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ペンギンの赤い血 完全版

この物語の主人公はペンギン人ですが、実際にあった話ではありません。あくまでも、フィクションです。

第一章 始まり

「えっ」
ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!1

僕はペンギン人。ペンギンの男の子で、人間でいう11歳位。
問題は家で起きた。

家に帰ると、お母さんが死んでいた。
いや、正確にいうと、ナイフで胸を突き刺されて殺されていた。
赤い血が大きなシミを床に作っている。
「お母、さん」
あの、とても優しかった、お母さんが…
家にはお父さんがいない。じゃあ僕が警察に!
110
「もしもし、警察です。事件ですか?事故ですか?」
「さ、殺人事件です!僕のお母さんが!住所は…」
「わかりました!すぐいきます!」

ピーンポーン
「警察です」
「!!早く、入ってください!」
僕は警察を中に招き入れた。
「っ!!!!!!!!」
「早く捜査を!」
すると同時にお父さんが帰ってきた。なぜか汗をかいている。同僚の人も一緒にいた。
「どうした?え!?警察!?なんで!!!!?」
僕は簡単に事情を説明する。
「お母さんが…」
「えっ!?そ、そんな…」
「…」
そりゃあ悲しむだろう。
僕らがそうしていると、警察が探偵を連れてきた。
「こんにちは、私は、ペナンです」
どっかでみたことあるような顔…
「探偵さんですか!?」
「はい、そうです」
すると、刑事さんが来た。
「この子のお母さんの知人を調べましたので、リストを…」
「……………わかりました。犯人は、この中の3人です!」
『ペンギン父 35歳 ペンギン母(この事件の被害者)の夫』
『ペンギン太郎 35歳 ペンギン父の同期』
『茶羅ペンギン 39歳 ペンギン母の昔の恋人』
「は、はい!では、呼び出します」
「ねえ刑事さん、そんな簡単にこの人のこと信じていいんですか?」
「な、何を言っている!?この人は、名探偵のペナンさんだぞ!信じるしかないじゃないか」
じゃあいいか。僕はほっとした。
(でも、お父さんが容疑者だなんて…)
「探偵さん、なんでこの3人が容疑者なんですか?」
「…この3人が、ペンギン母さんを殺すのに怪しまれなさそうだったからだ」
(確かに、お父さんとペンギン太郎さんはそこまで怪しまれないかも。茶羅ペンギンは昔の恋人だから…流石にそんなことはしないよね)
「じゃあ探偵さん、事件解決してくださいね」
「うむ」
(ん?この横顔…)
あっ!思い出した!この人…
テレビにちょこっとだけ出ていた、

詐欺の人だ!


ただのポンコツ探偵に来られちゃったら困る。
ここはまず、この3人の中に犯人がいるか僕が推理して、事件が解決したら…
(僕が、このポンコツ探偵を警察に突き出す!!!!!!)
「絶対に成功させてやる…」
僕は手をぎゅっと握って、目に炎をともらせた。

「よし、では、皆さん、話しましょうか。おっと、子供は上にいておけよ」
ポンコツ探偵は、ペンギン太郎、茶羅ペンギン、お父さんを和室に招いた。(招いた?)
「せんぱ~い、あの3人についての資料できました!」
「よし!わかった。ちゃんと持っておくんだぞ」
(チャンスだ!やるぞ…)
僕は刑事さんの近くに近寄り、
(よし!)
ぱっ!
資料の入ったファイルを盗み、
「は~い!」
と言って上にあがった。
「あ、あれ!資料がない!せんぱ~い!」

