の気に入ってるところは必ずあるはず。そして他の上手い人より、過去の自分に勝つ気持ちで見るといいと思います。必ず勝ってる。

5、好きなイラストと楽に描けるイラストは違う。わたしはアニメ塗りのイラストを見るのは好きなのですが、自分で描くとなるとレイヤー分けが苦手、ベタっと塗るのが嫌い、線画が下手、など苦労の割に出来がよくない。厚塗りという、レイヤー分けずに塗り重ねていくやり方は楽に楽しく早く描けるし、出来もまあまあ。残念だけど、自分には合ってないんだと思ってアニメ塗りは諦めました。

6、SNSを活用することについて。ツイッターにはワンドロという、1時間で何かを描くっていう分野があり、お絵かき始めたころは艦これキャラを描いていいねをもらって、モチベーションをあげていました。ド下手くそでも親切な方がいいねを下さいます。他の、すごく時間をかけて一生懸命描いた絵はいいね1とか2……とかでまあ凹みますが、描くテーマも絵柄もバラバラだし、クオリティもそんなでもないので仕方がないですね……。落ち込んできた。詩はいいねなくても全然平気なんですが、やっぱかけてる時間の度合いかな。絵ってすんごく時間かかるから。

7、自分はパンツァ―型。お絵かき講座の動画を見ると、必ず、「何を伝えたいかテーマを決めて」「伝わりやすい構図を決めて」って言ってます。もちろんその方が早く描けるんですが、私は下書きもなしでいきなり描いてだんだんと何を描こうとしてるのかみえてくるタイプだということが分かったので、そうしています。創作は、いきなりはじめるパンツァ―型と、計画的に作るプロット型というのに別れるそうです。

8、老眼と昭和の手癖。老眼で眼が疲れるので、眼をあっためる機械を使っています。それはいいとして、昭和の手癖が全然抜けません。キャンディ・キャンディ世代なのでそういう絵柄になる。今はeasyposerというポーズ人形アプリで顔のあたりを取っています。

お絵かきソフトと機器について

CLIP STUDIOと、iPad air4を使っています。

CLIP STUDIOのおかげでデジタルお絵かき楽しくできています。描き方指南もあるし、便利な素材も沢山あって、無料で使ってよくて、ありがたい。慣れるまでにはそりゃあ時間がかかりましたけども。各種機能を覚えないといけないし、線画のレイヤーに色を塗っちゃったり、レイヤーを作りすぎてわけわからなくなったり。慣れと時間が解決してくれますが。ただ、クリップスタジオはiPad だと毎月お金を払うんですよね。パソコンはソフトを買えばずっと使えるんですが。

iPad air 去年の11月、パソコン+板タブレットからiPad airに変えたら、描くスピードが3倍くらい早くなりました。かなり線画が描きやすく、早く、きれいになります。おすすめです。高いけど、iPadなら電源ボタン押して10秒くらいで描き始められるし、ソファーやこたつでも描けるし、動画も見れるしゲームもできるし、noteも書けるし、便利です。

よく見ているお絵描き講座の動画

さいとうなおきさん、ディープブリザード魔王様、焼まゆるさんの動画をよく見ています。皆さんプロの方で、どの動画もとてもためになります。さいとうなおきさんは構図や影のつけ方、ディープブリザード様は水彩や厚塗りのくすみの取り方、焼まゆるさんは色選びと線画の色トレスがとても参考になりました。それぞれの方のイラスト添削も目から鱗です。ただ、ほんとのほんとに初心者だと、早送りで絵を仕上げている時に何がどうしてそうなってるのか分からないと思います。一冊はクリスタお絵描きの指南書を購入して何か描いてからがいいと思います。

練習の成果ともなんとも言えないですが今までのイラストを載せます

 飽きっぽいし、線画きらいだし、アニメ塗りって色を混ぜられなくてつまらないので、色んな絵柄を試しています。4年もやって絵柄決まらないとか、要するにイラストが向いてないって事かも。お目汚し失礼。

2017年4月。艦これワンドロ始めたばかり。こんなでもいいねをくださって皆さんお優しい。今見ると、彩度高め、エアブラシ使う、見ないで描く、髪や服をいきなり描く、光源意識してない、剣先のような髪と、やっちゃいけない事全部やってますね。ほっぺや目の中の白い点が何なのかすら分かってなかった。

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9ヶ月後。30枚くらい艦これキャラを描いた後。1時間では無理と悟り、1.5時間かけています。ちゃんとポーズ人形の写真から描いてるからまあまあ身体はできてる。

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2018年5月。背景も描いてみたくなり、よー清水さん著『「キャラの背景」描き方教室』の模写です。2ヶ月くらいかかりました。力尽きてしばらくお絵かきしなくなりました。でもこのおかげでグリザイユの厚塗りというやり方と、背景への怖さがなくなりました。

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2019年3月。もろに厚塗りの影響が出てる。でもこんなふうに現実ぽく影をつけると可愛くない。目は眠たげでよし。

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マッチラベルふうに挑戦してみたり。(線画が嫌だから)

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頑張りました。気に入ってます。でも厚塗りって可愛くない……

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2020年2月。線画の入り抜きをやめてみました。

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2020年3月。前年書いたのが気に入らなくて塗りと線画を描き直し。今思えば正面棒立ちは下手さがもろにばれる一番難しいポーズだった…

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2020年11月。iPad来たから嬉しくて色々描いてました。水彩やってみたんです。

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2021年2月。前年のメンバーをアップで。iPadで描くスピードが上がってます。

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5月。ア・メリカさん著『”主線なしイラスト”の描き方』を参考に。主線なしイラストは線画がなくてよいですね。原神というゲームのファンアートです。

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6月。これも原神。流行りのゲームのファンアートを描くとpixivでいいねがもらえます。もとがかわいいからヨシ。原神のキャラを描くと、装飾が細か過ぎて気が狂うけど、画力が上がります(個人の感想)

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一番最近の。室井康雄著『なぞるだけで絵が上手くなる!アニメ私塾式 キャラ作画上達ドリル』を始めました。これでなぞりの良さを知りました。線画の苦手を少し克服したかな。色も塗ってみたりしています。なぞりはあと半分くらいあります。こちらの成果をまとめたのは別でnoteに書いています。

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おまけ。この記事を書いたのが2021年、約一年たって、以前のイラストを2022年現在リライトしてみました。

2017年↓

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↓2022年。厚塗りばかりやっててアニメ塗り最近やってなかったので、線画の色トレスとか影のきわに彩度高めの色を入れるとか、細かいとこ丁寧にできなかった……めんどくさ過ぎてそれやってると虚無になる。アニメ塗りできる人ほんと尊敬します。特殊能力って思う。

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↓原神のキャラ。この記事の後、さいとうなおきさんの3ヶ月上達方をやってみた時に描いたもの。楽に楽しく描けたので、絵柄は厚塗りで行こうと決めました。

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おまけ。デジタルイラストと詩の組み合わせはどうなったかと言いますと、紆余曲折を経て以下の感じになっています。

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終わりです。読んでくださってありがとうございました。
 









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