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前世で出会った人

一瞬で過ぎ去ったある人との出会い

ある旅行先でのこと。長期滞在をしていた小さな町で、3部屋だけの小さなバンガローのオーナーと仲良くなりよく遊びに行くようになった。

ある日、そのバンガローに滞在中の男性に出会った。その方は整体師をされていた。

なかなか旅行先で整体師さんに出会うことはなく、他の方にも施術をお願いされていた。もともと腰痛持ちの私もすぐにお願いした。

施術を受けるうちに、問題のある部分の見つけ方や、施術のコツを教えてくれた。
「骨と筋肉の境を剥がしていく感じ」
「同じ部分があるでしょ」
「あなたなら分かるよ」

正直、分からなかった。(笑)

スピリチュアルなことも身近にあるその町では、当たり前のようにパワーストーンやお祈り、神話の話をした。

ほぼ初対面なのに彼とは不思議な落ち着きを感じ印象に残った。しかし、私の恋愛対象になるようなタイプではなかったし、なぜそんな感覚があるのか戸惑いもあった。

ある夜、私の脳裏にパワーストーンのついたリングが浮かんで全く離れない。眠ろうとして目をとじるが、そのリングの画像が映っている。

それは、彼が身につけていたリングの1つというのはすぐに分かった。いくつか着けていたリングがあったが、映っているのはそのリングだけ。

そんなことは初めてだったし、とりあえず、どうしたいのか聞いていると、どうやら浄化してほしいことは伝わった。じゃあその方法は?塩?ちがう。じゃあ......これ?......う〜んちがう。........たぶん.......お香?

結局、ろくに眠れないまま翌日、彼に伝えようとバンガローに向かった。
そして、昨夜私の感じたことを話し浄化の方法を伝えてみると、「あなたが昨日の夜気づいた時に、僕はそれをやっていたよ」と。

続けて「僕は前世であなたと結婚していると思うんだ」「あなたと会う日は朝から懐かしい気がして起きるんだ」と言われた。どうやら私と同じような感覚を感じていたらしい。

そうか、この不思議な落ち着きはそこからくるのかと腑に落ちたと同時に、彼が女性で私が男性で出会ったその時の画像が浮かんだ。

お互いパートナーはいたし、その時はそれ以上なにも変わることもなく、何度か施術をうけて終わった。

その後、旅行から帰り半年ほどたった頃、偶然、彼が交通事故で亡くなったことを知った。

悲しみはなく、ただ、空虚な気持ちが残った。

それから、私は身体の解剖生理学を学ぶ機会も得て、「骨と筋肉の境を剥がす感じ」もなんとなく分かるようになったし、運動部に所属する息子の身体のマッサージやメンテナンスもできている。整骨院にお世話になることがないのは時間にもお財布にもありがたい。

パワーストーンの状態も分かるし、石に応じた浄化の方法もやり方も分かる。パワーストーンを繫げて調和を整えブレスレッドを作ることもできる。

人生の中で考えれば、ほんの数日という一瞬関わっただけの人だったが、彼は私の中に眠る何かを刺激していったことは間違いなく、時々、空にいる彼に聞いてみるが、「ほらね、分かるでしょ。」とだけ言われている気がする。


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