パラ、パラ、パラ、パラ、パラ…
「え~っと、あの3人についての資料はっと」
パラ、パラ、パラ!
「あったあああ!...何々?...」
『茶羅ペンギン ペンギン母と浮気』
『ペンギン父 茶羅ペンギンのペンギン母の浮気を知らない』
『ペンギン太郎 ペンギン父の部下 詳しいことは不明』
「……これだけ!?」
無理だ!これだけで…
犯人はわからない!
て言うか浮気?
どう言う…
絶望していると、和室から探偵の大声が聞こえてきた。
「死亡推定時刻は今日3時頃!そのときあなたたちの誰かはペンギン母さんを殺したんですか!!!!!?」
「「「だからやってませんって!!!!!!!!!!!」」」
3人の声だ。
手がかりになるかもしれないと考え、僕はその話に耳を澄ました。
「じゃあ、あなたたちにはアリバイが?あるなら一人ずつ言って下さい。まず、ペンギン父さん」
「はい、私は、その時、まだ会社のオフィスで働いていました」
「ペンギン太郎さん」
「同じです」
「茶羅ペンギン!!!!!?????」
「な、なんで俺だけ呼び捨て!?...まあ、言いましょうか。その時は俺はペンギン母さんの家に向かっていましたね」
「なっ!じゃあまさかお前か!?」
「いや、実は俺、お前の奥さんの浮気相手だ」
「なっ…」
そこで言う!!!!!!!!!!!????????????
「それで殺された少し後、俺はペンギン母さんの家に着いた。インターフォンを押したけど、出なかったので、帰ったんだ」
確かに、前から、お母さんには、男の影がちらついていた。僕でもすぐにわかった。急にメイクし出したり、入念に服を選んだり...
プルルルルルルル!
「はい」
ポンコツ探偵に電話が来たらしい。
「…そうか。そうか…わかった。……」
ポンコツ探偵は電話を切って、静かに告げた。
「…犯人がわかりました」
「「「えっ!それ、誰ですか!?」」」
「犯人は…」
ゴクッ。
ゴクッ。
ゴクッ。
ゴクッ。
みんな唾を飲み込んで聞こうとする。

「大量のセアカゴケグモだ!」

「「「「は?」」」」
僕、茶羅ペンギン、ペンギン父、ペンギン太郎の声が重なった。

「どう言うこと…?」
「他、探偵さん!どういうことですか!?」
「毒蜘蛛がさして…いや、いや、ちょっと待てよ..」
探偵は何か考えている。そこで刑事が囁いた。
「何!?ま、まさか…犯人は…」
やっぱり毒蜘蛛じゃないよね?
ドクン
ドクン
ドクン
ドクン
ドクン
ドクン…
「ペンギン人くんだ!ペンギン人くん、降りてきなさい!!!」
はあああああああああああああああ!???????
降りてきて叫んだ。
「そんなのしてませんよ!!!!第一、殺された時は学校に行っていて…」
「では推理の内容を話します、まず、死亡推定時刻の午後3時、あなたはトイレに行っていたと聞きました」
「はい、でもやってません!」
「誰しもそんなことを言う!君はその時、学校を抜け出しお母さんを殺した!ナイフには君の指紋がついている!!!!!」
「!?そんな記憶ありません!」
「君は二重人格の持ち主なのだ。私はもともとその関係の医者だったからわかる。君が知らないうちに、第二の君が殺した…」
「君は少年院行きだ!」
「はあ!?ふざけんな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕は怒鳴ってしまった。
「お前、そんなことばっかり言って!名探偵みたいなツラしてやがるけど、お前詐欺師だろ!テレビで見たことがあるぞ!テキトーなこと言ってテキトーな奴を捕まえて!所詮報酬目当てだろ!」
と言うようなことを言い続け、ついには殴りかかった。
「おさえろ!」
がばっ!
「ああ、第二の君が影響している。少年院に行かせろ。裁判にかけるまでもない」
「ふざけんなあああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「暴れるな!!!!!船はもうよんだ。今更遅いのだ」
「決定権はないはずだぞ!」
「君は新しく法律が変わったことを知らないのか?決定権は私、犯人を突き止めたものにある」
「嘘だ!そんなことない!警察もこんな奴に騙されるな!ポンコツ!!」
「早く運べ」
「詐欺師のやろおおおおおおおおお!!!!!絶対に、絶対に許さないからな!!!!!!少年院から出てきたら、覚悟しろよ!!!!!!!!」
「チッ、うるせえ」
「覚悟しろよ!!!!!!!!覚悟しろよ!!!!!!!!覚悟しろよ!!!!!!!!」
僕は何度もそう訴えた。
そして、船に乗せられた。

