負電圧レギュレータのシミュレーションぼんやり備忘録

はじめに

この記事はタイトルの通り、負電圧のレギュレータをLTspiceにてシミュレーションしたぼんやり備忘録です。実機で動くかなど、全てが未確認です。

きっかけ

負電圧で動作する某フォノイコライザを作りたいなと思ったときに、せっかくなら電源だけでも性能を良くしたいなと思ったため。過去に作ったフォノイコライザで電源が悪くて実用に耐えなかったという経験があり……
取り組みとしては下記サイトのやり方の影響が大きいです。最終的に出てくる回路もほぼほぼこちらに拠るものです。

http://innocent-key.com/wordpress/?page_id=1021

評価方法

評価方法として、以下の2点を確認することにしました。

1.負荷変動に対する強さ

直流電源を入力、負荷として下図のような抵抗をスイッチし変動を再現する回路を設定しました。負荷の前のコンデンサ120uFは全シミュレーションで共通とします。

負荷を決める抵抗値は、元ネタの回路でアイドリング20mA、変動+30mA(合計50mA)となるように設定しました。下記のようなイメージで流れる負荷に流れる電流が変化します。

2.入力されるノイズに対する強さ

入力電源にAC Amplitude:1を設定し、ac解析します。下図の通りAC Amplitude:1と設定した電源で出力部を確認すると0dBが指し示されるので、ノイズリダクション分は-〇〇dBとして表れるはず、という見立てです。

シミュレーション結果

1.元ネタ回路

「負電圧動作のフォノイコライザ」の記述でわかる人はわかったかと思いますが、下記が元ネタの回路です。トランジスタはドンズバのモデルを用意するのダルかったので適当にそれっぽいものを使いました。

出力からのフィードバックがないので負荷変動にはあまり強くないですね。なお元は今回120uFとしているコンデンサが2000uFになってるのでもう少し負荷変動に強いはず。さらに言えば負荷変動は音声信号の大きさに依るところが大きいので、例えば倍音が乗ってくるとかそういう音の作り込みがあるのかもしれません。(もっとも、フォノイコライザなので30mAも瞬間的に変動するとは考えにくいですが)
入力のノイズリダクションは50Hzで-60dBに届かないぐらいです。R1とC2によるシンプルなLPFのおかげで高周波方向でキレイに減衰しています。

この回路を基準にして他の回路と比較していきましょう。
なお、この結果から以降で行ったシミュレーションでは出力電圧が定常時に-22.775Vぐらいになるように設定しています。

2.LM337

お馴染み、負電圧可変型3端子レギュレータLM337です。LM337のモデルはインターネット上にあった適当なモデルなのでどこまで正確なのでしょうか??? I dunno...

一気に負荷変動に強くなったので縦軸を大きく変更しました。出力側からフィードバックしているので負荷変動に対して強いです。一方、入力については低周波(電源周波数付近)で少しよいかな?ってぐらいです。しかし高周波は良くないですね。入力電源がスイッチング電源だと不利なぐらい……

3.シャントレギュレータ

これは下記のサイトを参考にしています。

LM337より負荷変動には弱いですが、入力ノイズでは明らかに強いです。低周波で約-110dB。3KHz付近にピークがありますが基本は平坦な特性。

4.LM337を2個直列

名前の通りLM337を2つ直列に繋げたものです。詳しくは一番最初にリンクを貼ったサイトをご参考願います。

負荷変動に対してはLM337×1個のときと変わらずのようです。出力から見ればLM337×1個と変わらないので、確かにそりゃそうですねって感じはします。一方、入力ノイズについてはごっそりリダクションできてます。2個直列なので単純考えればその分リダクションできるっていうことでしょう。勘で言ってますが。

5.LM337→シャントレギュレータ

上記4.に対し、下流側のLM337を3.のシャントレギュレータに変更した回路です。

これも4.のパターンと傾向は同じです。負荷変動は下流側(シャントレギュレータ)の特性のままで、入力ノイズのリダクションは2個分がそのまま効く感じです。

6.LM337→オペアンプを使った帰還型定電圧回路

一番最初にリンクを貼ったサイトで紹介されているものに、基準電圧のふらつきを減らすようLPFを入れた回路です。2回路入りオペアンプで組めばいいのではないでしょうか。なお、この時点でR1・R2の抵抗値を変えるといいと気がついたため、120Ωから3.3kΩに変えています。
(そもそもなぜ120Ωにしてたのかですけど、LM337のデータシート記載の代表的なアプリケーションで120Ωになってたからという横着がその理由です)

この方式、確かにめちゃくちゃ強いですね。難点を挙げるとすれば、80kHz付近にピークがあってこれを抑えるためにちょいちょい試行錯誤をしているところです。具体的にはC7の0.0033uFがそれに当たります。おそらく負荷など条件が変わればピークの位置・量も動くと想定されるので、実機に落とし込む際には更なる検証が必要でしょう。何も考えずに出来る対策としては、1.元ネタのように前段にシンプルなLPF入れたりとかも有用かと思われます。(何も考えてないので未シミュレーションです)

おわりに

明らかに特性がいいので、今度作るフォノイコライザは6.を元にした回路にしたいなと考えてます。ちゃんと動けばいいな~

最後になりますが、リンクを貼りました2つのサイトの投稿者に心より感謝申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?