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ついに「お」の本音が明かされると言うことで、少し長めの LINEの生活#26 「お」とテンヌキ  最後2行、編集しました。

「良心とか言う甘ったるい感情はとっくに捨て---」
じゃあなんで
さっきよりも穏やかな声で、テンヌキが尋ねる。
「また質問か?いい加減にしろよテンヌキ」
なぜあんたは法律を守らなかった!裏切り者は殺すんじゃなかったのか??良心が無いなら、なぜ僕を殺さなかった!?
「...それは...」
「お」は考え込むような表情をする。

「良心を、捨て切れていないからだろう?」

...
『お』、あんたは優しい。優しすぎる。誰よりも、他の文字を思いやれていた...。近くで見ていた僕ならわかる。あんたはいつも、苦しそうな顔をしていた...
「お」は今、悪魔に殺されそうになっている。逃げる。逃げる。逃げる。追い詰められたその時、「お」の目の前に、大きな手が差し出された。「お」は無我夢中でその手にしがみ付く...
「お」は自分に言い聞かせるように言った。
「うるさいな!お前は口出しするな!これは『ボス』の使命なんだ!!こうするしかない!!良心を捨て切らないと、...虐殺者にならないといけないんだ!!俺は自分でそれを望んだ!!だからお前にとやかく言われる筋合いはない!!
「そこまで虐殺者になりたいのなら、両親なんて捨て切れよ!!本当に虐殺者になりたいのなら。良心を捨てることなんて簡単だ!!
うるさあああああい!!
「お」は泣きながら訴えた。
「俺は良心を捨て切ったと言っただろう!?なぜわかってくれないんだ!?お前の処刑はただただ忘れていただけだ!!」
「お」は銃を出し、テンヌキに銃口を向け、光のない目をして言った。
邪魔者は今、ここで殺す
テンヌキは怖がるそぶりもなく、「お」に尋ねた。
撃てるの?
「撃てる!お前はもうしゃべるな!!」
「お」は引き金を引---こうと思ったのだが、手が震えてそれができない。
捨て切れないんだろう?


「お」がしがみ付いた手は、ゆっくり、優しく、「お」を包み込んだ。

...そうだよ、俺は良心を捨て切れなかったんだ,,,。...テンヌキ、...いや、

『王』」

「うん」
覚えているよな?お前の文字、『玉』にある『、(点)』は、俺の良心だった。俺の良心を、お前に植え付けた
「うん...」
テンヌキは自分の『、』を触った。これは前から、ズキズキ傷んでいた。まさか...
「...テンヌキ、東に、『騙してごめん』と、伝えてくれ」
「自分でやりなよ」
自分で言うのが、恥ずかしいんだ。---それに、」
あははは!!
!?
テンヌキが笑い声をあげた。
そうだったのか、『ボス』!あなたがそんなことを思っていたなんて!!いやあギャップ萌え!まさにギャップ萌えw
「て、テンヌキ!!」
一頻り二人で笑い合ってから、「お」が言った。
テンヌキ、俺はこれから、自分の良心を、自分で背負って生きていく。だから、お前の文字は、元どおりだ
うん
「お」はテンヌキの仮の文字、「玉」の「、」を抜いた。そしてテンヌキは名前通り、テンがヌかれて、本当の「テンヌキ」となったのだった。

「...ところで今、東はどうなっているの?」
「俺の口からは言い出せない。...大丈夫。起動は遅い
え?
「...とにかく早く行かないと、東が...」
ヤバいことに!?
テンヌキは「お」に背を向けた。
「じゃあまた後で!」
...ああ

テンヌキは部屋から飛び出して、エレベーターに飛び乗った。
「僕がやらなきゃ...」

「お」はテンヌキが部屋を出てから少し経った頃、トランシーバーを取り出し、スイッチを押した。
「全ての職員に告ぐ。緊急会議だ。議題は後で伝える。今すぐ会議室に集まれ」
『『『了解!』』
このトランシーバーは、「絵文字工場」で作ってもらったもので、一度に複数の文字と通信ができる。今のように。
「お」はスイッチを切って、会議室に向かった。
あいつ、気付くといいんだが...

テンヌキは、屋敷のエレベーターからおり、一直線に東のもとへ走った。
テンヌキが最初に、この世界を抜け出したいと言ったのは、嘘だった。まず、この世界にいる文字は、人間の世界に行くことができない

十二代目の「ボス」がいた頃は、まだ人間の世界へ行くことが許されていた。文字たちは、「旅」と言った形で、人間の世界へと通じる「道」を通り、人間の世界に旅行していた。
だが、十三代目の「ボス」、つまり、「お」が決めた法律により、人間の世界に行くことが禁止された。裏切り者の逃げ道をなくすために、「お」が「道」を塞いでしまったのだ。無理に「道」の中に入ろうとすると、体が肺のように細かい塵となって、消えてしまうのだ。これを、「お」は、自分の両親を犠牲にしながら、「ボス」の使命のために、こなしていったのだ...

...どれだけ、苦しかったのだろう...
テンヌキは呟いた。

続く

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