とても小さな孤島の上にある、少年院行きの、大きな船に。

第二章少年院

僕は少年院に入ってからすぐ、探偵から説明を受けた。
「おいポンコツ!?どう言うことだ?説明してくれ!」
「ここに来る時の決定権は私にある。私は詐欺師なので、偽りの診察書を作ってもらい、君が二重人格ということにできるのだ」
「!詐欺師って認めやがったな!ここから戻ったら訴えて…」
「大人しくしろ!!!!!!!!...君は今訴えると言ったが、証拠はあるのか?私が詐欺師だという証拠は?私が昔詐欺師をしていたことは、とっくに忘れられているぞ?」
そう、こいつが詐欺をしていたのは8年前。僕のテレビで見たという記憶も浅い。
「で、でも、今言っただろ!『私は詐欺師なので』って!」
「それが証拠になるのか?第一君は録音機を持っていない。証言したという証拠がいる。私が、『私は詐欺師なので』と言った証拠を!」
「チッ!」
どれもこれも証拠証拠!?
「あああもう!!!!!」
「静かに運命を受け入れろ」
「絶対に捕まえる!お前を!絶対に!僕はやってない!やってないからなあ!!!!!」
「負け犬が。せいぜいそうほざいておくんだな」
そう言って探偵は立ち上がった。
「覚悟しろ!覚悟しろおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!」
バタン!!!

そうして僕は黒と白の縞模様をした服を着て、鉄格子のかかった牢屋に入れられた。
「くそっ…」
牢屋の中には、僕とおなじ黒と白の縞模様をした服を着ているペンギンがたくさんいた。
「はっ、お前もか」
意味深な言葉。
「え?お前もって!?」
「お前、あの探偵に入れられただろ?ほら、あのペナンって奴」
「うん」
「俺らも同じだ。俺らもなんも悪くないのに、『二重人格』っていうもっともらしいこと言って、俺らを捕まえて、ここにぶち込んだんだ。それに、最悪なことに、ここはペンギン海共和国(ペンギン人の住んでいる国の名前)の中でも、ここの少年院は一番やばいらしい。ペナンの奴、なんでこんなことを…」
「…」
「ここの奴らは全員そうさ。しかも、全員、『二重人格』の罪を着せられてな」
「ペン川ペナンは催眠術士だ。あいつは警察を操っている!俺たちを捕まえてばっかりで」
ぶおおおおおおおおおお!
「ペナンが出るぞ!」
「いつものやつやってやる!」
そう言ってみんなは外に出て行った。
「いつものやつ?」
「お前もやれ!」
だあああああああああああああ
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ペナンめえええっえEE!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
船に乗っているペナンに叫びかける。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ここから出たら、とっ捕まえてやる!訴えてやる!覚悟しろおお!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
(みんな、同じことを思っているのか)
ペナンの船は、少しずつ小さくなり、消えた。

そうして、僕の少年院での生活が幕を開けた。
少年院は、思っていたよりキツかった。
ここでは、少年院での生活時間表を紹介する。

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少年院での生活時間表

朝4:30
起床

朝4:33~朝7:30
トレーニング
ちょっとでもサボったら尻を10回叩かれる。

朝7:31~朝7:35
朝食
時間に遅れると面打ち棒で20回喉を突かれる。
これで窒息死したペンギン 30人(ペンギン人調べ)

朝7:36~朝7:40
着替え
何故こんなに長いのか
少年院では一年中冬の日のように3枚重ね着をしなければなら
ない。
しかも暖房も一年中ついている。
時間に遅れるとバットを口に詰め込まれる。
これの過程で熱中症で死んだペンギン 5人(ペンギン人調べ)
バットを詰め込まれて怪我をした・死んでしまったペンギン
怪我 40人 死亡 7人(ペンギン人調べ)

朝8:00~朝9:00
休憩

朝9:30~昼12:00
トレーニングパート2
ちょっとでもサボったら頭を30回叩かれる。
これで怪我・死んだペンギン
怪我 90人 死亡 60人(ペンギン人調べ)

昼12:10~昼12:30
昼食
時間に遅れると面打ち棒で20回喉を突かれる。
死亡者 朝食と同じ

昼12:35~夕方5:00
トレーニングパート3
ちょっとでもサボったら頭を30回叩かれる。
怪我・死亡者 トレーニングパート2と同じ。

夕方5:10~夜9:00
自由時間

夜9:10
消灯
9:20になっても寝ていなかったら手の甲にタバコを押し付
けられる。
これで怪我したペンギン 100人(ペンギン人調べ)
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自由時間に、僕はこれを書き上げた。
「書いてみたはいいんだけど…」
「改めて見るとここまじでやばいところだな」
「自由時間は、なんでもできるわけじゃなくて…」
一人が声を潜めて言った。
「見張りがいるんだよな」
事実。僕は、この少年院での生活時間表を書き上げるのに、3時間はかかった。
「ずっと警戒しながら書いていたからね」
ここは本当に地獄だ。
すると、誰かが言う。
「ここから逃げよう」

「ここから逃げよう」
と言ったのは僕だ。
「作戦はある」
僕らは作戦を話し会った。
少し経った後、一人が僕の後ろを指差した。
「あれ…」
「ん?」
後ろを振り返って…
「ぁっ…」
絶句した。
そこにはたまたま、少年院の職員が…
「何を言っている」
「いや…その…」
「君は隔離だ」
そう言って少年院の職員が流屋の鍵を開けた途端…
「今だ!!!」
僕はみんなに叫んだ。
職員が反応する前に、みんなが牢屋から抜け出した。
「なっ!まて!お前ら!」
僕は職員のお腹をぶん殴った。
「がはっ」
職員が気を失っている内に、僕は職員から牢屋の鍵を取って、他のペンギンたちの牢屋をあけていった。ここの牢屋の鍵は、全て同じ型なので、鍵は一つで良い。
僕はみんなを引き連れて、なんとか入り口まできた。入り口にいる門番をなぎ倒し、なんとか少年院の外に出れた。
ウウウウウウウ!『脱獄です!警報を!直ちに確保を!!!』
「…無駄だ」
ブウううううううううううううううううんんんん!!!
海の上に大きな音が鳴って、船がやって来た。
「大丈夫か?」
そこにいるのは、この中の誰かのお父さんだ。心配して来てくれたらしい。元々の作戦は、職員の誰かを脅して、船を操縦させることにしていたので、助かった。みんなでその船に乗り込み、僕らは少年院から脱獄した。
今頃少年院は大騒ぎだろうが、僕らを探し始めたときにはもう無駄だ。そのときは僕らは遙彼方だ。
僕は空を仰ぎ、誓った。
「お母さんが殺された事件を、絶対解決させてやる!!!」

第三章 犯人は誰だ!?

港に船がついた後。僕は家まで走って帰った。あいつに、ペン川ペナンに、復讐してやる!この港から家までは距離がある。だけど、復讐したいと言う気持ちが強くて、全く苦しくなかった。
「はあ、はあ、はあ、はあ、」
洗い息をついて、家の近くのコンビニが見えた。そして今気づいた。少年院に入れられていたと言うショックからか、今があの事件から何日かを忘れていた。あの、お母さんが殺された事件から何日か…
でも、流石にもう家には探偵はいないだろうと思い、家まで突っ走っていくと…パトカーが何台も止まっていた。
「え?!なんで!?」
僕はたくさんの警察官を押し除け、なんとか家に入った。
「お父さん…!」
「なんですって!?犯人に攻撃!?」
あ!?あの探偵の声…
「なんの話!?」
僕は声の聞こえる部屋に入った。そこには、お父さん、ペンギン太郎、茶羅ペンギン、ポンコツ野郎がいた。
あれ?事件は解決したのになんで!?
「ああ、ペンギン人!!」
お父さんが駆け寄ろうとするが、それをあのポンコツ野郎が引き留める。
「いい加減にしてください!せっかくペンギン人君を少年院まで行かせて、話を聞かせないようにしていたのに!そんな迷惑なことを…しかも脱獄…はあ」
ポンコツ野郎はわざとらしく、大きなため息をついた。
ん?でもなんで?
せっかくペンギン人君を少年院まで行かせて…?!
どう言うこと!?
「あの、なんの話?」
「ああ、君には話しておかなきゃいけないね。僕はね、本当は君を捕まえたわけじゃない」
「は!?」
意味わからん!捕まえたじゃん!!!!!!!!!
「僕は子供が嫌いなんだ。嫌い、ああ、少し言い方が悪かったかもしれない。僕は子供アレルギーなんだ。子供がそばにいると、頭が上手く回らない。事件が起きたとき、君を上の部屋に連れて行ったのも、そのためだ。ああ、信じられないならこれを見て」
そう言ってポンコツ野郎は携帯を見せた。
「診断書だ」
そこには、僕がよく通っている、『医者ペンギン病院』の診断書があった。確かにそのような、「子供アレルギー」のことが詳しく書かれている。「子供アレルギー」については、ペナンの話の通りだ。
「じゃあ、ごめんだけど、せめてこの部屋の外に出てくれないかな?」
「わかりました、」
僕は部屋の外に出て、ドアを閉めた。話が聞こえてくる。
「あなたはなぜ、犯人を…」
「だって憎しみは抑えきれない!」
「あなたのせいで事件が解決できなかったらどうするんですか!?もし、もしあなたのせいで、犯人が遠くへ逃げてしまったら、操作がやりにくくなる!指名手配にしたって、今まで捕まった覚えがありますか!?あなたのせいです!これも全部!!どうしてくれるんですか!???」
ペナンが怒鳴っている。
「…」
「まあ、とりあえず、アリバイを聞きましょう。あなたたち全員、その日何をしていましたか!?」
「私は…」
茶羅ペンギンが話し始める。
「そのときバーで飲んでいました。これ、証拠のレシートです」
レシートを見せたのだろう。多分。
「ペンギン太郎さん」
「私は…」
「?」
「私は…」
何を考え込む必要があるのだろう?
「…」
「なんですか!?言ってください」
「……今まで黙っていてすみません!!私が犯人です!!!!!!!」
「「「「はああああああA?!!」」」」
おいおいおい!何言ってるんだペンギン太郎さん…
「どういうことですか?私にはもう犯人の目星はついていますが、あなたではないんですが…」
「あなたは詐欺師でしょう!?そんな人の推理、誰が信じられますか!?」
「っ…」
ここにいるお父さん、茶羅ペンギンは、「確かに…」と言った様子でうなずいている…
「…ですが私は、ちゃんとした推理もできますが」
「そうですかそうですか。…ですが私は自首しますよ」
「なぜですか!?...あなた、誰か守っています?」
「いいえ~」
そしてペンギン太郎さんは、
「警察に行ってきま~す」
と言って、玄関のドアを開けた。ペナンは引き止めるつもりはないらしい。
ペンギン太郎さんが玄関を開ける姿は、まるで外に遊びに行く、小さな子供のようだった…


「…なんとか騙せました……ペンギン父さん」
「…ああ、よくやった」
これはペンギン太郎が自首した後の話。
「いや、ペンギン父さんもすごいですよね…まさかあんな…」
「ああ、なんとかな。お前が騙してくれてよかったよ」
「じゃ、十分報酬を」
「おい…報酬ってどういうことだよ…」
「冗談ですよ」
はははははは!!!!!


「…では、取り調べを始めましょうか」
「はい」
これはペンギン太郎の自首のとき…
「あなたは、ペンギン母さん41歳を殺したんですね?」
「はい」
「侵入方法は?」

この取り調べを、ペナン、ペンギン人(特別に)、ペンギン父、茶羅ペンギンが見ている。
ペンギン人が、ペナンに囁く。
「ペナンさん。多分、ペンギン太郎さんは犯人ではありません」
「…君もそう思っていたか。私は…君の家で、犯人の目星がついていると言っただろう…」
「はい」
「教えてあげよう」
そしてペナンは、紙に犯人の名前を書いて渡した。
「え…」

「ペンギン母さんの自宅の窓を割って入りました」
「気づかれましたか?」
「はい。気づかれたので、持参していた毒付きのナイフで殺しました」
「部屋には、争った形跡がありましたが、それもその時に?」
「そうです。向こうがナイフを持って抵抗してきたんですけど、なんとかね…」
「動機を教えていただけますか?」
「動機はですね…実は私、ペンギン母さんが好きでして。高校生の頃から思いを寄せていたのですが、ペンギン母さんは、ペンギン父さんと付き合ってしまって…。名前もお似合いだし、運命なんでしょうけどね…で、今回の殺人は、その復讐というか…」
「ひどい逆恨みですね」
「はい。まあね」

「チッ!この取り調べ気に入らん!」
ペナンはズンズンと取調室のドアに近づく。
「ペナンさん!?」
「今からここに突撃する!私は冤罪をつくりたくない!」
「待ってペナンさん!僕も行きます!」
ペンギン人はペナンに頼んだ。ペン川ペナンは少し考えて言った。
「分かった」

「では、後もう一つ…」
取り調べ担当の刑事が、ペンギン太郎に質問する直前…
「その取り調べ、ちょっと待ったあああ!!!!!!!!!!」
ペンギン人が大きな声で叫び、ペナンが取調室の扉を蹴り飛ばした。
ばあん!と、爆音が響いた。取調室の外にいた警察たちが、「なんだなんだ?」と近づいてくる。
「な、なんですかペナンさん…結婚式みたいなセリフ言って、悪ふざけも懲り懲りにしてくださいよ…」
「この事件の主犯はペンギン太郎ではありません」
「何っ!?」
あたりがざわざわとざわめいた。ペンギン人も少し驚く。
(ど、どういうこと!?犯人は『あの人』だって分かってるけど…主犯ではないって!?)
「犯人は………ペンギン父さん!あなただ!!!!!!!!!!
ペナンが怒鳴った!
「…ペナンさん、それは間違いです。私は、昨日の真夜中、犯人に攻撃したって…」
「真夜中で犯人が見えたんですか?」
「はい。月明かりでね…」
「…ペンギン父さん…昨日は、新月だったんですよ!!!!!!!!!!!!!」
「!!!!!」
どん!と、ペナンの言葉が、ペンギン父に突き刺さる。
「そして…」
ペナンはパソコンを取り出し、映像を再生する。
その映像には、ペンギン父のような影が一つ、後、他のペンギンの影が一つ。ペンギン父が、他のペンギンを攻撃している。
「多分これは、共犯の、あなた。ペンギン太郎さんでしょう」
「っ…証拠は!?」
「なぜあなたは、新月の日に、月明かりが見えたと、嘘をついたんですか?」
「…」
ペンギン父が黙りこける。
(お父さん…)
「ペンギン父さん、答えてください。あなたがやったんでしょう?そしてペンギン太郎さん…あなたは共犯ですね?」
「…」
「…」
(そんな…信じられない…まさか…お父さんが……)
ペナンが、宥めるように言った。
「…子供に、そんなかっこ悪いところを見せてもいいんですか」
「…はい。私がやりました…」
「私は…共犯です」
(…)
「動機は?」
「嫁の…あいつの、浮気です…。…まず、あいつを殺して、それから、茶羅の野郎も殺そうと思って…」
「それで私が手伝ったのです」
「そうですか…では、裁判にかけましょう」

第四章 すべてが終わった


裁判が終わった。お父さんは、懲役10年。ペンギン太郎さんは懲役7年の罪になった。
お父さんが刑務所に入れられた後、僕は親戚の家に引き取られた。
親戚からは、「事件のことは一切口に出すな」と言われている。まあ、お父さんのお兄ちゃんに引き取られたのだから、仕方ないだろう。


お父さんが帰ってきた。僕はもう大人になっている。
ずっと待ち望んでいたので、「おかえり!!」と言った。けど、お父さんは何も言わない。きっと、後悔しているのだろう。浮気で殺人を働くぐらいだから、とても愛していたんだろう。
きっと、殺した時は、怒りが溜まって、冷静になれなかったのだろう…

実は、ペナンは、詐欺師ではなく、その詐欺師を捕まえた人だったらしい。

すべてが終わった。

赤く色づいた秋の葉っぱが、ふわりと地面に舞い降りていった。

END

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